見出し画像

2023年5月後半日経平均相場の振り返り

 

①    日経平均チャート

5月後半相場を振り返ると、19日に日経平均株価は前半からの勢いのまま7日続伸し、終値で30808円をつけた。
これは1990年8月以来およそ33年ぶりの高水準となり、バブル経済崩壊後の高値を更新した。

②    ND倍率

5月に入ってから米国株と比べた日本株の強さが際立っている。
日経平均株価を米ダウ工業30種平均で割ったND倍率は0.94倍となっており、2021年3月以来約2年ぶりの高水準にある。
景気後退懸念や債務上限問題から軟調な米国株に対し日本株は金融緩和の係属や資本効率改善の動きなどが評価されている。

③    東証プライム売買代金

東証プライム市場の売買代金は19日に3兆4097億円と、活況の目安とされる3兆円を上回った。
売買代金が3兆円を超えるのはこの日で6営業日連続となったが、その後も月末まで続いており、このところの日本株売買が盛り上がりを見せていることがわかる。
ただ海外投資家の買いが相場を押し上げている半面、国内の個人投資家は久しぶりの高値を売りの好機とみている様子が投資部門別売買代金から見て取れる。

④    投資家別売買代金

5月に入り個人投資家は第1週2247億円の売り越し、第2週は3310億円売り越し、第3週は8124億円売り越しとなっている。
これに対し海外投資家は第1週に1602億円の買い越し、第2週は5658億円の買い越し、第3週は7476億円の買い越しと相場の先行きを巡っては強弱感が対立し始めている。

⑤    日本株ETF

今回、海外からの資金流入に関して目新しい記事があったので紹介しよう、それは中国人の日本株投資が過熱しているというのだ。
資本規制が厳しい中国本土では個人投資家が日本株を買う手段は少ないが上海市場に上場する日経平均連動の上場投資信託(ETF)が人気になっているというものだ。
日本株ETFは、2018年の日中首脳会談を機に相互上場したものだが、最近のウォーレン・バフェット氏による日本株買いの話題やその後の株高を機にマネーが流入し、低調だった売買が急増している。
ETF価格が裏付け資産の日本株を2割強、上回っている加熱ぶりだという。
これまで中国マネー記事はあまり見たことがいので、今後注視していこうと思う。

⑥    騰落銘柄数

5月は順調に上昇している日経平均株価であるが、上昇の中身を見ると上昇銘柄に偏りが大きいなど、いびつさも強まってきている。
26日の日経平均は続伸し30916円と前週末から107円高で取引を終えた。
この日の値上がり銘柄数はプライム市場で419銘柄と全体の2割強にとどまった。
値下がり銘柄数は4日連続で1000銘柄を超え、株価が上昇している日も値下がり銘柄が多い状況が続いている。(別表参照)
そのため値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って算出するプライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)は104%と約1カ月半ぶりの低水準まで下がっており、過熱感を打ち消している。
年初来高値を更新する銘柄も減っている。
26日は日経平均が一時31100円台まで上昇したにもかかわらず、年初来高値はプライム市場で121銘柄だった。
ピークだった1日には400銘柄を超えていた。逆にこの日、年初来安値銘柄数は104銘柄に増えた。

⑦    日経平均推移

そして30日には日経平均が31328円で終わったのだが、年初来高値を更新したのは、僅か63銘柄しかなく、年初来安値の更新が117銘柄にのぼった。
この数は2022年12月以来であるが、この時の日経平均は下落の真っただ中にあった。
このような状況から考えると高値への警戒感の強まりの大きさを感じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?