$U Unity:AR/VR、BIM、自動運転への期待
はじめに
すこし長編になっていますが、AR/VR、BIM、自動運転といったこれからの未来を詰め込んだ企業となっており、それらを調べ整理したらなかなか長いものとなってしまいました。後半ではIDFAの懸念についてや、競合についても触れているので、ぜひしんどいとは思いますが、最後まで読んでもらえると嬉しいです。
企業概要
3Dコンテンツを制作・運用するためのプラットフォーム提供企業です。
Unityは、インタラクティブなリアルタイム3D(RT3D)コンテンツを制作・運用するための世界有数のプラットフォームです。ゲーム開発者、建築家、自動車デザイナー、映画制作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使って作品に命を吹き込んでいます。Unityのプラットフォームは、携帯電話、タブレット、PC、コンソール、拡張現実・仮想現実デバイス向けに、インタラクティブなリアルタイム2D・3Dコンテンツを作成、運営、収益化するための包括的なソフトウェアソリューションを提供しています。
引用:Unity
収益モデル
1. Create Solutions
2. Operate Solutions
3. Strategic Partnerships
の3つの収益源を持っています。
1. Create Solutions
ゲーム制作用のプラットフォームや、VR、建築、映画向けの3Dコンテンツ作成エンジンを提供し、収益をあげています。なお、フリーミアムサブスクリプションモデルを採用しており、個人、小規模チーム、学生は無償で利用できます。
フリーミアムモデルは詳細は割愛しますが、実行が非常に難しい反面、強力なモートを築くことができる戦略です。これを実行でき、かつ次に述べる2. Operate Solutionsで収益化できているUnityのビジネスモデルは非常に魅力的だとトウシドリは思います。
2020年上半期の収益の29%を占めています。
現在、新規のモバイルゲームの半分がUnityを利用して開発されています。これは個人、小規模チーム、学生が無償で利用できるためであるとされています。
以下のUnity Japanのnoteでも個人ユーザをUnityが大事にし、それが強みとなっていることが語られています。
また、エコシステムの形成はモダンなビジネスモデルの典型的手段ですが、この記事からはUnityがエコシステム形成を手段ではなくミッションの一つとして企業当初から行なっていたことが分かり、Unityの強さの源が垣間見えます。
2. Operate Solutions
Unityは、Unityにより開発されたコンテンツの広告による収益化をサポートしており、開発者が広告収入を得た際にその一部をUnityの収益としています。アプリ内課金(IAP)を管理するソリューションも開発者へ提供していますが、こちらはまだ収益化していないようです。
また、広告の他にライブサービスとして、「ゲーム開発者が、ユーザーの獲得、プレーヤーのマッチメイキング、サーバーホスティング、バグの特定などを容易に管理および最適化できるようにするためのクラウドベースソリューションを提供」しています。
ライブサービスは、従量課金制で、契約後一定の使用量に達するまでは無料で利用できるようです。
2020年上半期の収益の62%を占めています。ゲームエンジンが有名なUnityでは有りますが、このように広告が最も重要な収益源となっています。
出所:Unity
ちなみに、上述のライブサービスはUnityがもともと弱かった分野のためか、以下のように積極的な買収で対応しています。
Multiplay(クラウドゲームサーバーのホスティングとマッチメイキング)、Vivox(ゲームのプレーヤー同士の音声およびテキストチャットを行うためのクラウドホステッドシステム)、deltaDNA(キャンペーンプレーヤーをセグメント化してエンゲージメント、収益化、リテンションを向上)といった企業を買収することで拡充されてきた。
引用:Techcrunch
Strategic Partnerships
ソフトウェアやハードウェアを提供する企業に対し、彼らのソフトウェアやハードウェアとUnityとの互換性を提供し、各種料金体系(定額、収益共有、ロイヤルティ)に従って収益を得ています。
企業はUnity互換性を持つことにより、Unityを利用する開発者が自社向けのコンテンツを開発してくれることを期待できます。
2020年上半期の収益の9%程度を占めています。
最新のIRからは、Operate Solutionsが大半であり、かつ大きく伸びていることがわかります。
出所:Unity
参考:Techcrunch
参考:seekingalpha
開発者のサポートがキモ
上で見た通り、開発者が得る広告収入の一部がUnityの収入の大部分で有り、また開発者の存在を強みとしてStrategic Partnershipsの収入を得ているのがUnityです。
そのための開発者のサポートがキモであり、Unityはサポートを非常に重視し様々な開発者向けの取り組みを行なっています。
次のチュートリアルなどは非常に丁寧なもので有りUnityが積極的に開発者をサポートしている好例ではないかと思います。
売上成長
2020 Q4ではYoYで39%という高い成長率を見せています。ただし、ゲーム業界、広告業界はコロナ下で大きな成長を見せていた業界であり、今後アフターコロナでの成長性は注視が必要かと思います。
各種定量情報
株価は2月から大きく下落しています。株価的にはここで反転できるか下落し続けるかの分かれ目のように思えます。
PSRは35程度です。過去の成長力、Sales Q/Q 53.40%は非常に高い水準かと思います。
Quick ratio, Current Ratioが5.0というのは安心できる点かと思います。
出所:Finviz
強力な戦略パートナー
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