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MMT(現代貨幣理論)を知ろう!〜第14回インターン勉強会〜

こんにちは!インターン生の宇治です。

大学生になってすぐ、金融について深く知りたいという思いで参加した本インターンも始めてから1年が経過しました。
PCに対する理解にはじまり、株の知識など、さまざまなことを学ぶことができました!

さて、今回の勉強会では、今話題のMMTこと現代貨幣理論を扱いました。初めて聞いた方も多いようでした。ですので、今回は、初歩から解説していきます!

現代貨幣理論とは?

MMT(Modern Money Theory:現代貨幣理論)は今話題のマクロ経済学理論。この理論によると、自国通貨を発行できる政府(日米英など)は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはありません。

簡単に言うと、いくら借金しても国が破綻してしまうことはないということです。現在日本には、約1,100兆円の借金があり、国民一人当たり約1,000万円ほどある借金と言われていますが、この借金に心配する必要はないということになります。

この理論は我々の直感に反するものになっていますが、どういうことなのでしょうか?

そもそも、国(政府)は国民や日本銀行に国債を売ることで借金をしています。国は借金のおよそ半分を国民から借金していて、残りの半分を日本銀行から借金しています。

ここで、日本銀行の特性について考えます。日本銀行だけが持つ権限として、通貨発行権があります。通貨発行権というのは、文字通り、通貨を発行する権利のことです。日本銀行が通貨発行権を持っていることで、日本銀行は自由に円を発行することができるのです。となると、日本銀行は国に貸したお金を返してもらう必要がなくなります。お金がなくなったら自分たちですれば解決するためです。

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このようにして、国は返済の必要性が低いお金を借りることができます。

国債を発行することで、自由にお金が手に入ることから、税金を財源にし、税率を上げてどうにかしてやりくりする必要もなくなるのです。

ここまで聞くと、たくさん国債を発行することで、歳入を増やせば、税金を我々が収めなくて良いように思われます。そうなったら、私たちにとって夢のような話です。しかし、国債を無限に発行し続けるのは難しいようです。

それは、インフレが起こってしまうからです。通貨を発行し続けることで、相対的にモノの価値が上昇し、お金の価値が下がってしまう現象のことです。2000年代初期にジンバブエでは、ハイパーインフレが発生しましたが、1ドル=3京5000兆ジンバブエドルとなってしまいました。卵を買うにも1000億ジンバブエドルするなど、お金が紙くずとなってしまいました。究極的にはこのようなインフレの事態になってしまう可能性があります。日銀はインフレ率を考慮した上で円を発行することが求められるのです。

政府の役割

次に政府の役割について考えましょう。

国民や日銀からお金を借りた政府は、その財源を使って社会保障や公共事業などに充てられています。国は我々の生活に還元しているのです。

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現代貨幣理論の登場によって、国の黒字経営の必要性が見直されています。この中で、国としての役割は、我々の生活の最適な形での還元が重要になっているのです。

現代貨幣理論の優れている点として、金融にとらわれない大きな視点があることです。政府は我々の生活を良くするためにあるので、税金で我々の生活を苦しめてばかりでは元も子もありません。現代貨幣理論を通じて、政府の政治的なあるべき姿を再考することは意義のあることでしょう。

現代貨幣理論での税金

現代貨幣理論では、政府の歳入における税金の重要性が従来の認識よりは低くなっています。ここで、現代貨幣理論における税金の認識を考えてみます。

現代貨幣理論に基づくと、政府の財政が厳しくなった場合、日銀が通貨を発行し、政府はその通貨を国債を通じて借ります。その借りたお金は社会保障などを通じて国民に還元されますが、その結果、民間に出回るお金の量が増えることになります。民間に出回るお金の量が増え過ぎてしまっても問題なので、それを回収する機能が必要になります。それこそ税金の役割なのです。

現代貨幣理論では、税金は貨幣の流入量を調整すると言う新たな役割を持つことになっているのです。

上限の決まっているお金を取り合う家計の横並びとして政府の立ち位置を捉えていた従来の理論とは、完全に異なる存在として政府は存在します。

国定信用貨幣論と商品貨幣論

税金に付随する話で考えておきたいのは、お金の価値についてです。

そもそも、なぜあの紙切れ(お金)に価値がつくのでしょうか。

人々が価値があると信じているからお金に価値がつくのだと主張する人は多いですが、これは従来の理論、商品貨幣論に基づくことが多いです。

一方、現代貨幣理論は、税金を根拠にお金が価値を持つと主張します。このことを国定信用貨幣論と言います。日本国民は税金を納めますが、納めるには円で支払う必要があります。これによって、私たちは円を集めることが必要になり、円は価値を持つことになります。たとえ、誰かが「円に価値がない」として、信用しなくとも、税金の存在によって必然的に円は価値を持つのです。

現在、日本は徴税が機能していて、国民はしっかり納税をしています。そのため、円の価値が保たれています。日本の国債発行残高は増え続けていますが、円の価値が落ちない背景の一つとして理解することができます。この点にも現代貨幣理論の相応しさが確認できるといえます。

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現代貨幣理論は国定信用貨幣論など、さまざまなお金に関する理論を統合した結果成立しています。その他にも、機能的財政論、内生的貨幣供給論などを内包していて、現代貨幣理論を理解するのはそれぞれの細かな考え方を理解する必要があるといえます。

まとめ

現代貨幣理論が分かると、1,000兆円ある国の借金に対する理解も変わってきます。あたかも国民1人ずつ1,000万円をどこかから借りていて、返さなければならないように聞こえます。しかし、借りている先のほとんどは国民自身か日本銀行なのです。そのため、一人当たりの借金という指標は杞憂であり、適当とは言い難いのです。

私たちの財政に対する理解を大きく変えることから、コペルニクス的転回をもたらすと言われています。かつて、天動説が有力だった中、コペルニクスは地動説を主張し、結果的に我々の常識を一変させました。現代にこのようなことが起き始めているのは、とてもワクワクします。

現代貨幣理論は、多くの人の理解されつつあり、それと同時に様々な検証がなされています。動向は是非注目しておきましょう!

※本noteは株式会社インベストメントブリッジとしての意見・見解ではなく、あくまでも一個人の意見・見解となります。

参考資料

【5分で】東大生が教える現代貨幣理論(MMT)入門 前編
https://youtu.be/zOe0Go08i90

【15分で全体がわかる】東大生が教える現代貨幣理論(MMT)入門 後編
https://youtu.be/Oqnko9Y6Wnw

国の支出・収入の内訳は? 財務省
https://www.mof.go.jp/zaisei/matome/thinkzaisei01.html

国の借金、1200兆円突破 1人983万円―昨年末
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021001034&g=eco




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