2022/4/16 週間マーケットレポート

週間の値動きと概況

アメリカ長期金利(10年):2.827%
アメリカ10年BEI:2.89%
実質金利:-0.063%

ニューヨーク市場は前週比でまちまちながら下落しています。長期金利が2.8%を超え、NASDAQが下落しました。ECBラガルド総裁は利上げ開始について具体的な日程を示さず、資産買い入れ終了から利上げまでは数週間から数カ月になる可能性もあると述べました。これにより、ECBの姿勢はハト派的だとの見方となりました。また、アメリカの消費者物価指数(CPI)・卸売物価指数(PPI)はPPIが予想を上回るなど高止まりしています

カナダ中央銀行は政策金利を0.50%引き上げ1%とし、ニュージーランド中央銀行も政策金利を0.50%引き上げて1.50%としました。また、シンガポールや韓国も引き締め姿勢を見せています

セクターはまちまちでした。コミュニケーション・金融・テクノロジー・ヘルスケアといったセクターが下落しています。

(考察・感想)
FRBブレイナード理事が「インフレを抑制することがFRBの最重要の任務だ」と述べたように、今後FRBが引き締めを急ぐことが予想され、各国中銀もインフレ対応のため引き締めに動いています。5月のFOMCで0.50%の利上げが予想されているのに対し、ECBは7~9月に0.25%の利上げと報道されていて、FRBに比べると動きが遅いように思います。ECBはウクライナ侵攻の影響で金融政策に幅を持たせているようですが、ウクライナ侵攻が終われば対応を急ぐことになるかもしれません。金融政策については5月のFOMCに注目です。

膠着するウクライナ南東部

ウクライナ北部でロシアの撤退が完了し、主な戦闘地域は東部ハリコフからドンバス地方、南東部マリウポリ、南部ヘルソンの3地点となっています。今週は大きく支配地域が動くことはなく、膠着感があります。

https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-april-14

ウクライナ北部は森林が多く補給線を叩く試みも効果が高かったのですが、東部は障害物が少ない丘陵地帯となり、ロシアが抑えている範囲も線ではなく面となるため戦い方が変わります。ウクライナは戦車などの機甲戦力が足りていないので、反攻作戦が行えるように欧米からの兵器の供与を訴えています。アメリカは数百台の旧ソ連製戦車の供与を計画し、火砲やヘリなども供給する予定です。

理由は不明なものの、黒海艦隊の旗艦モスクワが沈没しました。ウクライナが主張しているようにネプチューン地対艦ミサイルが命中したのだとすると、ロシア艦船が沿岸部に近づけなくなります。モスクワは広域防空艦の役割を担っていたので、ウクライナによるヘルソンやクリミアへの空からの攻撃が可能になり、ヘルソン奪還に寄与する可能性があります。

(考察・感想)
ウクライナ侵攻開始後の軍事支援はアメリカから計32億ドル、EUからは15億ユーロにのぼります。アメリカもEUも世論がウクライナの味方となっていて、政治的にも支援にも余裕がありそうだと思います。第二次世界大戦でも資源の足りない国が時間を追うごとに不利となっていきました。CIAバーンズ長官が「(ロシアが)戦術核や低出力核に訴える可能性を軽んじることはできない」と述べているように、ロシアの負けが込むほどリスクが高まる可能性があります。5月9日はロシアの戦勝記念日なので、それまでに何か動きがあるかもしれません。

見通し

1.ウクライナ情勢
ウクライナ南東部では戦況が膠着しそうです。引き続き、ウクライナによるヘルソン奪還とロシアによるマリウポリ陥落が要点となりそうです。

2.主要企業の決算
来週の主要企業の決算予定は以下となります。
4/18(月)バンクオブアメリカ
4/19(火)Netflix ジョンソンエンドジョンソン
4/20(水)Tesla
4/21(木)AT&T
4/22(金)ベライゾン

3.金利動向

アメリカ長期金利(10年)がどこまで上昇するかに注目です。以下は日足チャートです。

短期では、インフレが継続しつつ各国中銀の引き締め姿勢がはっきりしたこともあり、株価がすぐに最高値を更新するのは難しい状況かと思います。長期金利が引き続き上昇すると、株価も大きく下落しそうです。為替はウクライナ情勢次第で巻き戻しがあるかもしれません。

長期では、長期金利が大きく上昇したため、安全なポートフォリオとしています。また投資比率を上げれる状況になるか様子を見ていこうと思います。

先進国インデックス   30%
現金・国内債券 70%

来週の主な予定

4/21(木)FRBパウエル議長発言
4/21(木)ECBラガルド総裁発言

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?