2022/9/24 週間マーケットレポート

週間の値動きと概況

アメリカ長期金利(10年):3.691%
アメリカ10年BEI:2.37%
実質金利:1.321%

ニューヨーク市場は前週比で大幅に下落しています。FOMCでは0.75%の利上げが決定され、2022年末時点での政策金利見通しの中央値は4.4%となりました。イギリスでは大規模な減税が発表され、政府債務増加への懸念からポンドが下落しています。また、日本銀行は急速な円安に対応し、円買い・ドル売りの為替介入を行いました。

ウクライナ東部でウクライナが攻勢を維持する中、ロシアは部分的な動員を開始しています。ドイツは天然ガスを容量の90%まで貯蔵し、冬を乗り切ることができる水準まで増加させました。

セクターは全体的に下落しています。原油価格が下落し、エネルギーセクターの下げ幅が大きくなっています。

(考察・感想)
ロシアの動員によるウクライナ侵攻状況の悪化懸念とFRBによる引締めへの懸念でリスクオフに傾いたと思います。イギリスの政策はブレーキとアクセルを両方使っていて、金融緩和しながら消費税を増税していた日本のような状況になっています。インフレに対応しながらも国民に受ける政策を行わなければならないジレンマが各国で見られていくのではないでしょうか。

ロシアは部分的な動員を決定しましたが、歩兵の兵力以外にも様々な問題があるため、ロシア側から見た戦況の改善は難しそうかと思います。冬が近づき、補給などを含め厳しい環境を乗り切れるかどうかが戦況を左右しそうです。

9月FOMCの結果について

9月FOMCでは0.75%の利上げが全会一致で決定されました。パウエル議長の会見要旨は以下となります。

・物価安定の回復のためには、しばらく引き締め政策を維持する必要がある
・労働市場の冷え込みを示す兆候はほとんどない
・ある時点で利上げペースを落とし、経済への影響を評価することが適切
・ソフトランディングは非常に困難で、一連の引き締めが景気後退につながるのか、それがどの程度になるのかは誰にもわからない
・家賃インフレはしばらくかなりの高水準で推移すると考える必要がある

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21E1L0R20C22A9000000/

今回もドットチャートは上振れ、中央値では11月に0.75%、12月に0.5%、2023年にさらに0.25%の利上げが見込まれています。また、2024年に3回、2025年には4回の利下げが見込まれ、Longer runは2.5%で維持されました。9月FOMCのドットチャートは以下となります。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20220921.pdf

(考察・感想)
今年6月時点と比べても、FRBは利上げをさらに急がされる結果となりました。ドットチャートからは、2023年には政策金利を維持しながらインフレを鎮静化させ、2024年以降で政策金利の低下が想定されていることがわかります。GDP予想は再度の下方修正、失業率予想も再度の上方修正となり、さらに経済の減速が懸念される予想になったと思います。(Page 2より

今回、FRBは景気後退のリスクを負ってもインフレ対応を行う姿勢をしっかり見せたと思います。この状況を踏まえると、株価はしばらく調整が続きそうです。アメリカでは30年住宅ローン固定金利が6.29%に上昇しましたが、これが家賃のインフレ低下につながるかどうかも注目だと思います。

来週のポイントと見通し

1.金利動向
アメリカ長期金利(10年)の推移に注目です。以下は日足チャートです。

2.ウクライナ情勢とエネルギー制裁
東部ハリコフ方面と南部ヘルソン方面で動きがあります。エネルギー関連の制裁に注目です。

見通し
短期では、インフレが継続しつつ各国中銀の引き締め姿勢がはっきりとし、株価が大きく続伸するのは難しい状況かと思います。エネルギー関連の制裁が強化されたり、景気後退が本格化すると、株価の下落リスクがありそうです。

長期では、インフレと景気後退への懸念があるため、安全なポートフォリオとしています。また投資比率を上げれる状況になるか様子を見ていこうと思います。

先進国インデックス   20%
現金・国内債券 80%

10月中旬までの主な予定

9/30(金)アメリカPCEデフレーター
10/3(月)アメリカISM製造業景況指数
10/5(水)アメリカISM非製造業景況指数
10/7(金)アメリカ雇用統計
10/13(木)アメリカCPI
10/14~アメリカ主要企業決算発表


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