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相場格言・・・って書いたものの ◇其の拾肆「株式投資は美人投票に似ている」

相場格言「株式投資は美人投票に似ている」

【かぶしきとうしはびじんとうひょうににている】


<意味>

イギリスの有名な経済学者ケインズ(1883-1946)の代表作である「雇用・利子および貨幣の一般理論」から引用されたものです。
 
美人投票は自分が美人だと思う人より、みんなが美人だと思う人が美人に選ばれるように、株式投資も自分が有望株と思っても、ほかの投資家が有望株と思わないと投資は失敗してしまうこと。


<思うこと>

株式投資は必ずしも業績と株価が連動しているわけではないので、人気のある銘柄に資金が集中する傾向があります。
 
図1は2014年3月から2024年2月までの日経平均株価です。

図1 日経平均株価(2014年3月~2024年2月)

ここ数年、株価が急激に上昇しているのがわかります。ただし、日経平均株価は上場企業約4000銘柄のうち、大手企業の225銘柄しか対象になっていないので、日経平均株価が上がれば個別銘柄は上がるとは限りません。
 
図2は図1と同時期の東証グロース市場250指数(旧東証マザーズ指数)です。

図2 東証グロース市場250指数(2014年3月~2024年2月)

東証グロース市場250指数はグロース市場の主力250銘柄を対象にした指数です。
 
日経平均株価と違い、株価は下値基調です。業績が悪化しているわけではなく、日経平均株価の方が上がりやすい傾向になっているので、日経平均株価に資金が流れていると考えられます。
 
しかし、美人投票で美人の基準は時代とともに変わるのと同様に、有望株の基準も変わります。有望株の基準が変われば、東証グロース市場250指数が上昇する可能性は十分考えられます。
 
 
美人投票の例は実際に至る所で使われています。例えば、エンターテイメントでヒット作品を狙うなら、製作者は自分が望むものではなく、お客さんが望むものを考えます。
 
ただ、ヒット作品を狙うと万人受けするような作品にしないといけないので、独創的な作品にならない傾向があります。


<相場格言と全然関係ない経験談>

自分は20~30年くらい前に自由に使えるお金と時間があったので、映画館で映画を観ることが趣味でした。初めのころは話題作ばかり観ていましたが、面白いけど、熱中するほどの作品に巡り合えませんでした。
 
やはり、万人受けするような作品は自分の趣向とピッタリ合う作品とは限らないと思いました。

その時に、ミニシアターの存在を知りました。ミニシアターとは大手のシネコンでは上映されない主にマイナー作品を扱っている映画館のことです。
 
ミニシアターというくらいなので、コンパクトな映画館が多く、座席数は少ないです。キネカ大森は狭いところに3つのシアターがあるので、一番小さいキネカ3は39席しかありません。ただ、マイナー映画なので満員になることはあまりないです。
 
ミニシアターの魅力はやはり万人受けするような映画をやっていないことです。作品によってアタリ、ハズレがあります。ただ、大アタリの時には自分の心の中では、その年の映画興行収入ランキング1位の作品よりも断然面白いと思うので、ミニシアターでの映画鑑賞が好きになりました。
 
初めて見た作品は覚えていないので、多分、ハズレだと思いますが、印象に強く残っているのがアメリカンプロレスのドキュメンタリー映画の「ビヨンド・ザ・マット」、インド映画ブームのきっかけになった「ムトゥ 踊るマハラジャ」です。
 
「ビヨンド・ザ・マット」は自分にとってはヒット作ですが、多くの人は興味を持たないと思います。自分がミニシアターで観たときには観客は自分を入れて3人しかいませんでした。
 
「ムトゥ 踊るマハラジャ」は自分をインド映画の虜にしてくれた作品です。すぐ後にムトゥと同じヒーロー(ラジニ・カーント)とヒロイン(ミーナ)が登場する「ヤジャマン」が公開されましたがイマイチでした。



時には、ミニシアターからメジャーになった映画もあります。その映画の1つが「アメリ」です。メジャー映画だと思う人もいるかもしれませんが、最初は渋谷のミニシアター「シネマライズ」の1館だけしか公開していませんでした。

映画「アメリ」より

ただ、映画情報誌などで前評判が良く、想定以上の人気があったため、シネマライズは連日超満員となり、瞬く間に、日本全国の映画館で公開されました。
 
自分は公開日の半年近く経ってから、シネマライズではないミニシアターで観ましたが、ほぼ満員でした。



フランス・パリの下町、モンマルトルに住むアメリが周囲の人たちをほんのちょっと幸せにする小さな悪戯をするのを観ていると自分も幸せな気分になります。
 
海外のユーモアは文化の違いがあるので日本のユーモアとはちょっと違う感じを抱きますが、アメリに関しては日本人にとてもマッチしています。
 
例えば、アメリが務めているバー「ドゥ・ムーラン」の常連客で病的に嫉妬深いジョゼフの好きなことはビニールの梱包材をプチプチ潰すことです。自分も好きなので共感を得ました。
 
フランスのユーモアに芸術的な魅力が加わることで、ストーリーを楽しみながら、映像の美しさも楽しめます。
 
アメリが日本で初公開されたシネマライズは2016年1月7日に閉館となりました。近年はミニシアターの数も減りつつあり、自分に合った映画が見つかるかもしれないミニシアターが減るのは寂しい限りです。


-おわり-













「おまけ」です。
今回は映画ネタだったので、映画館で映画を観る楽しさが伝わってくる「もぎりよ今夜も有難う(著者:片桐はいり)」を紹介します。

個性派女優の片桐はいりが若いころに映画館でアルバイトをしていた頃の内容が中心となったエッセイです。

片桐はいり

自らの出自を述べるときに「映画館の出身です! 」という彼女の文章には映画好きであることがよく伝わりました。


-本当のおわり-

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