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株式投資自分なりの考え方―No.001:市場規模拡大は要注意

会社説明でよく使われる市場規模

中小企業の会社説明で将来の成長性があることを示すために、今後の市場規模の拡大予想が書かれていることがあります。例えば、図1のような国内DX市場の市場規模予測を見てみます。

図1 国内DX市場の市場規模

毎年、上昇傾向が続き、2021年度の実績から2030年度には約3倍も市場規模が増える予想になっています。国内DX関係の会社は市場規模の拡大によって業績が伸びる印象を持ちます。
 
しかし、あまり楽観的にはなれない部分があります。予想通りに市場規模は拡大しても、その会社が市場に残っている保証がないからです。
 
例えば、売り上げが1兆円の大企業は数百億円程度のビジネスにはあまり興味を示しませんが、市場規模が拡大して、数千億円の売り上げが見込めれば、多額の予算を費やして、市場に参入してきます。
 
その時に、大企業と競争できる会社の規模がなければ、買収されるか、市場から撤退するしかありません。


市場規模拡大をどのように経営者が見るか

自分が市場規模拡大を見込める中小企業の株を保有したときに、過去5年程度の経営内容と経営者のビジョンを重要視します。
 
毎年、少しずつの増収増益で満足している経営者であれば、長期に保有する気にはなれません。将来、大企業との競争が起こることを見越して、成長スピードを重視した経営者の方が将来性はあると思います。
 
例えば、日本でSNSが始まった頃、一番人気があったSNSは日本企業のmixiででした。ところが、SNSの市場規模が拡大することで、Facebook、Twitter (現在はX)の海外勢が日本のSNS市場のシェアを取っていきました。その後、YouTube、Instagram、LINEなどが参入していき、mixiはほとんど使われなくなりました。
 
なぜ、SNSの早い段階でmixiはサービスを始めたのに、後から参入してきた会社に追い抜かれたのか。
 
その理由として、SNSは国境を越えたサービスが展開できるので、世界一を目指すビジョンを持っていない経営者だと、市場規模拡大の波についていけないからだと自分は考えています。
 
本田技研工業の創業者である本田宗一郎が「日本一になろうなどと思うな。
世界一になるんだ。」という名言があります。日本の二輪車や自動車産業は欧米よりも後進のはずですが、世界一を目指すビジョンを持っていたので、欧米を追い抜くような企業に成長しました。
 
日本は長期のデフレによって、世界に対抗できるだけの資金力がないという人もいるかもしれませんが、ソフトバンクグループ、ファーストリテーリング、ニデック等の会社はデフレの時期に企業規模が大きく拡大しています。ここに挙げた会社の経営者は世界一を目指して経営を行ってきました。
 
将来、「世界一になるかもしれない」と思わせてくれるような上場企業はないかと東証グロース市場を中心に色々と調べていますが、今のところ見当たりません。自分が見定める能力がないため、見つからないのであれば良いのですが、本当にないのであれば、日本経済の先行きが心配です。
 
暗い話になって終わるのもなんですので、未来への期待を語って終わろうと思います。
 
メジャーリーグで大活躍している大谷翔平や将棋で圧倒的な強さを誇る藤井聡太のように、今までの常識に疑問を抱き、新しい考え方を実践していく若い世代が表れています。同様に、今までの常識を覆すような若い世代の経営者が表れてもおかしくはありません。もしかしたら、もういるのかもしれません。
 
大谷翔平や藤井聡太はその業界に大きな変革を起こしましたが、新しい考え方を持った経営者が表れれば、日本の経済も大きく変わると思います。

--おわり--

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