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意思の伝え方の多様性

 大坂なおみ選手がうつの告白をしました。
 うつの人がこのような重たい決断をしなければならないということを、我々は重く受け止めないといけないと思います。

 大坂選手が、今回の告白をしたことは社会の多くの問題を露呈させました。中でも以下の3つは大変意義深い問題だと思います。
・記者会見を拒否をしたときの報道の仕方
・苦手なことを強要する必要性
・選手が記者会見をする意義


記者会見を拒否をしたときの報道の仕方

 私は記者会見を拒否したとき、何が問題なのかよく分かりませんでした。記者会見を開くことは選手の判断に任されていると誤認していたからです。選手自身が何かを伝えたいという意思があれば会見を開けばよいし、何も伝えたくないと思えば開かなければよいと思っていました。しかし、実際は半ば強制で開かなければ罰金が科せられてしまいます。


苦手なことを強要する必要性

 人前にでることが得意な社交的な人であれば、会見を開くことに何らストレスは感じないでしょう。しかし、内向的で人前にでるのが得意でない人は、会見を開くことに大きなストレスが掛かることは容易に想像できます。成績の良い選手ほど注目を浴び発言力が増すため、掛かるストレスの大きさは計り知れないものとなるでしょう。


記者会見をする意義

 この記者会見の場で、今回のようなうつに関して話すことができたのでしょうか。もしできないのだとしたら、会見を開く意義はあるのでしょうか。会見の主体は選手側にあり、記者側ではないということがポイントだと思います。選手の良さを引き出すような会見であれば良いかもしれませんが、記者の興味に基づいた会見は何か資本主義に基づいた欲望めいたものを感じてしまします。

意思の伝え方の多様性について

 今後、選手が自分の意思を伝える手段はどうあるべきなのでしょうか。誰かのフィルタを通さないようにSNSを通じて行われることなのかもしれません。選手が本音を語れないような記者会見は消えてしまうかもしれません。
 また、スポーツの記者会見に限らず、人前にでることが苦手な人を無理やり人前に出させるという風潮を善とする社会のあり方が問われていると思います。内向的な人を社交的な場に出すのではなく、内向的な人が内向的なままでも意思を伝えることができる環境作りが大切だと思います。
 多様な人がいる中で、マジョリティが決めたルールをもう一度見直して行く必要があるのではないか。そう思わずにはいられません。


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