大江健三郎『セブンティーン』(1961)
若き日の大江健三郎が上梓した問題作『セブンティーン』について考えを深めていきます。
当時1959年から1960年にかけて安保闘争が激化し、日本社会が混迷を極めた時代を背景にした短編小説です。
あらすじ
17歳の誕生日を迎えた「おれ」は、過剰な自意識を抱え、常日頃他人の目に怯えながら生きている。人生のすべてがオルガズムであったら……そんな夢想を抱いて自瀆に耽けることが唯一の慰めだった。「おれ」は左翼的な立場として、孤独に政治思想を深めていくが、それさえも自衛隊の看護婦