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心のタバコ

生きていると、辛いことがある。
そんな時、僕は心のタバコを取り出す。

むかしタバコを吸っていた。
なんとなく始めたタバコ。
仕事に対するイライラ、未来に対する虚無感や不安。
タバコは、それらの負の感情を薄めてくれるものと思っていた。
でも僕の中のイライラは、むしろタバコにより助長された。

こんなもの吸うんじゃなかった。
でも、簡単にやめられなかった。
何度か禁煙を試みた。でもダメだった。
何をやってもダメだった。
イライラして、仕事もうまくいかなかった。人間関係も最悪だった。

タバコを吸い、ため息を吐く。
そんな日々が、何年も続いた。

ある日タバコが突然おいしくなくなった。
何度吸っても不味かった。
焚き火の煙を吸っているみたいだった。
そして自然に吸わなくなった。
自分でも原因はわからなかった。
その少し後、僕は帯状疱疹になった。
今から思えば、僕は心と体を病んでいたのだろう。後からわかったことだけど、同じ時期に軽い肺炎も起こしていた。


僕はリラックスしたい時、僕は架空のタバコをくわえ、架空のジッポライターで架空の火をつける。
そして架空の煙を肺に送り込み、それを味わって吐き出す。

あれから僕は会社を辞め、新しい職場に移った。僕はため息を吐く代わりに、架空のタバコを吸う。

ため息を深呼吸に変える。
ポジティブ変換。

ゆっくり息を吸って 1 2 3 4 5 6 7 8
ゆっくり吐き出す 1 2 3 4 5 6 7 8

少し意地悪な上司 1 2 3 4

未来への不安 1 2 3 4 

心のタバコがある僕は、だいたいリラックスして毎日に臨む。それでもどうしようもない事も人生にはあるのだけれど。

架空のタバコは健康を害さない。当然火も使わないし、お金もかからない。そしていつでも、どこでも取り出せるのだ。


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