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会計はエントロピー収支をどこまで表現できるか

人類は、お金の計算をしながら生きています。なぜでしょうか。

それは、おカネの計算をすれば価値や有限な資源の収支を知ることができるからです。もちろんどんなに精密に会計処理しても、エントロピー(=不確定性・複雑性・難解性)の増減は正確に把握できません。しかしお金の計算は無駄ではありませんし、卑しいことでもありません。

エントロピーには物理エントロピーのほかにも、情報エントロピーや精神エントロピーがあります。それらが組み合わさって、社会エントロピーになります。

一般市民が、太陽の恵みである地球へのネゲントロピー(=マイナスのエントロピー)の流入とか、人間活動による社会エントロピーの増大と縮減とか、増大するエントロピーの宇宙への排出とかを計算しても、生活の足しにはならないでしょう。

けれどももし、利益額=エントロピー縮減量

ならどうでしょうか。これなら我々はお金の収支だけ計算してればよいです。実際には

利益額≒エントロピー縮減量

なので、どんなに完璧な人間でもエントロピー収支の計算ミスをしていることになります。どんな優秀な経営者でも学者でも政治家でも官僚でも、失敗する理由がここにあります。

そう考えると、会計とはエントロピー収支をうまく主観に落とし込めるかというアートです。エントロピー収支をお金の収支として表すことで、物理法則を損得勘定まで落とし込むのです。

ここで大事なのは、おカネの計算を"自分でする"ことです。自分で計算せずに、誰かに任せていても、客観世界を肌感覚に落とし込むチャンスを逃すだけです。会社の事務に納税などを任せてしまうサラリーマンは、めんどくさがる気持ちはわかりますが、大切な感覚を失っています。

これは子育てにも応用可能な考え方です。子育ての際は、子どもにコスト感覚を持ってもらうことが大切です。どんな種類のコストがどれくらいかかったのか、逐一指摘してください。初めは嫌がるでしょうが、やがて「こんなにコストをかけてもらっているんだ。」「自分は親から期待されているんだ」という自信につながるでしょう。

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