日本のオカンが、アフリカ・ギニアで漁業に挑戦してみた話
こんにちは。西アフリカのギニア共和国にて、このnoteを書いています。
今回、noteのお題企画「#わたしと海」が、ヤマハ発動機さん後援だと知り「お世話になりました!」の意味を込め、参加を思い立ちました。
それでは、日本のオカンであるわたしが、無謀にも、アフリカ、ギニアで漁業に挑戦してみた体験をつづります。
はじめに
改めまして、わたしはギニア共和国の首都コナクリで暮らしている二児の母です。アフリカ布のファッションブランドや、ギニアツアーの運営を行う会社「イヌワリアフリカINUWALI AFRICA」経営やライター業をしています。
なぜ漁業?
そもそも、漁業にまったく縁のないわたしが、なぜいきなり漁業にチャレンジしようと思ったのでしょうか。
大西洋に囲まれたギニア
首都コナクリは、イタリア半島のように長細く海に突き出し、大西洋に囲まれています。
海が見える暮らしで思い出した子ども時代
海が目の前に見える一軒家に住みたいという長年の夢が、数年前に叶いました。
海を眺めていると、少しずつ子ども時代の記憶がよみがえってきたのです。
茅ヶ崎育ちのわたしは、海と共に育った生粋の湘南っ子だった。
学校帰りに、友だちと制服のまま海でひと泳ぎして、砂がザラザラついた半乾きの制服で帰宅したこと。
休日には、イカ釣り船に乗った釣り好きの父を迎えに、浜の船着き場まで母と自転車を走らせたこと。
どの記憶も、潮の香りと共に思い出されました。
漁港でのあの感覚は......
ある日、ギニア最大の漁港・ブルビネ港に偶然立ち寄りました。すると、カラフルな漁船や、魚を運ぶ人々、その背景に広がるキラキラ光る海のコンビネーションに目がくぎ付けになったのです。
ロマンチックで心が踊る、この懐しい気持ちはなに?
そして、気がつきました。それは、子どもの頃、父の帰りを船着き場で待っていた時のあの感覚でした。
そこでわたしは決めたのです。船を手に入れよう。
漁船にロマンを感じて
船大工さんを訪ねて
漁業に詳しい知人と、船大工さんの元へ。船は木造で、完全手作りです。
船大工さんと、必要な材料を揃えに行きました。
揃えたもの
くぎ
木材
巨大な発泡スチロールのかたまり(溶かしてから、木と木の隙間や船の内側に流し込むそうです)
タール(水の侵入を防ぐために船の底に塗ります)
ペンキ、ニス、ハケ
船作り開始
船大工さんの要望で、ブルビネ港から船で20分の小島で船を作ることに。購入した重い木材を船に積み、島まで運びました。
漁業の申請や許可証取得
船の登記を済ませ、漁業許可証などを取得しました。
漁の道具を揃える
漁業グッズを扱うお店を回り、網やロープなど、必要なものを探しました。
錨(いかり)を溶接職人さんに特注するなど、次から次へと必要なものが出てきて、結構大変でした。
準備完了!
トラブル続出でどうなることかと心配でした。なんとか約2か月で準備が整ったので、心底ホッとしました。
船の主役は世界のヤマハ・YAMAHA
ここで忘れてはならないもっとも大切な存在が、こちらのヤマハ・YAMAHA電動船外機です。
船を前に進めてくれるモーターです。
他のメーカーのものもありましたが、迷わずヤマハ・YAMAHAさんの船外機を購入しました。
いよいよ船が漁に出る!
神様に、安全、成功祈願をする「セラガエ」という儀式を終え、船には「ドルフィン・イルカ」と名前をつけました。
船に乗る漁師さんたちも決まり、皆でミーティングを重ね、ついに漁に出る日がやってきました。
漁に出る前に
まずは、漁師さんたちが船上でお料理をする食材や道具を購入。
例えば
鍋
炭用コンロ
調理用炭
調理用油
米、トマト、ジャガイモ、玉ねぎ、調味料など
ミネラルウォーター
その他、ガソリンや氷を買いました。
海に出ると、何日も帰らず漁を続けます。そのため、魚を冷やして保管できる氷を大量に船に詰め込んでおくのです。
氷は、船着場の製氷工場で購入できます。
雨が降る中、いざ出発!
いってらっしゃい!
おかえりなさい!
出発から4日後あたりに、船も漁師さんたちも、無事に帰ってきてくれました。
雨季で激しい雨が降る日もあったので、皆の安否が気になりました。
無事でよかった!
結果はいかに!
挑戦してみた結果
初日は大漁、大成功!
最高の笑顔で魚を運ぶみんなの姿に、わたしはこの上ない幸せを感じました。
しかし、それも束の間。
漁業チャレンジを始めてから、ジェットコースター並みのエキサイティングな毎日がはじまりました。
起こったハプニングは数知れず。
漁に出て、嵐でシエラレオーネの国境付近まで船が流され、漁師さんたちが警察に捕まった。
漁に出て、寝ている間に網が流されてなくなった。
漁師さんたちが、秘密で魚を売りさばいていた。
道具が盗まれた。
この時点で、本当は最初から分かり切っていたでしょ!と気がつきました。
自分も一緒に船に乗らなければ、いつまで経っても状況は変わらない。
いやいや、分かっていたけれど、海のロマンには勝てなかったんです。
その他にも
船のメンテナンス費用がバカにならない
みんなの安全を考えると、心配で夜眠れない
悩みながらも、2年半続けました。
結局、始めてから3回目の雨季の前に撤退しました。
ワクワク気分で始め、思い入れもあったので、引き時を決めるのが難しかったです。
ビジネスとしては、わたしが船乗りになる勇気があれば、成功の可能性は大きいと思いました(ガッツがある方はぜひ!)。
漁業を通してしたかったこと
漁業を通して、してみたいことがありました。
知り合いのマダムたちから、「最近、魚が少なくて、値上がりしてるの」と聞いていました。そんな声を聞き、よい魚を安く提供できるシステムを作りたかった。
船を使い、コナクリの海のゴミ問題を解決できるような活動を始めたかった。
釣り好きな方々向けに、漁船ツアーをしてみたかった。
最後に
海を見るたびに、「いま船はどの辺にいるかな?」「船の上で、みんなはどんな星空を見ているんだろう?」とワクワク想像を膨らませた日々。
ギラギラの太陽の下、雷が落ちそうな嵐の中、船に乗り漁をするたくましい漁師さんたちとの交流。
問題もたくさんあったけれど、そのぶん彼らから学ぶことも多く、貴重な体験をさせてもらいました。
漁業に挑戦して得たものは、とても大きかったです。
なによりも、忘れられない海の思い出が、また増えました。
最後に、ヤマハ・YAMAHAさんにお伝えしたいことがあります。
購入させていただいた船外機は、一度も故障することなく、船を動かしてくれ、とても助けられました。ありがとうございました。
ヤマハ・YAMAHAは、私が大好きな、アフリカ・ギニアの海でも大活躍しています。
それでは、最後までお読みくださりありがとうございました
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