パスワード表紙

パスワードは,ひ・み・つ/松原秀行

【あらすじ】パソコン通信を使った学習塾の、交流のためのチャットルームで知り合った中学生5人が、塾長のレイとともに探偵団を結成。風浜町を舞台に、数々の事件を解決してゆく……。


 現在まで続く長寿シリーズで、外伝などを入れると30冊を超える。物語の重要なガジェットであったインターネットの急激な進歩に合わせ、著者自ら手を入れた「new」版も刊行されているとか。よ、読みたい……。

 (旧版を読み返してみて)当時は最新技術だった「パソコン通信」「チャット」やら何やらが、今やSkypeだのLINEだのあって隔世の感。当時はお話のなかのものだったチャットを、今や当たり前のように使いこなしている……そういえば、初めて読んだ頃は自分の携帯電話すら持っていなかったのだ。

 謎解きの魅力もさることながら、主人公のマコトと同じく探偵団のスポーツ少女、みずきの恋が、巻数を重ねるごとに少しずつ(本当に少しずつ)進んでゆくのがたまらなくよい。ランニング中のみずきが道ばたの広告の文字を見、マコトを連想し、自分の中の恋心を意識するなんてくだりなんて、真顔じゃあとても読んでいられない。恋したりケンカしたりしながら一緒に謎を解いていく、「少年少女探偵団もの」の魅力が詰まっている。

 同レーベルの夢水清志郎シリーズと並ぶミステリーものだが、こちらの謎は「パズル」の要素が強め。パズルブックなんてものも出ているようで、こちらも気になる……。

シリーズの情報は→http://aoitori.kodansha.co.jp/series/password/

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