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【about】「クバへ/クバから」_このプロジェクトについて

はじめに

執筆:三野新+いぬのせなか座
編集:三野新+いぬのせなか座
執筆期間:2020/7/28-2020/10/10

 三野新・いぬのせなか座写真/演劇プロジェクト「クバへ/クバから」は、写真家・舞台作家として活動する三野新にとって初となる写真集の共同制作・刊行を通じて、様々な問いを設定・共有・探求・上演していくプロジェクトです。
 本プロジェクトでは、約8ヶ月をかけて、レクチャー・シンポジウムの収録・映像配信、オンラインワークショップの開催、リサーチ・アイデア・議論のアーカイブ、それらを引き受ける新たな作品の制作といった、様々な活動を実施し、公開していきます。そして、それらを通じて、写真集『クバへ/クバから』(仮題、2021年5月刊行予定)を制作。その刊行と合わせて、都内適地で展覧会・パフォーマンスを開催いたします(2021年5月下旬予定)。
 本プロジェクトの制作実行委員会には、言語表現・批評グループ「いぬのせなか座」が加わります。写真集『クバへ/クバから』(仮題)は「いぬのせなか座叢書」の一冊として、デザイン・編集・刊行されます。

 写真集の中心となるイメージの対象は「沖縄の風景」です。三野が沖縄で撮影した写真を発端に、他でもない写真集の制作・刊行を通して、「写真(撮影行為)とは何か」を探ります。写真集にとっていわば根源的とも言えるこの問いを、「(非)当事者性と表現はどのような関係にあるか」という問いや、「共同制作」「上演」をめぐる問いなどと絡ませつつ、批判的に検討・展開していきます。
 本プロジェクトは複数の距離、イメージ、自由を扱います。たとえば、「日本」における「沖縄の風景」が持つイメージ、その重要性ないしは語りづらさ、沖縄写真史における種々のモチーフとその扱い方、COVID-19の感染蔓延による渡航制限、他者への加害可能性、経験の濃淡と表現者の倫理、身振りと形態的類似、「直接性の喩」など。
 一連の過程は、メディアプラットフォーム「note」の定期購読マガジンにアーカイヴされていきます。完成後の写真集を手に入れるだけではなく、このマガジンの定期購読をはじめ、座談会のライブ配信の視聴、ワークショップへの参加、展示会への来場など、さまざまなかたちで、どなたでも本プロジェクトにご参加いただけます。

 本プロジェクトは、一人のアーティストが特定の場所をめぐって展開する表現と、その分析・応答のアマルガム(入り混じったもの)です。そして同時に、複数の表現形式/表現者/当事者のあいだで交わされる、「共同」に関する8ヶ月ほどの試行錯誤であり、それを記録し「写真集」として成立させることを試みる制作過程です。そこでは第一に、多様なリサーチ・議論・制作を通じて、主たるモチーフである「沖縄の風景」に対する、新たなアプローチが模索されていくでしょう。
 もちろん、それに留まりません。本プロジェクトが目指すのは、沖縄の風景、写真/演劇/書物という表現形式、三野新やいぬのせなか座という個々の表現者を超えて、様々な場・人・出来事において/向けて使用可能な「フィクション」を積み上げ、プロジェクト内外に共有していくことでもあります。その先で、固有の定義や問い、環境、条件を持つさまざまな論点――自由、表現、歴史、当事者性、書物、演劇、写真――をめぐっての、新たな態度が、いかなるかたちで作り出され得るのか。
 それが、本プロジェクト最大の焦点となります。

参加方法

 メディアプラットフォーム「note」定期購読マガジンを購読することで、本プロジェクトのオンラインアーカイヴにご参加いただけます。
 ご参加いただいた方は、本会が投稿する本プロジェクトに関するリサーチ経過、座談会の投影資料、写真集の素材となる写真・テキストなどがご覧いただけるほか、以下に挙げる優待を受けられます。

出版物の入手

「note」定期購読マガジンの月額料金を4ヶ月以上お支払いいただくことで、写真集(通常版)1冊を進呈します。送料は原則無料とします(海外発送をご希望の方はお問い合わせください)。
 また、写真集は、定期講読マガジンを購読していない方も、いぬのせなか座ECサイト(STORES.jp)を通じた予約購入または通常購入が行えます。
 上記ECサイトからお買い求めの場合、「note」定期購読マガジンの購読期間に関わらず、費用の値下げはいたしかねますのでご了承ください。

座談会の視聴・参加

 レクシャー・シンポジウムのライブ配信は、どなたでも無料でご視聴いただけます。配信終了後も、映像のアーカイヴは無料でご視聴していただけますが、映像をもとに編集・構成・加筆されたテキストアーカイヴは、「note」定期購読マガジンに掲載され、購読者の方のみご覧いただけます。

※第一回のみ、テキストアーカイヴも一部無料。

ワークショップ・写真展・写真展パフォーマンス

 「note」定期購読マガジンをご購読の方は、参加チケットを先行購入できます。また、どなたでもオンラインチケット購入サービスを通じた予約購入が行えます。


公式サイト


お問い合わせ先

「三野新・いぬのせなか座 写真/演劇プロジェクト」制作実行委員会
(略称:三野プロ委員会):tofromkuba@gmail.com


実行委員会プロフィール

三野新 Arata Mino
1987年福岡県生まれ。2010年より「写真と身体の関係性を追求するカンパニー」であるヒッピー部を主宰し、以降全作品の写真・構成・演出を手がける。2013年より「恐怖の予感を視覚化する」ことをテーマに個人名義での発表を開始し、写真展示・パフォーマンス作品の発表や、他アーティスト・雑誌・ファッションブランドとのコラボレーションを続けてきた。2017年より舞台芸術カンパニーである「ニカサン」を設立。2020年に「うまく落ちる練習」で第19回AAF戯曲賞特別賞を受賞した。主な発表に『Prepared for film』(SNAC&G/P gallery、2014)、『Z/G』(G/P gallery、2013)、『息」をし続けている』(2019-)、『King-Richard_3.tomb』(網守将平との共作、TPR Webサイト、2020-)等。主な出版物に『Z/G』(artbeat publishers、2014)。受賞歴にフェスティバル/トーキョー12′公募プログラム選出、第2回&第4回写真「1_WALL」展入賞、TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD ♯04 準グランプリ&ホンマタカシ審査員賞受賞など。(公式サイト:http://www.aratamino.com)Twitter: @aRanmeno

いぬのせなか座 Inunosenakaza
山本浩貴(1992年生)+h(1993年生)、鈴木一平(1991年生)、なまけ(1991年生)、笠井康平(1988年生)からなる制作・批評グループ。2015年の発足以来、詩や小説、散文作品の制作はもちろん、書籍の編集・デザインやパフォーマンスの上演など、様々な角度から言語表現の可能性や他表現ジャンルとの関係、共同制作の手法や意義を考え、提示している。『ユリイカ』『文藝』『美術手帖』『現代詩手帖』といった各種媒体への作品・批評の寄稿や、三鷹SCOOLでの連続講座、早稲田小劇場どらま館でのワークショップのほか、演劇や映画、写真、美術、ダンスなど様々な表現ジャンルの制作・批評に幅広く関わる。(公式サイト:http://inunosenakaza.com


1993年生まれ。小説の制作のほか、山本浩貴とともにデザインや編集、パフォーマンスを行う。主なちいさな話に『六月二一日』(いぬのせなか座)、『2018.4』(いぬのせなか座)、「盆のこと」(『いぬのせなか座2号』)、「すべての少年」(http://inunoesa.tumblr.com)ほか。Twitter:@_ballooning

笠井康平 Kouhei Kasai
1988年生まれ。東京都在住の会社員。2014年から2024年まで自粛中。2018年からいぬのせなか座メンバーとなり、極私的な表現規制のなかで著作を続けている。近作に『私的なものへの配慮No.3』(2018)「10日間で作文を上手にする方法」(2019-)「清潔でとても明るい場所を」(2019, 円盤に乗る派)舞台芸術としてのテキスト「現代短歌のテキストマイニング―𠮷田恭大『光と私語』を題材に」(2019)「三野新・いぬのせなか座 写真/演劇プロジェクト 事業計画書」(2020)。主な関心は言語表現史、リテラシー、文化経済学、自然言語処理、情報法制、データ流通など。芸術では「なかったこと」にされるテキストに愛着がある。Twitter: @kasaikouhei

鈴木一平 Ippei Suzuki
1991年、宮城県生まれ。「いぬのせなか座」「Aa」参加。詩の制作のほか、いぬのせなか座ではパフォーマンスや複数人での朗読も行う。2016年に第一詩集『灰と家』(いぬのせなか座)を刊行、同書で第6回エルスール財団新人賞受賞、第35回現代詩花椿賞最終候補。主な批評に「現代詩アンソロジー「認識の積み木」」(『美術手帖』2018年3月号)、「無症候性の形象 新型コロナウイルス感染症をめぐる言語表現の受動性について」(『現代詩手帖』2020年7月号)など。Twitter:@ana_ta_des

なまけ namake
1991年、東京都生まれ。「ロケットのはなし」(『いぬのせなか座』1号)、「日記」(『いぬのせなか座』2号)、「水夫たち」(『てつき1』)など。Twitter: @PDCIKAAEET

山本浩貴 Hiroki Yamamoto
1992年生まれ。「いぬのせなか座」主宰。小説や詩の制作、諸芸術ジャンルの批評のほか、hとともにデザインや編集、パフォーマンスを行う。主な小説に「pot hole(楽器のような音)」(『ことばと』vol.1)。主な批評に「新たな距離 大江健三郎における制作と思考」(『いぬのせなか座』1号)、「ただの死がもたらす群生した〈軋み〉 大林宣彦における制作と思考」(『ユリイカ』2020年9月臨時増刊号 総特集=大林宣彦)、「主観性と物性の誤認的関係(テクストの衝突、運動の構え)」(ワークショップ「奇跡、喩、信(救い投げだす身ぶり)」)、「制作的空間と言語 「あそこに私がいる」で編まれた共同体の設計にむけて」(『ÉKRITS』)、「世界の配置、鉱物化された奥行き/生 加藤広太展「目前に立ち現れる」展評」。主なデザインに「現代詩アンソロジー「認識の積み木」」(『美術手帖』2018年3月号)、吉田恭大『光と私語』(いぬのせなか座叢書3)、佐々木敦『私は小説である』(幻戯書房)、展覧会「影どもの住む部屋Ⅱ 瀧口修造の〈本〉」(慶應義塾大学アート・センター)フライヤー・ポスター・パンフレットデザイン。Twitter: @hiroki_yamamoto

サポートスタッフ

ウェブデザイン・制作 杉浦一基 Kazuki Sugiura
会計 木田愛希 Yasuki Kida
撮影・撮影助手 志賀耕太 Kouta Shiga
映像編集・映像編集補佐 中谷優希 Yuki Nakatani

伴走者(役名未定)

※後日詳報予定です。

パフォーマー(役名未定)

※後日詳報予定です。

助成

公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う京都市⽂化芸術活動緊急奨励⾦

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ご購読いただくと、三野新の過去作品や映像アーカイヴ、写真集に収録予定の写真(一部)のほか、レクチャー、シンポジウムの映像・テキストアーカイヴがすべてご覧いただけます。 ワークショップ、展覧会の予約申込もご購読者を優待します。 さらに4ヶ月以上ご購読いただいた方には、写真集1冊(予価:税込5,000円)を贈呈いたします。もちろんプロジェクトメンバーも大喜び。あなたのご参加が、多くのひとにとって、忘れがたい大切な記録になりますように。

写真家・舞台作家の三野新と、いぬのせなか座による、沖縄の風景のイメージをモチーフとした写真集を共同制作するプロジェクト「クバへ/クバから」…

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