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9月17日公開オススメ映画『スイング・ステート』『偽りの隣人 ある諜報員の告白』『由宇子の天秤』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、9月17日に公開されるオススメ映画をご紹介します。

今週は、割と地味目なラインナップではありますが、見応えのある秀作が多数公開されます。この三作品以外も、ぜひ観ていただきたい作品が多く、作品選びに迷ってしまいました。

映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

スイング・ステート

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選挙激戦区(スイング・ステート)のひとつとして知られるウィスコンシン州の小さな町を舞台に、民主党と共和党の代理戦争となった町長選挙の様子を描く選挙コメディ『スイング・ステート』

アメリカの人気パロディ・ニュース番組「ザ・デイリー・ショー」でキャスター兼脚本・プロデュースを担当したジョン・スチュワートが監督・脚本を務めた本作。自身がキャリアの中で報じてきた選挙の様子や政治家の様子を反映し、アメリカの政治システムや拝金主義、そして加熱する選挙戦の模様を見事に風刺してみせています。

民主党の選挙参謀を演じるスティーヴ・カレル、共和党の選挙参謀を演じているのはローズ・バーンが演じています。自民党総裁選、そして衆議院議員選挙を控えた今、他人事と笑ってばかりもいられない、ブラックな選挙コメディです。

『スイング・ステート』(102分/アメリカ/2020年)
原題:Irresistible
公開:2021年9月17日
配給:パルコ、ユニバーサル映画
劇場:TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国にて
Official Website:https://swingstate-movie.com/
©2020 Focus Features, LLC.

偽りの隣人 ある諜報員の告白

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1985年、軍事政権下の韓国を舞台に、軟禁された野党政治家イ・ウィシクと彼を盗聴する諜報員の姿を描く映画『偽りの隣人 ある諜報員の告白』。2006年のドイツ映画『善き人のためのソナタ』のような、盗聴する人が盗聴されている人から影響を受けていく様子を描いています。

とはいえ、この『偽りの隣人 ある諜報員の告白』の監督は2012年の韓国大ヒット映画『7番房の奇跡』のイ・ファンギョン監督。政治サスペンスや韓国ノワールとは一線を画す、驚きの展開が隠されています。まさかこう来るとは、思ってもいませんでした。

そんなこの作品、明言はされていませんが、軟禁される政治家イ・ウィシクのモデルは韓国第15代大統領の金大中と言われています。韓国の時代背景を知らなくても楽しめますが、少し知っておくと、セリフの意味や登場人物たちの行動の意味など、より理解が深まるはずです。


『偽りの隣人 ある諜報員の告白』(130分/韓国/2020年)
原題:이웃사촌
英題:Best Friend
公開:2021年9月17日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:シネマート新宿ほか全国にて
Official Website:https://itsuwari-rinjin.com/
© 2020 LittleBig Pictures All Rights Reserved.

由宇子の天秤

そして最後にご紹介するのが、映画『由宇子の天秤』です。第20回ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア国際映画祭、第25回釜山国際映画祭、第4回平遥国際映画祭など、多くの映画祭で受賞、ノミネートされた春本雄二郎監督・脚本作。

本作の主人公・由宇子は女子高生いじめ自殺事件を追うドキュメンタリーディレクター。テレビ局の方針と対立するも、自信の信念にそって報道による被害を訴える番組を作ろうとします。しかし、自身の父の問題を知り、信念が揺らいでいくのです。

真実とは? 正しさとは? 正義とは? 自分だったら何を選ぶか、心が揺さぶられるこの作品。由宇子を演じる瀧内公美の演技にも引き込まれずにいられないはずです。

『由宇子の天秤』(152分/日本/2020年)
公開:2021年9月17日
配給:ビターズ・エンド
劇場:渋谷ユーロスペースほか全国にて順次公開
Official Website:https://bitters.co.jp/tenbin/

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