10月1日公開オススメ映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『TOVE/トーベ』『護られなかった者たちへ』
映画ライターの松 弥々子が、今週末、10月1日に公開されるオススメ映画をご紹介します。
ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
「007」シリーズ25作目。そして第6代目ジェームズ・ボンドであるダニエル・クレイグ版ボンドの第5作目にして最終作となる映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。2006年の『007/カジノ・ロワイヤル』から彼が演じてきた、愛に苦悩するボンドがこれで見納めとなります。
ダニエル・クレイグは前作『007 スペクター』でボンド役を引退すると言われており、実際にボンドがMI6を去る姿も描かれていたのですが……。ジャマイカで愛するマドレーヌ(レア・セドゥ)と穏やかな日々を送っていたはずのボンドは、旧友から助けを求められ、かつていた世界に再び足を踏み入れます。
敵役・サフィンとして登場するのは、『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役も記憶に新しいラミ・マレック。シリーズ最凶の敵としてボンドの前に立ちふさがります。さらに、前作から引き続きエルンスト・スタヴロ・ブロフェルド役のクリストフ・ヴァルツも登場。今作でもボンドに残酷な現実を突きつけてきます。
ダニエル・クレイグの15年にわたるジェームズ・ボンドとの旅路を見届けるためにも、必見の一作。大スクリーンで、華麗かつ重厚なスパイアクション、そしてダニエル・クレイグ版ボンドを見送りましょう。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(164分/アメリカ/2020年)
原題:No Time To Die
配給:東宝東和
劇場:全国にて
公開:2021年10月1日
Official Facebook:http://www.facebook.com/JamesBond007
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TOVE/トーベ
ムーミンの作者として知られるトーべ・ヤンソン。ムーミンのことは知っていても、生みの親であるトーべ・ヤンソンのことを知っている人は少ないのではないでしょうか。映画『TOVE/トーベ』はそんな彼女の半生を描いた一作です。
1914年にフィンランドのヘルシンキで生まれたトーベは、著名な彫刻家の父と挿絵画家の母から芸術的な教育を受けて育ちます。画家として成功を夢見ますが、なかなか芽が出ず、風刺画やイラスト、絵本などの分野で活動しながら、絵を描き続けていました。
第二次世界大戦中の1943年、彼女の絵にムーミントロールの原型らしきスノークが初めて登場。そして1945年、ムーミン小説の第一弾「小さなトロールと大きな洪水」が出版されます。
その頃、トーベはスナフキンのモデルであるアトス・ヴィルタネンや、ビフスランのモデルであるヴィヴィカ・バンドラーと出会い、恋に落ちるのです。やがて、ムーミンシリーズは世界で人気を博していきます。
劇中には、トーべが愛した男性や女性が登場。彼らがムーミンの物語の登場人物のモデルであることが示唆されています。スナフキンの帽子、トフスランとビフスランの二人だけにわかる不思議な言葉、トゥーティッキーのファッション……。ムーミンファンであれば、きっと「あ!」と気付くはず。トーベは、自分の愛する人たちをムーミンシリーズの中に登場させ、キャラクターたちにメッセージを託していたのです。
激動の時代に生きたトーべ・ヤンソン。彼女の自由な精神と芸術への強い意欲を感じさせるこの作品、ムーミンファンはもちろん、ムーミンファンではない人にも観てほしい一作です。
『TOVE/トーベ』(103分/フィンランド=スウェーデン/2020年)
原題:Tove
公開:2021年10月1日
配給:クロックワークス
劇場:新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて
Official Website:https://klockworx-v.com/tove/
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護られなかった者たちへ
最後に、中山七里の小説を瀬々敬久監督が映画化した『護られなかった者たちへ』をご紹介します。
物語の舞台は、東日本大震災の被災地・宮城県。
震災から10年目の宮城県で、全身を縛られたまま放置され、餓死させられるという殺人事件が発生します。阿部寛演じる宮城県警捜査第一課の刑事・笘篠が事件を追ううち、一人の容疑者が浮上。その容疑者・利根を、佐藤健が演じています。
佐藤健と阿部寛という日本映画界を代表する二人の名優が、全身全霊で役に挑む姿は、物語に重厚さを加えています。
未曾有の大震災で、多くの人々が家を流され、財産を失い、家族を亡くしました。10年経った今、同じ被災者の間でも大きな格差がひらいているのです……。
瀬々監督は本作で、宮城県各地でロケを行ない、“護られなかった者たち”に光を当てています。作品に込められた強いメッセージは、観るものに強い印象を残すはず。
あの日から10年経った今だからこそ、観ておきたい一作と言えるでしょう。
『護られなかった者たちへ』(134分/日本/2021年)
公開:2021年10月1日
配給:松竹
劇場:全国にて
Official Website:https://movies.shochiku.co.jp/mamorare/
(C)2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会