10月7日・10月8日公開オススメ映画『バッドガイズ』『ソングバード』『アメリカから来た少女』

2022年10月7日 12:00

映画ライターの松弥々子が、今週末、10月7日・8日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

バッドガイズ

ドリームワークスの贈るCGアニメ『バッドガイズ』は、ミスター・ウルフ、スネーク、ピラニア、シャーク、タランチュラといった動物たちによる強盗団の物語。
動物と人間がともに生きる世界で、ミスター・ウルフら“バッドガイズ”が華麗にあるミッションに挑みます。

タランティーノ・オマージュからはじまり、日本人的にはルパン3世を思い出してしまうような、粋でクールなクライム・ストーリーです。
もとはオーストラリアの人気児童書ということなのですが、本作は大人も楽しめるエキサイティングな演出や、映画好きがついニヤリとしてしまうような演出や小ネタも仕込まれています。

今回、私は日本語吹替版で鑑賞したのですが、尾上松也をはじめとする吹替声優陣も好演。安田顕、A.B.C-Zの河合郁人、チョコレートプラネットの長田庄平、ファーストサマーウイカらが見事に役になりきって楽しませてくれます。

大人から子どもまで楽しめるエンターテインメント作品なので、ぜひ気軽に楽しんでほしいと思います。

『バッドガイズ』（101分／アメリカ／2022年）
原題：The Bad Guys
公開：2022年10月7日
配給：東宝東和、ギャガ
劇場：TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて
Official Website：https://gaga.ne.jp/badguys/
© 2021 DREAMWORKS ANIMATION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ソングバード

2020年に世界中で感染拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)。
本作『ソングバード』は、このコロナウイルスのパンデミックとロックダウンに着想を得た、パンデミック・スリラーです。

舞台となるのは、2024年のロサンゼルス。コロナウイルスがCOVID-19からCOVID-23へより致死性の高いウイルスと変性し、世界的にロックダウンが広がるディストピアが舞台となっています。

ここでウイルスに対する免疫を持つ主人公・ニコは、ロックダウン下でも街に出ることができるという特権を持っています。しかし、恋人のサラは免疫を持っていないため、2人は直接顔を合わせたり触れ合ったりすることもできないままに、愛を育てていました。しかし、サラの祖母リタにウイルス感染の疑いが浮上し、サラも二度と出てこられない隔離キャンプに強制収容されそうになるのですが……。

2019年には思いもしなかったようなパンデミックが世界中に広がった2020年。COVID-19以前と以後では、人々の意識が明確に変わったと思います。

アダム・メイソン監督は、ロックダウンという特別な期間に、顔を合わすことができない恋人たちのラブストーリーを練り上げ、本作のようなスリラーに落とし込みました。マイケル・ベイが製作を務めたことでも話題のこの作品、少しウイルスに対する警戒心がゆるんできた今だからこそ、見ておきたい一作でした。

アメリカから来た少女

2003年の台湾を舞台に、アメリカで暮らしていた13歳の少女が主人公となっている映画『アメリカから来た少女』。
2021年の東京国際映画祭やNETFLIXでは『アメリカン・ガール』というタイトルで紹介されていました。

母が乳がんになったことをきっかけに、アメリカから台湾にやってきたファンイーは、台湾の暮らしに馴染めず葛藤します。
LAの友人との別れた淋しさ、校則で髪の毛を切らされる理不尽さ、慣れない中国語での勉強の難しさ、学校でアメリカン・ガールとからかわれる辛さ、病気の母親を心配する気持ち、母のせいで帰国しなければいけなくなったという恨み……。
いろいろな感情が渦巻き、素直に自分の心を表現できない感覚は、多くの人が理解できるのではないでしょうか。

この作品、ロアン・フォンイー（阮鳳儀）監督の自伝的物語でもあります、母親を演じるカリーナ・ラム自身もカナダで生まれ育ち、台湾に戻るという経歴を持つ人物。母親役をオファーされて脚本を読んだところ、まずファンイーに感情移入してしまったそうです。

SARSが流行した2003年を舞台にしたこの作品は、コロナウイルスの感染が広がった昨今とどこか通じるものを感じさせます。
少女の複雑な心、愛しあい心配しあいながらもすれ違う親子の心、愛と現実の間で揺らぐ夫婦関係など、いつの世にも通じる普遍性を感じさせてくれるやさしい映画でした。

『アメリカから来た少女』（101分／台湾／2021年）
原題：美國女孩
英題：American Girl
公開：2022年10月8日
配給：A PEOPLE CINEMA
劇場：ユーロスペースほか全国順次公開
Official Website：https://apeople.world/amerika_shojo/
（C）Splash Pictures Inc., Media Asia Film Production Ltd., JVR Music International Ltd., G.H.Y. Culture & Media （Singapore）.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？