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JKの価値

「本当に私がいいの?高校生なら誰でも良かったんじゃなくて本当に?」


女子校で「紹介行けない?」そう聞かれたのは先日のこと。彼がいない私は何も考えずに二つ返事でOKした。

数日が経って彼女が学校の廊下で「明日とかあいてる?」と聞いてきた。彼女とは一年の時同じクラスだったが、今は違う。

何の予定もない私はまたもや何も考えずに二つ返事でOKした。

学校の帰りに彼女の家に行くことになった。そこには彼女が付き合ってる大学生とその友達である私への紹介人物が来るらしい。

彼女の家は割ときちんとしたお家だった。お母さんが優しい笑みで迎えてくれた。「いらっしゃい。あがってね」「こんにちは」私は軽く挨拶をして「お邪魔します」とお家にあげてもらった。

少しして男性達がやって来た。「こんにちは」お母さんと私の同級生の彼はすっかり仲良しな様子で会話を弾ませていた。私は少し驚いたが、親公認の仲なのだなと思った。

彼の後に続く男性も大学生らしかった。お母さんに挨拶して上がってきた。

四人揃ったところで自己紹介となった。同級生と彼は慣れているのかスラスラと自己紹介をした。わたしの紹介の相手も大学生だけあってスラスラと自己紹介した。残るは私一人。

紹介なんて初めての私はましてや相手が大学生ということもあり、緊張していた。後の三人はそんな私の気持ちをほぐそうと優しく面白くその場を盛り上げてくれている。

「佐伯紬です。高二で、結奈と同じ学校で一年の時は同じクラスでした。B型の双子座一人っ子です。」ここまで言うのにどれ程の時間がかかったのか自分でも覚えていない。頭の中が真っ白でとにかく思い出す言葉を口にした。

でも三人はとても優しく、パチパチパチと拍手してくれた。わたしは内心ホッとした。それからは三人のペースで話は進み負けたら頬にキスするゲームが始まろうとしていた。

「私顔洗おっと」同級生が真っ先に言った。続いて皆で顔を洗った。ゲームはあっさり私が負けた。皆の頬にキスしていい感じに盛り上がりも絶頂だった。

同級生の彼が「そろそろご飯でも食べに行こうか」と言い出した。彼女は待ってましたと言わんばかりだった。彼女のお母さんは家で食べて行くように何度か言っていたが丁重におことわりしていた。

二台の車にそれぞれのカップルが別れて乗った。私は正直同級生の彼に一目惚れしてしまった。紹介の人もそれなりにかっこ良かったけれど比べ物にならないくらい彼はかっこ良かった。同級生に嫉妬するほどだった。

紹介の彼も女の子慣れしていて、会話も弾み次第に良い人だななんて思い始めていた。
食事中も皆私を中心に話をしてくれてとても楽しい時間が過ぎた。

帰りはそれぞれ大学生が女の子を家まで送っていくということになった。彼は車中で「本当に可愛いね。素敵な子を紹介して貰えてうれしいよ」的なことを言っていた気がする。わたしは緊張でそれどころではなかった。でも彼が「付き合ってくれる?返事は今でなくていいよ。」と言ったのははっきりと覚えている。

ほどなくして家についたので「ありがとうございます。それじゃあまた」と私は車から降りた。

付き合ったことが無いわけではない。中学の時も彼が居たし、高校生になってからも居たことはある。でも相手は皆同い年だった。歳上の人と付き合うのは少し怖かった。

それに私はこともあろうか同級生の彼に一目惚れしている。この恋は叶わないのはわかっている。あの二人はとても仲良くうまくいっている。結婚も視野に入れているのかもしれないと思うほどだ。

もう一点気になることが私にはあった。大学生が高校生と付き合いたがることについてだ。ロリコンとまではいかないにしても、目的は付き合うことではなくてセックスすることではないかということだ。

とても優しくて面白くて良い人に思えたあの大学生の頭の中身までは見えない。紹介の条件は気に入らなければ断ってもいいということだったが、私は数日悩んだ。

悩んでる間も彼からは連絡がきたし、学校に車でお迎えにも来てくれた。話せば楽しいし会えば楽しい。けれど、同級生の彼のことを想ってしまう。

そんな日が続いたある日「返事聞かせてくれる?」と言われた。私は考えもしないで口が動いていた。「本当に私がいいの?高校生なら誰でもいいんじゃなくて本当に?」彼は少し面食らった顔をしてから「勿論紬ちゃんが好きなんだよ。」と言ってくれた。

そんな優しい彼を私はこともなげにふってしまう。「ごめんなさい」彼はこんな時も優しかった。「いいよ。紬ちゃんが気にすることないよ」彼はそう言って家まで送ってくれた。

本当のところ彼は優しい良い人だったのか、ただ高校生とセックスしたいだけの人だったのかはわからないけど、結局大学生と付き合うのが怖かっただけなのかもしれない。

このことで得た教訓は恐れていては何も始まらないということと友達の彼に一目惚れしてはいけないだ。

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