年下の書いた歌詞に泣く

高校球児が年下で焦る的な話を聞いて久しいですけど、私も気づけばアラサーでございますよ。ドモホルンリンクルを聞き流せない年齢に差し掛かって参りましたよ。

最近テレビを見てても、同世代とか下手したら自分より若い人の出演が多くなって来ました。

最近よく見る浜辺美波なんて、もう10才近く下なんすよ？テレビ見て普通に「きゃわえぇ」ってよだれを拭いてますけど、成人式の若者からしたら、天才てれびくんに出てる年齢子供によだれたらしてるのと同じ歳の差ですからね。これ以上ヤベェ部分を俺に足したら、シャバの空気吸えなくなっちまいますよ。

ってか下積みが長いって言われてるお笑い芸人でさえ霜降りなんて同い年ですし、音楽を席巻してる米津玄師は一つ上、同い年の指原莉乃なんて、貫禄すら出てきてますもんね。

なんなら広瀬アリスとかゴリゴリの年下なんすよね。気持ちは、ずず妹のアリス姉の感覚ですけど、全然俺長男やったんすよ。ここまで来ると「阿佐ヶ谷姉妹、お前の2個上やで」って言われても驚かへんすわ。

テレビを見ながらそんなことを考えて日々暮らしてるんすけどね、現実逃避の為に年齢を忘れてApple Musicローラーをしてたこの前、ええ曲を見つけたんですよ。

最近ハマってるMONO NO AWAREってバンドの、言葉がなかったらって曲なんすよ。

俺さ、おしゃべりが高じて大震災レベルの口の災いを生み出してきたからさ、昔から「言葉」に関する曲って結構心を震わされてきたんですよ。

俺の好きなバンド不動の一位のガガガSPでも言葉って曲が1.2を争うレベルで好きってくらい、言葉に関する曲には弱いんすよ。そんな中で、MONO NO AWAREの言葉がなかったらがめちゃめちゃ刺さったんすよね。

ほんで1人帰り道、この曲を聞いてしみじみしてるとき、また思い出してもうたんですよ。



せや、と。

このバンド、俺より年下のバンドやったやん、と。

コレまでも感動的な曲を作る年下なんて、腐るほどおったんやと思います。でも改めて気がついたのが今回初めてやったんですよね。

と同時になんか複雑な気持ちになってくるんすよ。

自分よりも年数という意味では人生経験が少ない若い子ってのは紛れもない訳ですよ。その子の頭の中を見せてもらって、長い事生きてる俺が、涙を流すほど感動する。これはどうなんやと思ってもうたんですよね。

年下が言葉の重みにもがく曲を聞いて、年上の俺がおんなじ温度になって感動してるんですよ。

生きてる年数は俺の方が長いはずやのに、短い人の感覚にハッとさせられるって、俺はなんなんやと。
俺が今考えてるコレは、もっと早くに気づいておくべき事やったんやないかと。
よくない思考の堂々巡りですわ。俺の人生は何やったんやと、そのレベルで考えてしまうんですよね。

そもそもですよ、日ごろ酒を飲んで大きい声で下ネタを垂れ流す俺ですけど、びっくりするくらい心が弱いんですわ。

毎日日記を書かないとパンダくらいバッチリ目の下にくまが出来たり、昔付き合ってた女の子に振られて飯食えんなって15キロ痩せたり、もし俺が女の子やったら、確実に地雷って言われる人間やったと思いますよ。いや、ちゃんと地雷男ですからね。

そんな性格が高じて、ちょっとしたことですぐ病むんですわ。

メンヘラ界のスーパーカブっすよ。
ちょっとの燃料で、ずっと病んでますからね。

だからこのMONO NO AWAREの曲だって、別に病むような曲やないんですよ。ただただ俺が超解釈をして、開けなくていい闇の引き出しからいらんもん取り出してるだけの話なんすよね。

ただ思うんすけど、引き出しを開けさせる能力ってのが年齢関係なくクリエイターの才能やと思うんすよ。

それこそ俺は重松清って小説家が大好きなんやけどさ、あの人のトンビとか子供を育てたこともねぇのに、俺鼻水垂らすくらい泣いたんですよ。

自分の親父とか、周りの不器用なお父さんとか、自分の人生とかありとあらゆる俺の引き出しを勝手に開けまくって、感動して泣いたんやと思うんすよ。

作家の能力ってココやと思うんすよね。

人に刺さるって、一言一句その人の言葉で刺さってるわけやないんすよ。
切腹させるのがうまい人が、人に刺さる作品を作れる人やと思うんすよね。

そうや。経験だけじゃないんや。

ちょっと気持ちが楽になったところで、もう一度MONO NO AWAREの曲を聴いた。

言葉の重要性を考えすぎ、苦悩にまみれる曲。

そう聞こえてきた言葉がなかったらの歌詞が、ゴリゴリの恋愛ソングだったとき、アラサーの俺は、もう一度膝から崩れ落ちることになるのでございました。