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自分で決める

「中3になったから、ちょっと頑張らないとと思って」
彼女は中1の途中から基本家に引きこもっていました。ふろにも入らず外にも出ず、親が外出を誘っても応じるわけもなく。打開策がないままに、高校進学の資料、例えばこういう種類の学校があるよとか、この近くだとこんなところもあるみたいだねーとか、いくつかの名前を出してみて、自分で調べてみたらいいと委ねたのが4月のはじめ。
そこから自分である程度調べてみてようで、その中で興味のあった学校の説明会があることを知ります。行ったほうがいいかなと思ったものの、気が付けば人前に出られるような髪型ではないことに気が付きます。伸びきった髪をまずは何とかしなくてはいけない。彼女は親に「切ってほしい」と頼みますが、素人がそうそう上手にカットできる限度を超えていたため、親は美容室に行ったほうがいいのではないかと話します。悩みましたが、仕方がないので恐怖だったけど美容室に行きました。
そこから彼女は学校の説明会には無事に行き、別日にあった体験会にも顔を出しました。そのほかにも、興味があったからと一人で自転車に乗って買い物にも出たりして。
驚いたのは親のほうで、今までからは想像もできないようなことが次々と起こっていくことに喜びながらも戸惑いながら、どうにか本人に置いて行かれないように引きずられるようにこの数か月を過ごしたと言います。
どうしてまた急にこうなった?と聞くと、「中3になったから、ちょっと頑張らないとと思って」と。そんな話聞いたことないぞと思いましたが。

そうかと思えば、親が心配になっていろいろと説明会の日程とか申し込みとかを先回りしたものの、本人は乗り気ではなく出かけないという子もいます。「現実から逃げてる」と学校の先生方は言うことも多いのですが、よくよく聴いてみると、本人なりに様々なことを考えたうえで、「全日制に通いたいけど自信が全くなく、そんなことを考えていたらほかの選択肢も上手くいかないのではないかと考えてしまい、どうしたらいいのかわからなくなった」と話してくれました。動き出さないのには、理由があるんだなと思うのです。これはこれでいいのではないか。悩んだ結果として今は動けないということなのだと思うんです。

物事を決めるスピードは、人それぞれですね。どちらがいいとか悪いとかないのですが、どちらの応援団でいたいものだと思った今日この頃でした。

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