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わたし2.5(あなたにむけて)

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自分を解体するエッセイじゃないけどそのような何か。 心のびょうき/詩人のこと/カウンセリング 誰かの何かになればいいね。
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2015年2月の記事一覧

鉄塔

私の故郷は海沿いの小さな田舎町だ。4階建てのマンションに小さい頃から住んでいて、歩いて10分ほどで海まで行ける。海岸通りは刈り取ったようにきれいな弧を描いている。海岸通りの端には火力発電所があって、三本の大きな煙突が生えている。それらが子供を生むように山沿いに送電線が並んでいて、この町にはやたらと鉄塔がそびえ立っていた。山のてっぺんにはかならず鉄塔があったし、それはいつも私や町を見下ろしていた。

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〈いま〉を解体するために

過去と未来の間に立つ私達にとって、漂白され薄まっていく〈いま〉の感覚とは一体どこからきてなにになるのか。いかようにも変わる〈いま〉という時間の一点から、私達が見つめているものはなにか。

時間と言う概念がわたしたちを現在に固定させ、固定された合理計算の支配によって私達は生活をし、日常をこなしている。その合理計算の弊害により、私達の〈いま〉という感覚は引き伸ばされて薄くなり足元は既に脆弱と化して

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