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環境が変わるたびに”自分は何者か”に立ち戻り、イチから「場」をつくってきたからこそ得られたもの【インタビューNo.1/矢野圭夏さん】

尊敬する方々へインタビューさせていただく企画、初回は、初の著書『場づくり仕事術』を出版された矢野圭夏(やのけいか)さん。

矢野圭夏さん

矢野さんは、ManableGate(マナブルゲート)代表・鹿児島ウーマンライフ研究会顧問・Chakchakアカデミー校長という複数の肩書と、コーチやキャリアコンサルタント、研修講師としての顔を持ち、「着火ウーマン」という個性的なキャッチフレーズで『場づくり』を始めとする様々な活動を通して出会った人達の心に火をつけ、その可能性の扉を開いてこられています。

歯切れの良い語り口で、ユーモアと遊び心たっぷりの矢野さんが主催する「場」には私自身、何度も参加していますが、そこにはいつも笑顔があふれていて、気づけば参加者全員が一緒になってひとつの「場」をつくり上げているようなあたたかい空気がありました。

そんな『場づくりスペシャリスト』の矢野さんが手掛ける場づくりの極意についてはぜひ著書をお手に取っていただくとして、今回のインタビューでは、著者の矢野圭夏さんとはいったいどんな人物なのか。本には書かれていないその素顔について迫ってみました。

(取材/文:ヤマダ リョウコ)

自分の居場所を意識し始めていた子供時代

―――いつ頃から「場」というものを意識し始めたんですか?

矢野:実は割と昔から、小学校か中学校くらいからです。学校で、ここは私の居場所じゃないと感じていたんです。昔から自分への期待というか、もっともっと、これもあれもやりたいって好奇心はずっとあって。自分の居場所を自分で選べるようになる高校への進学から、行きたい環境を自分で選んで身を置くことを始めましたね。

20代~30代の頃は、大阪から東京への異動だったり、そこから鹿児島への転居によるキャリアの挫折だったり、行きたい環境という意味では思うようにいかないこともありましたけど、その時々で自分で自分の居場所をつくって、一生懸命「自分がここに生きてる」ことを味わいたいと思ってやってきました。

一貫性が見えづらく、何を目指しているんですか?とバカにされた過去

―――その時々で自分の居場所をつくってこられていたので、肩書きも増えていったんですね。

矢野:10年くらい前は、何の人ですか?ってよく聞かれていました。それは賞賛というよりは、たぶんちょっとバカにされているんですよね。そんなに色々節操なくやって何がしたい人なの?何を目指してるんですか?って。
それぐらい私というものが、こないだ女性支援やってたと思ったら今度は起業家の、とかまちづくりやってたり人狼やってたり東京行ってたりセブ島に行ったり色々しているわけです。

それを見てやっぱり一貫性ってものが見えづらかったようなんですけど、私は別に何も目指していなくて。その時女性が困っていれば女性だし、起業家が困っていれば起業家だし、まちの人が困っていればまちの人だし、その時出会った人に着火(注:心にある本領発揮の”火種”を育むお手伝いのこと。矢野さんの独自表現)をするっていうそれだけだったんですよね。

出会う人の心に着火!していく『着火ウーマン』

やってみないと気が済まない好奇心と、途中で投げ出さない生真面目さ

―――一貫性がないように見えて、その時、目の前で困ってる人になにか出来ればということだったんですね。

矢野:こんなことに悩んでいるとか、こんなことやってみない?と言われた時に、その都度私が出来ることを提供したりご一緒している感じなんです。
自分がいつも準備万端なわけじゃないですけど、その人が頼ってくれるんだったらきっと私の中にはなにか役に立てるものがあるんだろうと、自分を信頼するというか相手を信頼するというか。

それに、ちょっと興味があったら、やってみたい!の方が勝つんです。好奇心が強くて、やってみないと気が済まない。やってみてしんどかったなとかやらなきゃよかったということもありますけど、でも基本はやってみたい気持ちが勝ちますね。それでやってみて、ちょっと無理かも?と思うようなときも、後にはひけない責任感があって放棄できないんです。ちゃんとやらなきゃっていう生真面目なところはありますね。

それで頑張って自分の引き出しの中を探ってみて、無いものは追加したりして場数と経験を積んで、結果、仕事になっていたり、その時のご縁が今も繋がっていたり、こうして本になることにも積み重なっています。

必要としてくれる誰かと【啐啄同時】で巡り合うため、発信を続ける

―――数々の場数を踏んだ経験が今に繋がっているんですね。

矢野:実は「ManableGate(マナブルゲート)」という屋号を言い始めたのは最近で、屋号を作った当時は人に言うのがなんとなく気恥ずかしかったんです。造語なので説明する必要があったし、自分の名前で独立しましたというようなスタートでもなかったので。でもこの数年、仕事に向き合ってきてようやく自分の屋号を活動の軸にしようという覚悟ができました。

屋号の「ManableGate」は、「学ぶ」をアルファベットにして「可能にする、出来る」という意味のableを繋げ、「入口」や「扉」という意味のGateを合わせた「学びは可能性の扉を開く」という意味の造語です。

私はその方の持っているものや可能性を開いていく扉となる「入口」のコンテンツを色々提供しているので、屋号にもその思いを込めました。

「啐啄同時※」という言葉があって、誰かが外から扉をたたいてくれる時と私が中から扉をたたく時がかみ合うことが一番成果が高まるタイミングだと思っています。ただ、お互いのタイミングがちょうど合うことはすごく少ないので、私はずっとノックをして相手のタイミングに合う確率をあげたいんです。だから私はアクセスし続けたり発信し続けたり、やり続けておくことで間口を広げておきたいんですよね。

※「啐啄同時(そったくどうじ)」・・・禅宗の言葉。
またとない好機のこと。また、学ぼうとする者と教え導く者の息が合って、相通じること。鳥の雛ひなが卵から出ようと鳴く声と母鳥が外から殻をつつくのが同時であるという意から。

四字熟語辞典
笑顔、満開!

『場づくり仕事術』を出版した今、伝えたいこと

―――最後に、本を読んでくれた人や、これから本を手に取る未来の読者に伝えたいことはありますか?

矢野:私はこれまで、大阪・東京・鹿児島・フィリピンのセブ島に至るまで移動によって環境がガラッと変わる経験をしてきたんですが、そのたびに「自分って何者だっけ」とか「何がしたいんだっけ」というところに立ち戻らざるを得なくなるんですよね。だから、例えば仕事や住む場所を変えるとか、そこまでいかなくても旅に出るとか誰かに会いに行くとかでも経験しておくと、人生の幅が広がるなと思います。

大前研一さんの「人間を変える方法は三つしかない」といった話もありますが、環境や行動を変えることで意識が変わったり経験がついてきて自分を成長させると思うのでおすすめです。

あとは、本を通じて、読者の皆様がやりたいと思ったことをやる、一歩を踏み出す、そんな後押しができると嬉しいです。それは、私自身が長年の夢である「出版」を実現した喜びや、見える世界が変わる(変わっていく)ことを味わい、生きている実感を得ているからです。もちろん苦労もありますが、それも含めて自分で体験しないと得られないことですから、やった人だけが得られる特権ですよね。


―――特大の好奇心と最後までやり遂げる責任感を持ち、何度も訪れた環境の変化に立ち合うたびに「自分とは何者で、何をしたいのか」に立ち戻り、ひとつずつ「自分の居場所」をつくってそこに自分が生きている実感を得てこられた矢野さん。

そんな矢野さんだからこそ、『場づくり』への愛情と知識とノウハウがたっぷり詰まったこの本が書けたのだと深く納得できた時間となりました。
矢野圭夏さん、貴重なお話をありがとうございました。

矢野さんの本はこちら↓

■矢野圭夏さんプロフィール
ManableGate(マナブルゲート)代表
鹿児島ウーマンライフ研究会顧問
Chakchakアカデミー校長

大阪生まれ。大学卒業後、OA機器販売会社で新人育成やイベント企画・マーケティング等を担当。結婚を機に鹿児島へ移住。2011年、「鹿児島ウーマンライフ研究会」を設立し、働く女性が自分らしく力を発揮するための学びの場や仲間づくり支援に取り組む。2013 年、ManableGate開業。

現在はコミュニケーション・コーチング・起業⁄副業支援・対話の場づくり・ファシリテーション等をテーマに講演・研修を行っており、人間関係や仕事における「場づくり」の視点の影響力を感じてきた自身の経験を生かし、その価値の大きさを伝えている。これまでの場づくり実績は1000を超える。

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