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【クラシック百貨店】ドイツ・グラモフォン、デッカの人気、クォリティともに最高でエバーグリーンな名盤をシリーズ化

クラシック百貨店ロゴ

クラシック音楽に興味はあるが、どこから?という入門編にうってつけの名盤シリーズが4か月連続で発売になります。
オーケストラのスタッフや、CD販売店スタッフ他クラシック音楽関係者約2万5000人に「あなたにとってのクラシックの名曲」というアンケートをとって集計したランキングを基に旋盤された100タイトルです。
CDのブックレットにはクラシックに造形の深い小説家の方々(平野啓一郎、石田衣良、柳美里、中山七里、赤川次郎)からご寄稿いただいたエッセイ「私とクラシック」が掲載されています。
タワーレコードのクラシック・バイヤーがその中でもおススメ・アイテムをピックアップしました。まずはここから、じっくり、ゆっくり聴いてみませんか?

▼ユニバーサルミュージック公式サイト
〈クラシック百貨店〉
https://www.universal-music.co.jp/classics/classic-dept/

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「クラシック百貨店」シリーズ全100タイトル!
ドイツ・グラモフォン、デッカの人気、クォリティともに最高でエバーグリーンな名盤をシリーズ化(板倉重雄)

 「百貨店」というのは郷愁を誘う言葉である。子供の頃、親に連れられて、いろいろな売り場をめぐり、オモチャ売り場で駄々をこね、屋上遊園でコーピーカップに乗り、大食堂でお子様ランチを食べる…といったことは誰しも体験してきたことだろう。そして、何かと敷居が高いと言われるクラシック音楽を「百貨店」化したのが、新旧のトップ・アーティストによる豊富な名盤群を所有するユニバーサルミュージックの今回のシリーズだ。
 一口にクラシック音楽といっても、作品の楽器編成は一人でする器楽曲から、百人に及ぶ交響曲、それに歌手達が加わる歌劇まで、「百貨店」のようにバラエティに富んでいる。そこで、ユニバーサルミュージックは作品の楽器編成(ジャンル)を「売場」に見立てて五つに分け、それぞれの代表作をクラシック関係者にアンケートをとって20ずつ選ぶ、というCD史上、類の無いユニークな企画を発案、実施した! こんなことが出来るのも、全ジャンルにまんべんなく名盤を録音してきたユニバーサルミュージックならではである。
 アンケート結果も関係者が選んだだけあって、ベタな名曲だけでなく、一般にはあまり知られていないものの、実は感銘深い作品が入っていることも特筆される。
 例えば「器楽曲」の9 位に入ったシューベルトのピアノ・ソナタ第21番。31歳の晩年(!)に書かれたこの作品の複雑な味わいは、クラシック音楽奥の院とも言えるもので、この曲からクラシックにはまってしまうこともあるかも。「交響曲」の2 位が《運命》《新世界》を差し置いて、ブラームスの第4であるのもサプライズ! しかし、これもクラシック・ファンだけに独占させておくのは勿体ない憂愁漂う名作。ロックにもなった派手やかな第3 楽
章のあと、暗く厳しい終楽章で締めくくられるのも人生を象徴するかのよう。演奏者もそれぞれの曲目でベストの布陣であり、上記したような作品の真価が強烈に胸に迫ること請け合い!

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シューベルト: ピアノ・ソナタ 第21番、楽興の時
内田光子(p)
[ ユニバーサルミュージック UCCS-50011]

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ブラームス: 交響曲第4番
カルロス・クライバー(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
[ ユニバーサルミュージック UCCS-50088] 8/18発売

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💿Selected by 渋谷店 雨海秀和

シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番、楽興の時
内田光子(ピアノ)
[ユニバーサルミュージック UCCS-50011] 6/23発売

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シューベルトのピアノ・ソナタは長大だが、聴くとなんだか心奪われる。この第21番はその典型で天国的な美しさと心の闇の世界が交錯する。内田光子の演奏は第1楽章のテンポを絶妙に揺らしながら、高音の耽美の音色と蠢く低音を巧みに対比させる。第3楽章のスケルツォでは奔流のような疾走感で躍動する。《楽興の時》もピアノ・ソナタと同様、旋律を流麗に歌わせて、テンポ良く作品の魅力をしっかりと伝えてくれる。

チャイコフスキー:交響曲第5番
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
エフゲニ・ムラヴィンスキー(指揮)
[ユニバーサルミュージック UCCS-50100] 8/18発売

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引き締まった音響、緊張と集中力が全曲を貫く漆黒の名盤。美しい旋律に溢れた作品ながら、「交響曲」として、音の強弱にこだわり、速いテンポで作品を構築。レニングラード・フィルの一糸乱れぬ弦楽の合奏と木管のアンサンブル、迫力に満ち溢れた金管の響きに圧倒される。ムラヴィンスキーはこの作品を晩年まで頻繁に演奏し続けて、作品の真髄を追求し続けたが、この録音はそのエッセンスを凝縮した内容となっている。

ヴェルディ:レクイエム
カーティア・リッチャレッリ(ソプラノ)
シャーリー・ヴァーレット(メッゾ・ソプラノ)
プラシド・ドミンゴ(テノール)
ニコライ・ギャウロフ(バス)
ミラノ・スカラ座合唱団(合唱指揮:ロマーノ・ガンドルフィ)
ミラノ・スカラ座管弦楽団
クラウディオ・アバド(指揮)
[ユニバーサルミュージック UCCS-50085] 2CD 8/4発売

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イタリアの声の底力を余すことなく収録。ミラノ・スカラ座の合唱団の黄金時代の名盤。「怒りの日」の爆発ばかり強調されるようになったが、繊細な音楽が重要な作品。ソリストたちの一流のアンサンブルも聴きどころ。アバドはこの作品を3回録音し得意にしている。心の内面、祈りを重視した演奏でこの録音の評価は高い。どの場面も明確に響かせ、高い緊張を維持して終曲《リベラ・メ》を頂点にして緊張を維持した名演。

モーツァルト:《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》ディヴェルティメント第15番
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
[ユニバーサルミュージック UCCS-50052] 7/21発売

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名曲《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》は躍動感あふれる演奏。《ディヴェルティメント》は、最晩年のカラヤンがベルリン・フィルと到達した音楽的な境地が耳にできる。この作品はカラヤンの生涯に渡る愛奏曲。頻繁に演奏会で採り上げ、録音も数種類ある。ベルリン・フィルの弦楽セクションの絹のような滑らかさと豊麗な音色でモーツァルトの愉悦を表現。第4楽章のアダージョはモーツァルト作品の中でも屈指の美しさ。


スメタナ:連作交響詩《わが祖国》
ラファエル・クーベリック(指揮)
ボストン交響楽団
[ユニバーサルミュージック UCCS-50050] 7/21発売

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クーベリックの高潔で温かい人間的な魅力がそのまま音に表現された録音。クーベリックは1990年にチェコ・フィルと有名なライヴ録音を残している。それでもこのアメリカのボストン交響楽団との録音は色褪せることはない。集中力を保ち、各作品に共通するパッセージを大切に生かして、それぞれの交響詩をバラバラにすることを戒めて全曲6作品を精密に構築している。落ち着いた音色のオーケストラ、特に弦楽の味わい深さは魅力。


💿Selected by 新宿店 森山慶方

月の光~ドビュッシー、ラヴェル、フォーレ:作品集
メナヘム・プレスラー(ピアノ)
[ユニバーサルミュージック UCCS50020] 6/23発売

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メナヘム・プレスラー(1923.12.16-)が1955年に結成した名団体、ボザール・トリオ2008年解散後のソロ活動は、まさに巨匠の至芸が横溢する驚くべきもの。2017年録音、このドイツ・グラモフォンへのソロ・デビュー盤で味わえるその精髄は絶品だ。演奏におのずと帯びる到底語り尽せない来し方の深み。テンポ、フレージング、どの筆致も唯一無二。彼だけの語り口で名曲の数々が聴ける極上のひと時!

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番
ユジャ・ワン(ピアノ)
グスターボ・ドゥダメル(指揮)
シモン・ボリバル交響楽団 
[ユニバーサルミュージック UCCS50037] 7/7発売

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当時26歳のユジャ・ワンが、一夜で難易度最高級のピアノ協奏曲2曲を弾いてのけた2013年カラカス・ライヴ。例えばラフマニノフの第3番、第1楽章での大カデンツァ(映画『シャイン』でヘルフゴット青年がピアノの弦を切る場面ですね)、鋭くクールに研ぎ澄まされたタッチで一心不乱に叩き込んでいくさま、ドゥダメル率いる同世代の若者たち中心のオケが華々しくスパークし、増幅させる白熱のサウンド。湧き起きる会心の気分!

チャイコフスキー:弦楽セレナード モーツァルト:《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》 他
小澤征爾(指揮)
サイトウ・キネン・オーケストラ
[ユニバーサルミュージック UCCS50058] 7/21発売

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例えばチャイコフスキーの弦楽セレナード、「エレジー」で静寂から響きが立ち上がってくるその瞬間。師・齋藤秀雄の衣鉢を継いだ小澤征爾と錚々たる音楽家たちの集う稀有のオーケストラが、小澤の精錬を究めたタクトのもと、師弟ゆかりの作品をセッション録音したのは『サイトウ・キネン・フェスティバル松本』が創始された1992年。小澤たちのひとかたならぬ熱意と音楽を突き詰める探求の凝集が、今なお特別な音を奏でる。

フランク&ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ラヴェル:フォーレの名による子守歌、ハバネラ、ツィガーヌ
オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)
マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)
[ユニバーサルミュージック UCCS50066] 8/4発売

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デュメイこそは神童の才に研鑽を重ね、グリュミオーの薫陶を胸に継承者としての衣鉢を継いだ名手。雅趣豊かに空間を満たす粘りの効いた濃厚な美音が、フランクのソナタはじめ、最上のプログラムで堪能できるのが当盤。同じく歳若くして才能を開花させたピリス(ピレシュ)が故障を乗り越えてから実現したこのデュメイとの名デュオ。互いの個性を減じることなく、人生の哀歓、情感の濃い淡いを美しく陰影こまやかに歌う。

ブルックナー:交響曲第9番
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)
[ユニバーサルミュージック UCCS50104] 8/18発売

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まるで宇宙の創始を思わせるような冒頭、ブルックナー特有の霧幻的開始から一連で生成される動機による巨大な構築物。ブルックナーが神に献じた大伽藍は、重厚の中に内蔵された破局への畏怖と豊麗な捧げものであり、未完ゆえに創出された荘厳の美を十全に湛えている。円熟を深めたジュリーニがウィーン・フィルと録音したブルックナーの後期3曲はまさに傑作で、この第9はその掉尾を飾った荘重極まる名演。


💿Selected by 梅田大阪マルビル店 西川智之


ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
カール・ベーム(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
[ユニバーサルミュージック UCCS-50031] 7/7発売 

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半世紀前の録音のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集が現在も不動の名盤の地位を確立しているバックハウスのブラームスとモーツァルトの協奏曲のカップリング。ホルンやチェロのソロも印象的な4楽章からなるブラームスのピアノ協奏曲2番と静謐な美しさを持つモーツァルトの最後のピアノ協奏曲27番。ブラームスは巨匠が80歳を超えた晩年のライブながら50分近い大作に時間を忘れてしまう。

J.S.バッハ:管弦楽組曲
カール・リヒター(チェンバロ、指揮)
ミュンヘン・バッハ管弦楽団
オーレル・ニコレ(フルート)
[ユニバーサルミュージック UCCS-50047] 2CD 7/21発売

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今年没後40年バッハの伝道師、カール・リヒター。クラシック百貨店のシリーズには管弦楽組曲のほか、ゴールドベルク変奏曲、ブランデンブルク協奏曲、マタイ受難曲の抜粋と4ジャンルからアルバムが入選するほどのバッハのスペシャリスト。バッハ自身の名付けではないが《G線上のアリア》はこの管弦楽組曲の3番の"エア"が原曲。ブランデンブルクにも参加しているニコレのフルート・ソロも絶品。

ホルスト:組曲《惑星》
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 
[ユニバーサルミュージック UCCS-50053] 7/21発売

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《惑星》1曲だけで音楽史に名を残すイギリスの作曲家ホルスト。『スターウォーズ』にも影響を与えたという〈火星〉や平原綾香さんの《ジュピター》の元となった〈木星〉など7つの惑星を音楽で描写した名曲。カラヤンはウィーン・フィルとベルリン・フィルと2種の録音を残していて、このベルリン・フィルとのアルバムは2度目の録音。なんと言っても世界最強のオーケストラの豪華なサウンドも聴きどころ。

フォーレ:レクイエム 組曲《ペレアスとメリザンド》、パヴァーヌ
キリ・テ・カナワ(ソプラノ)
シェリル・ミルンズ(バリトン)
モントリオール交響合唱団(合唱指揮:イワン・エドワーズ)
モントリオール交響楽団
シャルル・デュトワ(指揮)
[ユニバーサルミュージック UCCS-50084] 8/4発売

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死者を悼む曲としての《レクイエム》はモーツァルトやヴェルディなど多くの作曲家が名曲を作曲しているが日本でとりわけ人気の高いのは静穏な美しさに溢れたフォーレの《レクイエム》。名盤が多い中でもフランスものには定評のあるデュトワ指揮モントリオール交響楽団によるこのアルバムは好演。フォーレの作品の中ではアレンジされることが多い"パヴァーヌ"が合唱付きで録音されているのも貴重。

モーツァルト:交響曲第40番 第41番《ジュピター》他
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
[ユニバーサルミュージック UCCS-50096] 8/18発売

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小林秀雄の名著『モオツァルト』のなかに冬の夜に道頓堀を彷徨っていた時にト短調シンフォニーが頭の中に鳴り響いたという一節がある。どの部分かの表記はないが哀愁あふれる40番ト短調の冒頭部分ではないかと思われる。その40番と最後の堂々たる格調高い41番の対照的な2曲を収録したベーム指揮のこのアルバムは理想的なモーツァルトであり古楽器小編成主流の現在でも色褪せない名盤。


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2021.8.20 #153

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