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【落語コラム】思い出し笑い

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バックナンバーより落語の連載コラム「思い出し笑い」を公開中!
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2024年3月の記事一覧

第75回:思い出し笑い「歌丸師匠がドラマに!」(&ツルコ)

第75回:歌丸師匠がドラマに!*intoxicate vol.132(2018年2月発行)掲載  年初めの寄席は初席といい、いつもより持ち時間は短いもののたくさんの芸人さんが入れ替わり立ち替わり出演する賑やかさ。1年の始まりに楽しみにしている人も多い興行です。今年は元旦から新宿・末広亭に出演予定だった桂歌丸の休演がニュースになり、11日からの浅草演芸ホールでの二之席は体調不良のため引き続き休演に。心配!  2016年に50周年を迎えた『笑点』の大喜利司会を勇退し、“落語の

第74回:思い出し笑い「祝!桂文枝芸能生活50 周年!」(&ツルコ)

第74回:祝!桂文枝芸能生活50周年!*intoxicate vol.131(2017年12月発行)掲載  現在放映中のNHK朝ドラ『わろてんか』主人公・てんは、一代で吉本興業を興した女性・吉本せいがモデル。薬問屋の娘てんと米問屋の跡取りながら芸人を目指す藤吉が出会って結婚。これを書いている時点では、2人が天満にある寄席小屋を買い取り、〈風鳥亭〉と名付けて営業を始めています。  実際の吉本せいも夫・吉兵衛と明治45年に大阪天満宮裏の〈天満八軒〉と呼ばれた寄席の中の端席〈第

第73回:思い出し笑い「平成の名作になるのか!?『落語の仮面』」(&ツルコ)

第73回:平成の名作になるのか!?『落語の仮面』*intoxicate vol.130(2017年10月発行)掲載 映画やドラマでは実写化、舞台でも2.5次元と、コミックやアニメを原作とする作品が人気ですが、なんとその波が落語界にまで! やってくれましたご存じ三遊亭白鳥が、国民的少女漫画『ガラスの仮面』を落語に!どんなことになってるか、この月影コスプレを見ただけで期待しちゃうでしょ?  美内すずえの『ガラスの仮面』は1979年に連載が始まり、休載がありつつも今だ連載中。コ

第72回:思い出し笑い「講談界に突如現れたニュースター! 神田松之丞を聞き逃すまじ」(&ツルコ)

第72回:講談界に突如現れたニュースター! 神田松之丞を聞き逃すまじ*intoxicate vol.129(2017年8月発行)掲載 渋谷のユーロスペースで初心者が楽しめる落語会として2014年にスタートした〈渋谷らくご〉(シブラク)は、若い人たちで賑わっているとマスコミなどでも取り上げられる人気の落語会。落語だけではなく、講談や浪曲の高座も聴くことができますが、ここに常連出演している若手講談師の神田松之丞が最近人気急上昇中と評判で、このたび、〈渋谷らくご〉での高座からセレ

第72回:思い出し笑い「追悼 落語協会最高顧問、3 代目・三遊亭圓歌」(&ツルコ)

第72回:追悼 落語協会最高顧問、3 代目・三遊亭圓歌*intoxicate vol.128(2017年6月発行)掲載  ついにきてしまいました。悲しいお別れ。いつかはしかたのないことではありますが、もっと先のことと願っていました。この4月に落語協会最高顧問・3代目 三遊亭圓歌が亡くなられました。合掌。2年前に芸歴70周年を迎え、まだまだお元気そうでしたのに。  落語協会葬として行われた葬儀の祭壇には供花で山がつくられ、「山のあな、あな」の文字が白い花で書かれていましたが

第71回:思い出し笑い「入船亭扇遊の魅力」(&ツルコ)

第71回:入船亭扇遊の魅力*intoxicate vol.127(2017年4月発行)掲載 このところの落語ブーム、雑誌で特集が組まれたりして、盛り上がりを伝えてます。10年ほど前のブームといわれたときは、クドカン脚本のドラマ「タイガー&ドラゴン」や、朝ドラ「ちりとてちん」のような噺家を主人公にしたドラマなどが続き、そこから興味をもった人たちが寄席に来たり、修行中の若手が中心の深夜寄席に行列ができたりと、落語に注目が集まりました。  今回のブームは、「AERA」3/27号

第68回:思い出し笑い「夏の鰻にて志ん朝をおもう」(&ツルコ)

第68回:夏の鰻にて志ん朝をおもう*intoxicate vol.123(2016年8月発行)掲載  夏に鰻を食べると、古今亭志ん朝を思い出す。という落語ファンの人、少なからずいらっしゃるかと。生前、志ん朝は鰻を食べなかったそうです。それは、嫌いだからではなく、大好きだけど断っていた。まだ二つ目の朝 太だった頃に悪いことが続いたとき、母(古今亭志ん生の内儀さんですね)に勧められて寅年の守護仏である虚空蔵菩薩を奉ったお寺にお参りし、それ以降、虚空蔵菩薩のお使いである鰻を断つこ

第66回:思い出し笑い「45歳、柳家花緑の魅力」(&ツルコ)

第66回:45歳、柳家花緑の魅力*intoxicate vol.121(2016年4月発行)掲載  久しぶりに寄席で柳家花緑(かろく)をみたら、横分けヘアスタイルだったのが短くなってキュートにヴィジュアルチェンジしてました! 昨年、座長を務めた舞台『南の島に雪が降る』で兵隊役のため丸刈りにし、それからいまの髪型になったそうですが、似合っててかわいい。とはいえ、15歳で祖父・五代目柳家小さんに弟子入りし、戦後史上最年少で真打ちになった花緑ももう45歳。かわいい、なんて言っちゃ

第65回:思い出し笑い「落語三兄弟?いいえ、落語教育委員会です」(&ツルコ)

第65回:落語三兄弟?いいえ、落語教育委員会です*intoxicate vol.120(2016年2月発行)掲載  落語会って、噺家さん自らが立ち上げたり、ご贔屓さんが好きな噺家さんに声をかけて始まったりなど様々ありますが、噺家さんたちによる会は、同期同士の勉強会だったり、かつてのSWA(創作話芸アソシエーション)のように新作落語派が集ったりと、その成り立ちがわかるものが多いのですが、「落語教育委員会」という名の落語会は、“なぜこのメンツ??”って不思議に思った会でした。柳

第59回:思い出し笑い「笑門来福!うれしい再発3タイトル」(&ツルコ)

第59回:笑門来福!うれしい再発3タイトル*intoxicate vol.114(2015年2月発行)掲載  落語CDのうれしい再発お知らせが! 三遊亭圓歌『中沢家の人々・完全版』、林家木久蔵(現・木久扇)『キクラクゴ』、林家木久扇&木久蔵の『キクキクラクゴ』の3タイトルは、発売当時に関わらせてもらったこともあり、思い入れのある作品。  『キクラクゴ』は2004年リリースで、意外なことにキクちゃんこと木久蔵初となるCDでした。収録は、自身の創作落語で代表作ともいえる2席。

第58回:思い出し笑い「映画も落語も 林家たい平の濃い1年」(&ツルコ)

第58回:映画も落語も 林家たい平の濃い1年*intoxicate vol.113(2014年12月発行)掲載  東京の江東区にある「深川江戸資料館」には、江戸末期の深川の町の一角を実物大で再現したスケールの大きい展示空間があるの、ご存知ですか? 長屋や商店が並び、火の見櫓が立ち、船宿のある掘割には舟も浮かんでいて。さらに、照明で朝から夜までの陽の光を表現していたり、物売りの声が聞こえてきたり、長屋の各部屋には住人が想定され仕事道具や生活用品も置かれていて当時の人々の暮らし

第56回:思い出し笑い「柳家喬太郎 怖くて笑える『怪談』落語」(&ツルコ)

第56回:柳家喬太郎 怖くて笑える『怪談』落語*intoxicate vol.111(2014年8月発行)掲載  夏の風物詩といえば、怪談ですが、柳家喬太郎さんの久しぶりの新作CD「アナザーサイド」シリーズ第4弾は、〈耳なし芳一〉や〈雪おんな〉などで知られる小泉八雲の『怪談』を落語化した3席。もうこの季節にぴったりじゃないですか! 今回CD化された3席とも、古典落語に元々ある噺のようでもあり、古典、新作の両方を手がける喬太郎さんの本領発揮という感じです。  八雲作品の落語

第63回:思い出し笑い「柳家小さん生誕100 年!」(&ツルコ)

第63回:柳家小さん生誕100 年!*intoxicate vol.118(2015年10月発行)掲載  いまマクドナルドのCMで、「パリパリのパイのなかに熱々のとろーりあんこ…」といいながら、エアあんこパイを食べているのは、人気の若手噺家・柳家三三(さんざ)。ついにCM出演、果たしちゃいました! やったね!  噺家さんは高座で、エアそば、エアうどん、エアまんじゅうなどいろいろなものを食べてます。そばやうどんもそうですし、「二番煎じ」で、猪鍋の熱々をふうふう吹いてさましな

第55回:思い出し笑い「桂歌丸 来年は「笑点」50 周年!」(&ツルコ)

第55回:桂歌丸 来年は「笑点」50 周年!*intoxicate vol.110(2014年6月発行)掲載  日曜日の夕方といえばお馴染みの「笑点」は、半世紀近く続く超ご長寿番組。大喜利の唯一のオリジナル・メンバーで現在司会を務める桂歌丸が体調不良とのことで心配していましたが、めでたく復帰し番組も無事収録とのニュースに全日本国民がほっとしたことでした。よね?  今回は久しぶりの朝日名人会CDが2作同時リリース。昨年の高座を収録した最新音源です。「笑点」で聴き馴染んだ声も