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退職を決めた理由

少し後ろ向きな話になるかもしれませんが、退職を決断した理由について正直に整理してお伝えしたいと思います。

私が勤めている会社は業界でも優良企業として高く評価されており、財務状況も非常に健全です。私の今年の年俸は約1,400万円であり、待遇面も恵まれた環境にあります。また、仕事における裁量も大きく、忙しい時期もありますが、リモートワークが可能で、残業もそれほど多くありません。

普通であれば、こんなに良い条件の職場を辞める理由などないと感じるでしょう。実際、多くの人がこのような環境で働くことを夢見ていると言っても過言ではありません。

それでも私が退職を決めた最大の理由は「ストレス」です。一言で表現するなら、この仕事に対して次第にストレスが積み重なり、それが限界に達したのです。

私の職務内容は非常に専門性が高く、例えるならAIエンジニアのような高度な知識を要する仕事です(実際には異なりますが、イメージとしてそうお伝えします)。この分野は、常に進化し続ける最先端の分野であり、日々新しい技術や知識が登場します。そのため、絶え間ない学習が求められ、仕事外でも勉強やリサーチが必要です。実際、私は休日も自分のスキルを磨くために本を読んだり、専門的な資料を調べたりして過ごしてきました。この意味では、まさに「休みなく働いている」ような状態が続いていたのです。

40代半ばに差し掛かり、そうした継続的な学習の負担が次第に重くのしかかってきました。これまで自分のキャリアを支えてきた学習への情熱が、少しずつ薄れてきたのを感じたのです。

それに加え、社内での孤立感も次第に強まっていきました。私が携わっている業務内容を正確に理解している同僚は社内に存在しないと思います。社内の誰もが私の仕事の内容を深く理解していない中で、揚げ足を取るような細かい指摘を受けることが増えてきました。これが、私にとって大きなストレスとなっていったのです。

特に、年配の役員や他部署のメンバーに対して最先端の技術や知識を説明するのは非常に骨が折れました。いくら言葉を尽くしても、彼らにはその内容がなかなか伝わりません。そして、会議も無駄に感じるようになりました。理解しようとしない人たちとのやり取りが増え、結果として生産性が低下していると感じました。

この状況は、上司が交代したことでさらに悪化しました。新しい上司は私の業務の詳細を理解していないにもかかわらず、的外れな指示を繰り返すようになりました。これには本当に疲れ果て、「使えない上司をうまく使うのも仕事の一環だ」と思ってはいたものの、その限界を感じてきたのです。

コロナ禍以前から退職を考えることがありましたが、最近の株式市場の好調さや自宅マンションの価値上昇により、自分の資産が1億円を超えたことを知った時、その決意が強まったのです。

これをきっかけに「いつでも辞められる」という安心感が生まれ、その結果、私の中で緊張の糸がぷつりと切れてしまいました。それ以降、新しい知識を吸収する意欲も急速に失われました。

もちろん、冷静に考えれば、このまま仕事を続けることでさらなる収入が見込めることも理解しています。しかし、私はもともと贅沢を求める性格ではなく、自分が使い切れない額のお金を稼ぐために、これ以上ストレスを抱えて生きることに意味を見いだせなくなりました。

「金持ち」になることを目指すのではなく、「時間持ち」になるという選択肢が、私にとってより魅力的に感じるようになったのです。

今後の具体的な計画はまだ固まっていませんが、自分自身で新しい仕事を立ち上げたり、新しい挑戦を模索していく可能性も考えています。時間を持て余すことは不安ではなく、むしろ自由と可能性を感じさせるものです。

今の私にとって大切なのは、これまでの経験を糧に、よりストレスの少ない環境で、自分のペースで前進していくことです。この決断を通じて、私は「お金」ではなく「時間」を軸に人生を考え直すことができました。

人生は限りがあるものです。その限られた時間を、どう有意義に過ごすかという問いに対して、私は今、ようやく自分なりの答えを見つけられたように感じます。これからは、自分のペースで新しい可能性を追求し、成長していくことを楽しみにしています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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