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CASE OF UKRAINE AND THE NETHERLANDS v. RUSSIA

2023年1月25日、欧州人権裁判所は、分離主義者グループが支配するウクライナ東部における欧州人権条約違反の疑いに関して、ウクライナとオランダがロシアに対して提起した訴訟について判決を出しました。

ダウンロードしたら230ページの長文判決ですぐには全部読めませんが、主文だけメモ。

以上の理由により、裁判所は

1. 申請は条約第33条に基づく真正な主張の要件を欠いているという被告政府の異議を全会一致で棄却する。
2. 2014年5月11日から分離主義者の支配下にある領域で起こった出来事に関する原告ウクライナ政府の訴えは、条約第1条の意味における被告国の管轄権の範囲内にあると全会一致で判断し、この点に関する被告政府の異議申し立てを棄却する。
原告であるウクライナ政府の、条約第2条および条約第1議定書第1条に違反する実践に関する訴えが、関連する第14条の訴えとともに、被告国の第1条管轄権に含まれるかどうかについて、過半数をもって本案に参加させる。
3. MH17便の撃墜に関する原告であるオランダ政府の訴えは、多数決により、条約第1条の意味において被告の管轄権に属するとし、この点に関する被申請国政府の異議を棄却する
4. 武力紛争に関する訴えは、全会一致で、裁判所の管轄権の範囲内にあるとし、この点に関する被告政府の異議を棄却する。
5. 全会一致で、条約第1議定書第3条に基づく原告ウクライナ政府の訴えは、当裁判所の実質的管轄権から外れているとして、受理できないと決定する。
行政慣行(administrative)の存在に関する申し立てには国内救済措置の消尽のルールは適用されないと全会一致で決定し、それゆえ、当該申し立てに関して国内救済措置の消尽がなされていないという被告政府の異議を棄却する。
6. 6ヶ月という期限を遵守しなかったという理由による被申立人政府の異議申し立てを全会一致で棄却し、次の本案について予断を与えることなく、全会一致で受理可能であると宣言する。
(a) 2014年7月17日のMH17便の撃墜を含む、民間人及び民間物に対する不法な軍事攻撃、民間人の射殺、捕虜またはその他の戦闘不能状態にあった民間人及びウクライナ兵の略式実行及び拷問または撲殺からなる条約第2条違反の行政慣行の訴状。
(b) 性的暴力とレイプの事例を含む、戦争捕虜またはその他の戦闘不能状態にあった民間人およびウクライナ人兵士の拷問、および非人道的で品位を傷つける拘束条件からなる条約第3条に違反する行政慣行の苦情。
(c) 強制労働からなる条約第4条第2項に違反する行政慣行に対する苦情。
(d) 拉致、不法逮捕及び長期の不法拘留からなる条約第5条に違反する行政慣行に対する苦情。
(e) ロシア正教の伝統に従わない様々な宗教的集会に対する意図的な攻撃と脅迫からなる、条約第9条に違反する行政行為に対する不満。
(f) 独立したジャーナリストを標的とし、ウクライナの放送局を遮断することからなる、条約第10条に違反する行政行為に対する不満。
(g) 民家および車両を含む私有財産の破壊、私有財産および商業財産の窃盗および略奪、ならびに補償なしの私有財産の不法占拠からなる条約第1議定書第1条に違反する行政慣行に対する不満。
(h) ウクライナ語による教育の禁止を内容とする条約第1議定書第2条に違反する行政慣行についての訴え。
(i) ウクライナ民族の民間人又はウクライナの領土保全を支持する市民を標的とした、条約第2条、第3条、第4条§2、第5条、第9条及び第10条並びに条約第1議定書の第1条及び第2条に基づく許容される苦情と合わせて考慮した、第14条に違反する行政慣行に関する苦情
9. 3組の児童および同伴成人のロシアへの誘拐および移送の容疑に関して、条約の第3条、第5条および第8条ならびに第4議定書の第2条に違反する行政行為の苦情を、その是非を予断することなく、多数決で容認すると決定する。
10. 3組の児童および同伴成人のロシアへの拉致および移送の疑いに関する個々の訴えを、国内救済手段を尽くさなかったとして、多数決により、受理できないと決定する。
11. MH17便の撃墜に関する苦情に関して、国内救済措置の不尽蔵を理由に、35条1項に基づく被告政府の異議を全会一致で棄却する。
12. MH17便の撃墜に関する苦情に関して6ヶ月の期限を遵守していないことを理由とする第35条第1項に基づく被申立人政府の異議申し立てを、多数決で棄却する。
13. MH17便の撃墜の犠牲者の親族の苦しみが、条約第3条の範囲内に入るための深刻さの最低基準を満たすかどうかという問題について、多数決で本案への参加を決定する。
14. MH17便の撃墜に関して、条約第2条、第3条および第13条の手続き上および実体上の制限に基づく個々の訴えを、その是非を予断することなく、許容できると多数決で決定する。
15. 全会一致で、残りの訴えを受理不可能と決定する。

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