『盲腸』は病気じゃない!

Aさん:お腹が痛い、、、
Bさん:それ『盲腸』かもよ?
Aさん:小さい頃に『盲腸』で手術したから『盲腸』はもうないよ。
Bさん:じゃあ違うか、、、

上の会話に違和感はありませんか?
よく耳にするような会話ですが、、、

実は『盲腸』は病気の名前ではありません。
一般的に使用される『盲腸』は、正しくは『虫垂炎』です。『盲腸』は腸の名前にすぎません。

こんな方は必読
『盲腸』で手術をされた方
時々、右下腹部が痛くなる方
合コンでひとネタ欲しいあなた(医学的にも焼肉的にも)

「盲腸で手術をしました。」
日常会話では何の違和感もありませんよね。

医師も然り、意味もしっかりわかります。
が、、少し違和感があります。

先にも述べたように『盲腸』という病気はありません。
医学的には『虫垂炎』と呼びます。

は?
じゃあなんで『盲腸』って言うの?

この謎を解くには解剖を勉強する必要があります。
え?勉強はキライ?
わかってます。
だから少しでも興味を持ってもらえるように考えました。

今回の解剖の勉強は皆さんの大好きな焼肉と関連づけて、ホルモンと共に覚えましょう。
そう、合コンネタです(合コンで焼肉は行かないですかね、、、?)。

それでは口に入った食べ物が、どんな旅をして便になるのか、その道筋をたどりましょう。

飲み込んだ食べ物は、食道(ホルモン名:ショクドウ)を通り、胃(ホルモン名:ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ)に入ります。
胃は胃薬のCMなどで形の想像がつきますかね。
胃の次は小腸(ホルモン名:マルチョウ)で、小腸は6−8mくらいもある、ながーい臓器です。
小腸の次は大腸(ホルモン名:シマチョウ)、大腸癌という病気はよく耳にしますよね。
大腸の次は直腸(ホルモン名:テッポウ)、お尻の直前です。
最後は肛門(豚ホルモンでは、『どて』というのでしょうか?)を通って便として排出されます。

無事に口からお尻までの旅を終えました。
待て待て。
出てこないじゃないか、『盲腸』が。
ですね。

盲腸は大腸の一部なのです。
先に述べた大腸は、さらに盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に細分化されます。

盲腸は、大腸の最初の部分でお腹の右下にあります。
そして盲腸の端っこに虫垂と呼ばれる尻尾がついています。
この虫垂が炎症を起こして腫れてしまった状態が虫垂炎です。

ではなぜ虫垂の炎症である虫垂炎を盲腸と呼ぶのか。
それはおそらく、、同じような場所にあるからでしょう。
そう、おそらくです。
それ以外の理由が思いつきません。

炎症を起こす原因は、いわゆるバイ菌(細菌)です。
そのため、薬(抗生物質)を使用して細菌を倒すことができれば治りますが、炎症が強く薬での治療が難しい場合には手術になります。
手術では、盲腸ではなく、尻尾の部分の虫垂のみを切除します。
だから、いわゆる『盲腸』で手術をした方も、盲腸は残っているのです。

なんとなくわかっていただけたでしょうか?
そもそも、盲腸から出てる尻尾が虫垂だって?
なんじゃそりゃ。
と思う方は、Googleで画像検索してみてください。
尻尾ですから。

最後に問題です。
盲腸と同じように、本当は正しい病名ではない『風邪』と呼ばれる病気。
軽い咳や熱が出て病院に行き、風邪ですね、と診断された時、医師はどういう病名で記録しているのでしょうか?
あなたも医師になりカルテに記載する時が来るかもしれません。
そんな時、『風邪』とは書けませんよー?


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