【社会起業家取材レポ #18】 「おいしい」からはじまるカラフルな笑顔あふれる世界へ。
SIACの学生が東北で活動する社会起業家の想い・取り組みを取材する「社会起業家取材レポ」。今回は、SIA2021卒業生の武藤美穂さんにお話しを伺いました!
1. 武藤美穂さんについて
福島県いわき市出身。祖父や自身の入院をきっかけに看護師となる。2011年の東日本大震災を機に それまであった『死生観』を見つめ直し、より広く多様な視野を持ちたいと考えカナダへ留学、インド人のホストファミリーより宗教上の食文化の違いを学ぶ。その後、日本や世界を周る中で多様な食文化に触れ、多様性の大切さを実感する。2020年 自身の娘のアトピー性皮膚炎やアレルギー症状に向き合う中で、『現代社会における食の安全性』や生活環境の見直しをし、福島県西会津町へ移住。食物アレルギーや様々な理由で食に制限のある方々を取り巻く現状に課題を感じ2021年に「合同会社 碧音-aone-」を創業。『「おいしい」からはじまるカラフルな笑顔あふれる世界へ。』をvisionに掲げ、卵や乳製品を使わない植物性のおやつの製造・販売を手がける。植物性のおやつを作る人・選択する人を増やし、選択肢として当たり前になる社会を目指し活動中。
また、2022年6月には実店舗をオープンし、『植物性のおやつ』『フェアトレード雑貨』『オーガニック食材の量り売り』をすることで、より良い地球を後世に残していける仕組みづくりに取り組んでいる。
合同会社 碧音-aone- web:https://aone-earth-sound.stores.jp
合同会社 碧音-aone- Instagram:https://www.instagram.com/__aone__/
SIA最終pitch動画:
2. 取り組んでいる社会課題
武藤さんが取り組んでいる社会課題は、「食物アレルギーを持つ子どもたちを取り巻く"食"の課題」です。
食物アレルギーを抱えている方は全人口の1〜2%。人数に換算すると125〜250万人いると言われています。また、乳児に限定するとその数はおよそ1割に上るとのことです。
(厚生労働省 医薬食品局 食品安全部基準審査課 調査表示係調査, 2009年)
多くの子どもたちが、食物アレルギーの影響で食べられるものが制限され、安心して「おいしい」を享受できない環境におかれています。
3. インタビュー:これまでの歩み&今後の展望
Q. 暮らしの場として西会津町を選んだきっかけについて教えてください。
A. ご縁とタイミングです。
Q. 会社の名前「碧音」は、どのような想いから付けたのでしょうか?
A. 「碧」と「音」それぞれに想いを込めているんです。
Q. 植物性のおやつを作る中でのこだわりについて教えてください。
A. 材料はもちろん製造元にもこだわりを持って選択をしています。
Q. 現在、抱えている課題はなんですか?
A. 植物性のおやつをより多くの方々に届ける・認知してもらうには?ということです。
4. 編集後記
武藤さんを取材する中で、アレルギーではないが特定の食べ物、飲み物を摂取してしまうと体調不良を訴える知人がいたことを思い出しました。私自身は、食べ物や飲み物のアレルギーを持っておらず実感はなかったのですが、アレルギーを持つ子どもは食べられるものを大幅に制限されるといったアレルギーを持つ子どもを取り巻く多くの課題があるのだと取材を経て気づきました。
また、米粉は小麦アレルギーを持つ子供でも食べられることは知っていましたが、それ以外でもアレルギーを持つ子供でも食べられるものがあることは知らなかったのでいい勉強になりました。米粉の存在は世に知られているのに対し、古代小麦に関しては、全く知りませんでした。取材後、実際に作ったものをいただき食べたところ、小麦で作られたものよりも食べやすく感じました。
人それぞれに好き嫌いがあって、食べられる人からしてみれば美味しいのに食べられないのは損だなどといいますが、アレルギーを持つ人は絶対に越えられない壁があり、食べることにすら辿りつけないのはとても悲しいことだと思います。それは、ずっと暗闇の中にいるようなものだと思います。そこで、武藤さんのような方がアレルギー反応がでないものを作り届けることで、アレルギーを持つ人にとって問題解決のための一筋の光になるのではと感じています。
武藤さんは、本当に材料にこだわっていて、米粉、古代小麦の加工を通常の小麦粉と同じ機械で行っているところは避けて調達されています。そういった小さなこだわりが大事なのだと実感しました。
アレルギーを持つ人やアレルギーを持つ子供を抱えている人は、一度、通販でこの「碧音」の商品を取り寄せてみてはいかがでしょうか。
取材・執筆担当:片岡魁星(大阪芸術大学大学 3年)
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