選手

今年もTOJが始まった、国内最大のステージレースだが、僕はここ数年参加していない(できない)。
第1期マトリックス時代には出ていたが、完走は1回だけだった気がする。
10年前までは総合争いをできていたが、その後精神の病だったり、潰瘍性大腸炎になったりで調子が安定していない自分はステージレースをまともに走れていない。
病気だけのせいだけではないけれど、多少は影響している。
まあそんな話は別にして、プロ選手には遅かれ早かれプロ引退がやってくると思う。
いつまでも選手としての維持することはできないので、どこかで選手としての価値を捨て、別の生き方を探さないとならない。
僕もここ数年、衰えはすごく感じていて、ここ数年は選手以外の活動もしてきた。
僕は目立ちたがり屋の部分があるので、その部分を生かして何か仕事につながっていけばいいなと思っている。
10年前は選手として走ること、いい走りをすることだけを考えてきたけれど、今思えばあの頃から少しづつ次のステップのことを考えていればよかったなと思う。
若い選手も皆頭では理解している引退も、具体的にそのタイミングが来ないとそれにつてじっくり考えることはないような気がするし、実際僕も当時はそんなのまだ先だよと思っていた。
今になって思うのはそんな時は案外あっという間にやっていくるということだ。
今は脂がのってガンガン活躍している選手もそういう日が来ることは覚えていておいてほしい。
読んでもベテランレーサーが気弱になってつぶやいてんだな(笑)と思うかもしれないけれど、そんな日は誰にでも必ずやってくる。
死ぬひはいつか必ずやってくる。
もちろん上手に次の段階に移った選手もたくさんいるけれど、そうでない選手も少なからずいるということ、それは自分かもしれないということは考えてほしい。
僕もずっと自分が輝き続けたかったけれど新しく、そしてより強い選手がたくさん出てくればそんなわけにもいかない。
そしてプロ選手の世界には多分終身雇用もない。
今思えば自分の前の偉大な選手たちも、引退して、別の道に進んで行った。
成績を出せばすんなりこの業界で生きていけるわけでもなんでもない。
それができるのは世界でも数人の選手だけな気がする。
引退の時期が近づいた時、誰かが次に常に繋げてくれるわけでない。
僕は今その日がやってくることに恐怖しながら、次の道を探している。
引退後を考えて移籍したこともあったけど、それもうまいくいかなくてまた別の生き方を探している。
今の日本の自転車界は非常に不透明で、この先どうなるのか誰も知らない。
非効率、そして将来性が不透明だから選手という仕事を避ける人もたくさんいるだろう。
そんな中選手をやっている人は良くやってるなと思う。
選手やってる人は自分に誇りを持っていいと思うし、目指している人もその志に誇りを持ってほしいと思う。
自転車にかけたその情熱はきっと財産になる。
そして、そこで出会った人たちとの経験もまたかけがえのない財産になる。
僕はもし自転車を辞めてしまっても、ここで会った人たちのことは忘れない。

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