要らぬ頁

閉じたはずの本の続きを勝手に読み進められている気分だ。こちらの意思などお構いなしにどんどん物語が進んでいく。そこには知らない人物がいて、知らない世界があって。本を手に取った本人が置いてきぼりになっているではないか。
含みのある言葉の中に何かを探してしまう。同じ頁の同じ行を何度も何度も読み返し、見つかるはずのない何かを懸命に読み解こうとする。
希望のような絶望が全身を包み、自分で選んだはずの本であるのに何処かへ捨ててしまいたい衝動に駆られる。
貪るように読んだ前章までもが疑わしくなり、思わず身震いをした。

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