雨にさそわれて差した傘が、
風にいざなわれて裏返しになりました。

それでも私の傘は骨が柔らかいようで、すぐに元の形に戻ります。丈夫っていうのは柔軟っていうことなのかもしれないね。

「君は頭が固い。」とあなたはよく言いました。

良し悪し、好き嫌い、白黒をはっきり決めたがる私とは対照的に、すべてにおいて多面的にものごとを捉えて、その上で選択をするあなたを見ていて広い人だと感じました。

私の嫌いを減らすために、いろんなことを教えてくれたね。おかげでご飯は美味しいし、冬でも背筋を伸ばして過ごせるようになりました。寄り道は無駄じゃないと楽しめるようになったし、困らせるためではなく、必要だから泣いているんだと思えるようになりました。

私の雨は通り雨だから、傘を差す必要はないけれど、それでも、誰かの雨にはそっと寄り添えるようにいつでも傘は持っていたいと思います。

あなたの雨には傘を差せなかったから。
差し方が分からなかったから。

雨雲を吹き飛ばす勢いしか持っていなかった私に必要なものをくれたのはあなただったのに。持っていても使い方を知らないと意味がないんだね。

小学生の頃から使っている折りたたみ傘。
年季は入っているけれど、まだまだ近くにいてくれそうです。
雨が多いこの土地では持っていると安心する折りたたみ傘。
初めはこの色好きじゃなかったのにな。今ではすっかり馴染んでいます。

私も誰かのそんな存在になれるかな。

人よりも心が弱いあなたの心に、少しでも晴れ間が広がりますように。

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