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「体は多忙、頭は退屈 初めての育児、そしてキャリアのこと」公募インタビュー#12

〈泉さん(仮名) 2020年7月中旬〉

今年初めに出産され、育児休暇中の泉さん。初めてのお子さんですが驚くほど手がかからず、旦那さんも家事・育児に協力的とのこと。その中で感じていることをお話しくださいました。お子さんを抱っこしてインタビューに臨まれました。

比べたら大変じゃなくても

──(事前のやりとりで)子育てに特に大変なことがないということでしたが、今も状況はそんな感じですか?

泉さん なんて言ったらいいのか、大変なことはすごくあるんですよ。でも、他の人に比べたら全然大変じゃないんだろうなって思うんですけど、自分的にはすごい大変なんですよ(笑)。贅沢な悩みっていうか、親にも「大変なんだよね」と言っても、うちの子供がけっこう寝る子供なんで、「寝てくれるなら全然(大変じゃない)。やるしかないよ」(と言われる)みたいな。それでも大変なことはいっぱいある。初めてでわかんないことだらけで、それもあって大変なのかもしれないですけど。

──大変だなあと泉さんが思われることって何ですか?

泉さん 朝起きる時間すら自分で決められないし、朝起きてからずーっと動いて、子供が昼寝してる間になんとか家事をし、最後寝かしつけるまで動いているから体力的にすごく大変だということと、それと一緒に、自分の時間がなくて、集中したくても集中できる時間がほとんど(自分に)与えられないから、趣味もそんなにできなくて退屈なんですよね。暇じゃないんですよ、体は忙しいしやることはいっぱいあるんだけど、頭が退屈っていうか(笑)、分かりますかね?

──自分のしたいことはできないんだけど忙しい?

泉さん そうそう、そんな感じです。私は考えたりするのが好きで、頭を使っていろいろしたいんだけど、そんな時間は与えられない、っていう感じかな。
 (赤ちゃんが)次のミルクは何時に飲むだろう、何時に起きるだろうとかそういうことをずーっと考えてて、それは日々劇的に変わるわけじゃないから退屈、というのが精神的に大変なところです。

──親御さんにお子さんを預けるとかも、今は特にないですか?

泉さん ないですね。だからほとんど離れたことがなく、ずっと一緒です。

子育て100%にはできないな

──今育休中ということですが、いつまでですか?

泉さん 生まれてから1年なんで、来年の1月までなんですけど、保育園に入れられないと、保育園に入れるタイミングまで延びる。って感じかなあ。けっこう激戦なんで…来年の4月にはなんとか入れるといいなと思っています。年度の途中では難しそうな気がします。

──育休は早く終わってほしいですか?

泉さん いや、それでもやっぱり、子育てしたいなっていうのがあって子供を産んでるから、育休を早く終わりにしたいとかまで思ってないです。仕事もすごい好きってわけでもないし、自分でもどうしたいのか、よく……。
 私、体が全然戻らなくて、産後半年ぐらい経つんですけどまだ体中痛いし、これで子供を育てながら仕事はまだ難しいなっていう感じ。だから育休とっててよかったなっていうのはすごくあるんですけど。

──体力が戻ったら仕事はしたい?

泉さん それはそうかもしれない。私はずっと家にいるのはあんまり向いてない(笑)。確かに子供はかわいいし、仕事を辞める、っていうのも1つ選択肢としてありますけど、考えて私には無理だなと思って。仕事ってそれなりのやりがい、すごく難しい問題を解決したりとか、あ、今日はこれができたとかあるんですけど、私的には子育てにはそれがなくてあんまり達成感がないっていうか。

 世の中のお母さんたちは子供の成長を我が幸せのように思うところがあるのかなーって、本とかにもそう書いてるじゃないですか。でもそれは私にはできないな、って思いました。私は仕事して子育てして、っていうのをやりたいんで、育休(をとる形を選択した)。まあ、きちんと保育園に預けられるようになったら、復帰したいなっていうところですね。
 
 子供はかわいいんですけどね。なんでしょうね、そういうことを考えると、なんか自分は母親に…向いてないっていうのもあれですけど、ちょっとちがうのかなーって思ったりすると、子供がかわいそうだなって思うところもあるし…。

──お仕事で得られる達成感と子育てで得られる感覚は違う?

泉さん うーん、全然違いますね。

──子育て100%で満足かどうかっていうのは人それぞれなんでしょうね。

泉さん 例えば子供を育てることで達成感を得ようとすると、よくあるじゃないですか、お母さんが超教育ママとか、子供の成長で他のママと競うみたいな、それになってしまうと思う。だってそれしかないから。その感覚が私、初めてわかりました
 ドラマとか見てて、なんでこのママ友はこんな意地悪なことするんだろうとか(笑)、なんでこのお母さんはこんなに子供を甘やかして、我が子が一番みたいなことを言い出すんだろうと思ってたんですけど、確かに、育児しかなかったらそうなっちゃう気がする
 自分はそうならないように仕事を頑張ろう、バランスとっていこう、って思いましたけど、専業主婦で、子供と1対1で10年20年ずっとやってきたお母さんの気持ちもわかる気がしました。(わかって)すごく、「おおお」って(笑)思いました。

育児休暇ーもやもやを抱えながら

泉さん この子、こうやってる時も静かじゃないですか(※赤ちゃんを抱っこしてインタビューを受けてくださった)、泣いたりぐずったりしないし。眠い時はぐずるんですけど、ベッドに行くと5分とか10分でスーッと寝ていっちゃって。夜も起きないし、もし夜中起きても泣かないんですよね。ベッドの縁をカリカリやって呼んでくる(笑)。ワーッて泣かないで「アア、アア」ってしゃべって起こしてくるとか。そんないい子なのに、私はぐずられると嫌だとか主人に文句言ったりして、なんか申し訳ないなっていう感じです。

──申し訳ないというのは、お子さんにですか?

泉さん みんなに。主人にもけっこう当たる時があるし、こんなに病気も全然せず元気でやってくれている子供なのに、毎日1日中相手をするのはすっごい大変だから嫌だ、みたいに話してるのがなんか申し訳ないなって思いながら、ストレスが止められない(笑)。

──でも、それって嘘じゃなく本当の気持ちなんですよね。

泉さん うん、そうなんですよ。

──旦那さんは子育てにはどう関わっている?

泉さん 何でもやります。共働きで、産前から家事も分担するのが当然のようにやっていたし、育児もうちの主人はできないことはないです。なので、子供を主人に預けてどこか行ったりはしようと思えばできるんですけど、このコロナの関係で行く場所もなかなかないし、どこか行って(ウイルスを)もらってきちゃってもあれだし、友達ともあまり会えていないです。

 でも主人は何でもやってくれるし、すごくやさしいし、全然文句ないっていうか、こんなにいい人と結婚してよかったんだろうかって(笑)自分は思うぐらい。なんだけど、すごく不満をぶつけちゃったり。何なんでしょうね。私、嫌なやつみたい(笑)。

──不満をぶつける時は具体的に何をどういう風に言うんですか?

泉さん 「なんで早く帰ってこないの」とか、めっちゃ怒って言うって感じかなあ。普通の夫婦喧嘩的な感じなんですけど、私がわがままを言ってるような気がしないでもない(笑)。

──それに対して、旦那さんはどう返してくる?

泉さん 基本的には謝ってくれるかな。なんかごめんねみたいな。

──泉さんが子育てをずっとしてるのがつらいっていう気持ちは、旦那さんには打ち明けてるんですか?

泉さん うん、そう言って、というかすごい文句言って。毎日子供が寝てから夫婦で夕食を食べてるんですけど、ごはんの時に主人が「毎日ありがとうね…!」って毎日毎日言ってくれて、こんなことまで言ってくれていい旦那さんだなとその時には思うんだけど、ちょっと帰ってくるのが遅かったりすると「なんで早く帰ってこないの!?」みたいな(笑)。私が精神的にちょっと不安定なのかな。

──旦那さんは気持ちをわかってくれてる感じはしますか?

泉さん うん、多分本当にわかってるし、なるべく頑張って早く帰ってきてお風呂を手伝ったりしようとしてくれるし、家事もやるし。(子供の)ミルクも言わなくてもさっさと作るから、うちのお母さんが産後1ヶ月ぐらいうちに来ていた時「こんなにどんどんやってくれる旦那さん、すごいね」って言うぐらい、何でもやってくれるんですけどね。

──旦那さんは育児休暇はとってない?

泉さん とってないです。

──実際に育児休暇をとって1日お子さんと一緒なのは泉さん、というところですかね。

泉さん そうなんですよ。それがけっこう、不公平だなって思いますね。

 仕事したい私の時は、子供産まれると出世できなくなるからやだなって思うとこもあるし、でも子育てしたい私の時は、1年とか育休で休めるのは今のところ女の人だから、こうやってずっと子供といられるのも幸せの1つなんだよな、と思ったり。なかなか自分の方針が定まらないのがグラグラする要因なのかもしれない。
 仕事をバリバリしたい!っていうお母さんだったら、何がなんでも早く保育園に入れて仕事始める、って思えるのだろうし。

──仕事したいのも育児したいのも、どちらもある気持ちなんですよね。

泉さん 難しいんですよね。でもそんなことで悩まなきゃいけないのも、女性だけじゃん、って思うと、余計もやもやするっていうか(笑)。男性はそんなことで悩まないから。

──旦那さんの職場では、育児休暇を男性がとるのは現実的じゃない感じなんですか?

泉さん そうですね。なかなか。

──(育児休暇のとり方について)ご夫婦で話し合いましたか?それとも、当然泉さんがとるという感じで?

泉さん まあ、当然…って感じかな。私の職場でも、女性が育休とって復帰して、その後時短で働いて、っていうのが当然のような職場だから、なんかそれが当然みたいな。私が育休をほとんど取らないで復帰して、旦那さんが育休とって休んでたら、逆に私の周りからも驚かれちゃいそう。だからまあ、女性が育休をとる方なのは当然、って感じかなあ。

──復帰後は時短で働く予定?

泉さん 入れた保育園の保育時間にもよりますが、その予定です。
 
 それも(時短で働きながら育児をするのも)けっこう大変そうだし、保育園に入れるのも大変だし、保育園に入れるためにいろいろ調べたり、見学に行ったり、書類を集めたり、他にも子供の予防接種はいつまでにやっていつ次のができるかも把握して、予防接種のために朝何回も何十回も病院に電話して予約したりして(笑)、そういう子供関係の、これなんて言うんですか、これも育児なのかなあ、すべて私が管理して、さすがに休んでるから私がやってるんですけど、それは主人は全然ノータッチだし、そういうやらなきゃいけないことっていうのがいっぱいあって、子供のために考えなきゃいけないこともいっぱいあって、やっぱり自分のことを考える時間がなくなって

 結婚してしばらく子供ができなくて、もうできないかなあって思って、で、犬を飼ったんですよ(笑)。けっこう覚悟して、犬を二人の子供だと思っていくかあ…なんて言ってたんですが、犬が来たら妊娠が発覚して(笑)。だから私はそんなに、超ほしいと思って子供を産んだわけじゃなくて、できたらいいねぐらいで産んでて。

 「子供ができないなら、キャリアのために転職とかも考えようかな」って思ってた矢先でもあって、でも子供が産まれちゃうと転職どころじゃないし、キャリアについてもずっともやもやしたまま…何かしたいんだけど何もできないんじゃないかって考えてしまいますね。だけどそんなに考える時間がない。自分の勉強に当てられるような時間は今ないし、それがなんかつらいのかな。

根底にある価値観との葛藤

泉さん でもそんなこと言って、子供がかわいそうじゃないですか。私のお母さんは専業主婦で、子供のために生きるべきっていう価値観の中で私は育ってきて、自分の中にもそういう価値観がありながら、でもこれからの時代はそうじゃない、みたいな葛藤がありますね。

──泉さん自身がお子さんの頃は、お母様は子育てに専念してるって感じでしたか?

泉さん お父さんが夜中まで働いて、お母さんが家にいて、お菓子とかは全部手作りでみたいな、そういう、昭和って感じの普通の家庭。

 だから、そういうのがあって初めて子供は幸せなのかなって思う部分も根底にはあるのかも。けど、私自身の考えとしては、仕事は絶対やりたい。って感じなので。

 ……自分の中で結論が出せれば、もうちょっともやもやせず、「私はキャリアに生きる!」とか思えるのかもしれない。 
 私、仕事はちょっと特殊な研究職をやってて。大学院まで行ってずっと勉強して(同じ分野の)会社に入って研究職をやって、それがずっと好きでやってきた、っていうのもあって、仕事はやりたいって感じなんですね。すごくやりがいを感じてて夜中までやりたいとかそういうのはないんですけど(笑)、でも、それなりに研究者としての何かを残したいとかあるんで。
 
 研究って目指す目標に向けてコツコツやっていくものなんで、そうやって何かに向けてずっとやってきたのが、妊娠してからどこに向かって行ったらいいのか(わからなくなった)。

 今与えられた現実として、子供がいたらそんなに残業できなくなっちゃって、ここで急にバランスを取らなきゃいけなくなっちゃったのがもやもやしているのかも。バランスを取りながらも何か目指すところを決められれば、すっきりした気持ちで頑張れるのかもしれないですね。
 そしたら主人に当たることも減るのかもしれない(笑)。けっこう、うらやましいなって思っちゃう時もあるから。

──妊娠・出産までは好きなように残業して研究に没頭できていた?

泉さん そうなんですよね。まあまあ期待されてるなーっていう中で仕事してきたんですけどね、これ以降はそうはいかないんじゃないかっていう不安もあるし、でもそれにも負けず私はやりたいなっていうのもある。

 まあだから私が選べるのは仕事を一生懸命やりながら幸せな家庭を、って感じ。


泉さん あ、ちょっとだけベッド行ってきていいですか。(※赤ちゃんを寝かせに行かれた)

──どうぞ。・・・あ、もう大丈夫ですか?(※2分ほどで戻られた)

泉さん はい、もう、ファーッと寝ていきました(笑)。

──すごい(笑)。

泉さん でも一人しか子供がいないからこれがどんだけのものなのかわからないけど、まあ、なんか、スーッ、と寝ていく(笑)。

──よく背中スイッチとかいうじゃないですか。抱っこからベッドに下ろすと起きちゃうっていう。

泉さん そうそう、Twitterとかでも、すぐ起きるとか全然寝ない、ってよく見て。でもそういうことがあんまりなくって、どうなっちゃってるんだろう、と(笑)。

みんなどうやって決めてるんだろう

──これからの計画として、お子さんを何人か持つとかはありますか?

泉さん 元々は二人ほしいねって言ってたんですけど、(最初の)子供がけっこう遅くなったのもあるし、子育てをこの半年して、やっぱり一人でいいです、って感じに(笑)。

 今思うのは、本当は二人いたらいいな、でも自分も仕事したいとか、あとは学校にかかるお金とか考えると、(子供は)一人の方が、私の人生を充実させられるなって。でも、子供はきっときょうだいがいた方が楽しいんだと思うんですよ。けっこう葛藤して、今は自分の人生を充実させたいっていう方が勝ってるから一人で、って主人に話して。

 でもわからないです。自分にきょうだいがいて、きょうだいって大人になってくると相談も気軽にできるし、すごくいいんですよね、私は。やっぱり子供のためにはきょうだいがいた方がいいよね、ってそのうち揺らぐかもかもしれない(笑)。

 そういうこと…特に仕事のキャリアと子育てを考えた時、みんなどうやって決めてるのかなって思います。自分と同じような人生を歩んでいる人のアドバイスとか聞きたいです(笑)。保健師さんとかには子育て支援とかで相談する機会があるんですけど、全然環境がちがうじゃないですか、話したら「そうですよね」とかって一応同意されるんですけど、だからどうするみたいなのはないから。

──先輩とか、知っている方とかで、妊娠出産を経てもキャリアを積み重ねているような方は?

泉さん 私の勤めてる会社って小さくて、そういう人がいないんですよね(笑)。それが、きっとこの会社では無理だなって思うとこなのかな。そんなすぐつぶれるような会社じゃないから、今の会社にいれば一研究員としてやっていく道はもちろんあるんですが、自分はそれでいいのか、それで満足できるのか。もうちょっとできるなら、もっと上目指してやりたいんじゃないかっていうのがありますね。それはずーっとあるかな。

時短ーなんでいちいち女性だけ

──泉さんの会社では、育休をとったり時短勤務になると、出世というか、昇進しにくい感じですか?

泉さん うーーん、そうですね、なんとなく。そもそも今の私の会社は、女性はほとんど出世なしです。

──そもそも?

泉さん 大きな仕事をしようと思うと上に行かないと、ただのプレイヤー※として一生を終えるみたいな感じになっちゃう。(※マネージャー(管理職)の対義語としてのプレイヤー。泉さんの職場では「一研究員」という立場)
 
 評価で(職位は)上がっていくんですけど、一応絶対評価で、同列の社員で通常勤務と時短勤務では同じ成果が出せるかっていうとなかなか。時短勤務は時間が短い分、成果を出すにはすごくハードに効率化して働かないと、通常勤務の社員と同じだけの評価を得るだけの成果は出しにくい。だから必然的に通常勤務の方がいい評価になるかな。時短なのに頑張ってるから評価を上げてあげようとかそういうことできないじゃないですか、会社って。

──女性はスタートから元々低いってことではなくて、時短だったら成果を出しにくいからってことですね。

泉さん はい。最初から低いってことでは全然ないです。

──時短をとっていない人であれば通常勤務の男性と同じような評価の対象にはなると。

泉さん なると思います。
 ……ね、なんでそんなこといちいち考えなきゃいけないんだろうって思っちゃいます。女性だけじゃないですか、そんなこと考えなきゃいけないの。そんなことをいっつも思っちゃって。なんかなー、って。

──どうすればいいんでしょうね。

泉さん でも会社からしたら、どうしようもないんですよね。だって、同じ期間内で成果を高く出した人を評価するのは当然じゃないですか。だから人一倍頑張って、時短で子育てしててもガッと成果を上げられるような、めっちゃパワフルな女性だったらキャリアを積み重ねていけるんだと思います。世の中、会社で上のほうにいる女性って、なんかもうめちゃめちゃパワフルじゃないですか(笑)。私はそこまで頑張れるかは不安です。

──それをやらなきゃいけない、ってなるとしんどいですね。

泉さん ね、そう(笑)。

始めたこと・変えたこと

──何か最近始めたことってあります?

泉さん 元々健康のために通っていたヨガの先生が声をかけてくれて、オンラインヨガをやらせてもらったり。
 このコロナの期間にオンラインの講演会とかもすごく増えたんで、無料のものは何でも申し込んで、質問できるのは質問してみたり。企業の主催するオンラインのイベントにも参加したりとか。

 趣味だと、ライブに行くとかが好きで行ってたんですけど、もうずっとライブもやらないし…。
 オタク趣味だからアニメ見るとかゲームするとかも好きで、元々はすごく集中してやるときはやる!っていうスタイルだったんですけど、今は時間がとれないから、「ながら」でやるようにスタイルを変えていかないとと思って、子供を見ながらゲームを立ち上げてみたりしてます。なんとかもがいて(笑)。

 漫画を読むのも好きだったんですけど、子供がいたらまず本を持てない。でも電子書籍ならスマホで読める。ちょうど実家にいるきょうだいが、紙の本を売って、電子書籍で同じものを買い集めてるって言ってたから、私が実家に置いてきた漫画全部売っていいから、それを元手にオンラインに本棚を移して、って言って(笑)。きょうだいとお金を出し合って、オンラインの本棚を共有して。そしたら新しい本が出たらきょうだいが買ってくれるんですよね。私は読むだけだから、すごい楽で(笑)。

 子供の頃、きょうだいで1つの本棚にそれぞれの好きな漫画を置いて二人で同じものを読んでたのが、電子書籍でまた復活したんですよね。

 家が離れて本棚が違うと、読んでる本も違うからなかなか話も合わなくなったりして、でも電子書籍で二人で同じ本棚を共有するようになったら、これの新しいとこすごいよかったよね、とか話ができるようになったから、昔に戻った感じ。すごくいいです。

 本の貸し借りなんか私が家を出てからずっとしてなかったんですけど、ここにきて復活しました。やっぱり同じもの見てるってすごい強いですよね。

コロナでママ友作れず

──コロナの状況下、地域の子供の遊び場みたいなところには出かけていない?

泉さん あ、1回行ったんですよ、この間。本当にそういうのが始まったのはつい最近で。それも予約制で、熱を測っていって、体調不良が少しでもあったらやめてください、という感じ。それでも1日行って、ああ行ってよかったなって思う場面は確かにありました。もうちょっと頻繁に行こうかなって今思ってるところなんですけど、それもこれから(コロナの状況により)どうなっちゃうのかわからない

──先が見えない感じがまた始まりましたもんね。(※このインタビューは2020年7月中旬に行われた)

泉さん 親子で楽しむ体操教室とか、そういうのにバンバン申し込んでたんですけど、コロナの影響でもう全部ダメになっちゃって
 離乳食講習会は少人数でやるんでって言われて行ったけど、30分くらいバーッと話をされて、そのまま帰されて。交流みたいなのは基本、なし

 (子供の)3ヶ月健診も、そこで友達ができるとか聞いたんですけど、みんな距離をめっちゃ離して(順番を)待ってて。お互い気を使うじゃないですか、うつっちゃったらどうしようって。だからそんなに話しかけられないし、友達作るとかそういう感じじゃないんですよね。ママ友は全然いないです。

 これは私と同じくらいに産んだ今のお母さんたちにとって、けっこう重大なことだと思う。私は今年の始めに産んでるんですけど、そこからずっとコロナじゃないですか。なので、子育て支援のイベントは本当に最低限って感じで、やっと7月からなんとか再開してるかなー。今から行けるものは行こう、って思っていますが。

──子育てをしてみて実際どうだったっていう話をできる場が全然リアルで持てないですよね。

泉さん 学生時代の友達はもう子供が大きい大先輩なんで、離乳食の相談とかはしてますけど、それも基本、LINEとか。直接会ったりは全然してないですね。

データを元に次のアクションを決めたい

──事前のやりとりに書いてくださった、育児に気をつけていることっていうのは何でしょう?

泉さん 私、家だとあんまり表情がないんですよ。初対面の人とかお友達とかには気をつけて表情をつけてるというかオーバーに反応するように心がけてて、それを子供相手にも頑張っています(笑)。

 あと私、ミルクをどれくらい飲ませたか、どれくらい飲ませればどれくらい時間が空いて、どれくらいのペースで体重が増えたかっていう記録をずーっとつけてて(笑)。産院で使ってた表と同じようにExcelで作って、毎日毎日つけてるんですよ(笑)。

──さすが研究者ですね。データをとっていったら、何かしらの結果が出そう。

泉さん 離乳食が始まってからは、量も食材の種類も徐々に増やしながらやらないといけないから、その日考えるの大変だなと思って、離乳食欄を増やして計画を書いていったりとか。自分でもおかしいなって思うんですけど(笑)、それがあると安心してできるっていう感じかな。

──すばらしいと思います。それをどこかに公開してたりはしないんですか?

泉さん してないですけど、私ができることってこんなことぐらいしかないから、公開してみたりしようかなって思ってます。このフォーマットほしい人いるかなーって。

──いいじゃないですか。

泉さん ちょっとやってみようかな。人生何が役に立つか分からないから、やるだけやってみようと思ってるんですけどね。
 いろいろやってるんですよ、家計簿も予算形式でつけてて。ガス代は1年で何万円かかるからそれを12で割ったら1ヶ月いくらだから、毎月いくらの予算、みたいな。自分でも何やってるんだろうって思うんですけど(笑)、それがあると安心して日々暮らせるって感じ。そういうフォーマットはたくさん持ってるんです。

 犬にかかる代金も、1年かけてデータとっといて。注射とごはんと…って合計して12で割って大体毎月いくらぐらい犬の維持費(笑)がかかってるか(を算出している)。

──データを元にした日々の検証ですね。

泉さん そうです。子供なんて、体重を管理されてますよ私に。

──ちっちゃい頃って(軽いので、細かく測れる)特殊な体重計が必要ですよね?

泉さん お友達からたまたま借りられたんですよね。50g単位で、私としてはちょっとまだ不満なんですけど(笑)、1週間に1回とか、なんなら1週間に2、3回体重測って、ミルクを飲んだ量と体重の増えとを見て、これぐらいの傾斜で増えてるからもうちょっとミルクを増やしていこう、成長曲線に合わせ込んでいこうとか(笑)。あー申し訳ないな、とか思いながら体重管理を。

──お好きなんですね。

泉さん うーん、そんなに好きって思ったことないんですけど、やると安心するから好きなのかな。データを元に次のアクションを決めたいって感じ。

──ご自分のことはデータをとってたりします?

泉さん スマートウォッチで睡眠のデータはとってます。けっこう正確に測れるんで、グラフ見て、子供のお世話で夜中に起きた時間だなとか。先月の私の平均睡眠時間は何時間だった、とか(笑)。1ヶ月で平均をとってくとけっこう同じになるんですよ。新たな知見が増えたみたいな(笑)。

──子供の成長と一緒に見ていったら、それはなかなかないデータですよね。

泉さん 最初は自分の手で記録をつけてたんですけど、いやもう無理!って思ってスマートウォッチを買ったら、それだけじゃなくすごく便利で、世の中のお母さんにはスマートウォッチをおすすめしたい(笑)
 今から帰りますっていう主人のLINEのメッセージ通知とか、メルカリでものが売れたとか、料理しながらでもお風呂の中でも見られるのですごく便利です。

言いたいこと/したいこと

──世の中の人とか記事を読む人に向けて言いたいこと、何かありますか?

泉さん やっぱり…どんなに旦那さんが協力的でも、どんなに子供が楽でも、子育ては大変。ってことかな。

 大変っていうと一言なんですけど、改善したいこと、改善できることがまだある。って感じがします。(住んでいる地域の)小児科も電話しか受け付けないとか、子育て支援のセンターも電話で予約、とかだから、開いている時間を意識しないといけないし、そういうことがインターネット的な何かで解決できたら、と思うことはありますね。

──いま世の中にあることに関して、子育てが大変じゃなくなるような改善をということですね。

泉さん そうそう、大変なんだけど、もうちょっと大変じゃなくできるじゃん。と思う時があるって感じかな。今でも十分改善されてきてると思うんですけど、もうちょっと楽になれそう、って思う。それができないからつらい、大変、って感じかな。

──そういう意見を、例えばその小児科に言ってみることは?

泉さん 言ってみたりはしないかな。言ったら変わるって思ってれば言えるのかもしれないけど、ね。
 (いろいろ思うことはあっても)子育てで大変なことって一時的じゃないですか。
 例えば妊娠中、おなかが大きくなって作業着を着てるのが大変だったんですよね。妊娠中だけ私服 OKだったらいいのになって思ったことはあるんですけど、妊娠期間を過ぎちゃうと忘れちゃうっていうか、わざわざ言うまでもないって思っちゃう。我慢すればいいか、ってなっちゃいますね。


──今自由に好きなだけ時間を使えるとしたら、やりたいことは何ですか?

泉さん えー、なんだろう……(※しばらく考える)。好きなだけ時間を使えるとしたら……旅行に行って、ゆっくりリフレッシュかな。プールに入ったり入んなかったり、お風呂入ったり入んなかったり。

──誰かと一緒に?

泉さん 主人と一緒に。

 何をしたいというよりかは、自分の好きなときに寝て、好きなときに起きるとかをしたい、って感じかな。

(終わり)

※インタビュアー田中の発言の前には──が付いています。

出産に際して女性は身体的にも社会的にも大きな変化に直面します。戸惑い、揺れる気持ちを率直に語ってくださり、胸に迫る種々の問題提起をしていただきました。ありがとうございました!

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