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游木トオルさんへのインタビュー/第2回「思いっきり"今ここ"にいる時」

フォトグラファーの游木ゆうきトオルさんにインタビューしました。
ルーティンの日々を送っていると、生きている実感が湧かなくなることはないでしょうか?
"今ここ"に立ち戻ることで、心は再び動きだしていきます。

動画版はこちら

プロフィール
1966年生まれ、北海道出身。
大学卒業後、23年間を検事として過ごし、2016年に早期退職した。
翌年から50歳にして初めて世界一周一人旅のバックパッカーを経験。
これを契機にフォトグラファーとして活動するようになった。

最初の訪問地、スリランカにて

最初だから何がどこまで大丈夫かわかんないっていう不安もあったし、ついつい乗っかって、3日間ぐらいかな、宿の人がやってるプライベートなツアーに申し込んじゃって。

けっこうなお金を支払うことになったっていうのが、苦い思い出というか、いい経験ですね。

ーーそこで最初に経験したから、それから先の行程は、自分でやっていこうとか、そういう気持ちになったんですか?

そうだね、やっぱ逆を経験するからこそ、これじゃないなっていうのがよく身に沁みてわかる。

この時も、ツアーが終わって、そっからもう一人で、全てやっていかなきゃいけないってなった時に、すごい解放感だったんですよ。

「あー!これこれ!これが経験したかったんだよ!」と思って、そっからはちょっと心を改めました(笑)

ーー自由じゃない状態にいったん置かれてこそわかる自由があるんですね。

そうですね、何でもそうですね。

世界一周の歩き方

ーー世界一周では、何か国ぐらい回ったんですか?

30ぐらいですね。
数的にいっぱい行ってる人はもっとすごく行ってるんで、人と比べちゃうと、そんな大した数ではないんだけれど。

まあでも、人と比べるもんじゃないからね。
自分の中ではもう大冒険ですよ。

ーー主にどういう交通手段で?

いろんな交通手段使ったんですけど、世界一周航空券っていうちょっと変わったのがあるんですよ。

ルールは一応あるんだけど、それに従って世界一周できる分の飛行機の券が1セットでゲットできるものがあって、それを使ったんですね。

だから、大きな移動は飛行機、行った先での中くらいとか小さな移動は現地のバスとか電車とか船とか、LCC(格安航空会社)もあるし、何でも使ったって感じ。

ーーバスって緊張しないですか?乗る時。

ああ、最初はね、緊張しましたけどね。
だんだん慣れると普通になりました。

ーー私フィンランドで一人旅した時に、現地のバスに乗ったんですけど、もうアナウンスが何言ってるか聞き取れなくて。
だいたいここだろうって所で降りて、そこからひたすら歩くっていうことをやりました(笑)

ていうかさ、アナウンス自体ほぼない所が多くて、フィンランドはまだ親切だよね。

そうじゃない国はアナウンスなんてないし、窓の外の景色見たってわかんないし、書いてある字もわかんないし、周りの人に助けてもらう感じでしたね。

ーーじゃあ「〇〇で降りたいから、着いたら教えて」みたいな?
けっこうみんな教えてくれましたか?

むっちゃ親切。
「どこ行きたいんだ?」とか聞いて、降りてからの道順まで教えてくれたりするし。

ーー言葉がわからないからってあまり不安にならなくていいんですか?

うん、それは大丈夫だと思う。
場所の名前だけ言ってればわかるじゃない、だいたい。

ーーここに行きたいんだろうということを汲み取ってくれて、じゃあこうしたらいいよと教えてくれる?

そうそう。
もう何人かの人から言われた、「ここだここ」と。

"今ここ"にいるということ

ーー世界一周してすごく思い出に残っている土地とかありますか?

もうありすぎて、全部残ってるね。
記憶が鮮明なんだよね。

ルーティンの日々を送ってたりすると、昨日やったことが思い出されない。ルーティンじゃなくてもそうなんだけど、今まで僕は過去のことはあんまり覚えてないことが多くて。

だけど、旅の間のことって、ちょっとしたきっかけがあるともうついさっきのことのようにリアルに蘇るわけですよ。

「これ、何だろう?」と思ったら、たぶん、思いっきり"今ここ"にいるんだよね、その時って。

全開状態でいろんな情報をキャッチしないといけない。
しかも、余計なことを考えてない。

昨日のことを後悔したり、明日どうしようって心配したりっていうよりも、今どうしようっていうことで精一杯だから、感動することも多いし。
っていう風になるとやっぱ、心が動いてるっていうのもあるよね。

それで記憶が鮮明なのかなって思ってますね。

今思い出すのは、初めて行った中東の砂漠。

あと、とっても居心地がよかったイースター島。

モアイ像がある所ね。
あそこの風景とか、今バーンと思い出しましたね。

始まりはスマホの写真

ーートオルさんは現在、フォトグラファーとして活動されていますけど、写真自体はいつ頃から始めたんですか?

写真を始めたっていう、これってタイミングがあるわけじゃなくて。
仕事辞めてから、行く先々で、スマホで写真撮るのがなんかすごくおもしろいなと感じるようになっていた。

旅の間も、ミラーレスの入門者用のカメラをちょっと前に買っていたので、それを持ってあちこち行って写真撮ってた。

それもだんだんおもしろくなって、ここ行ったらいい写真撮れそうだとか、これ撮りたいとかっていう気持ちが芽生えてきた。

それでいっぱい撮るようになって、(日本に)帰ってきてから、そういう写真の話とかを友達としていて、じゃ撮ってよと言われるようになった。

それまで風景が多かったんだけど、人の写真も撮るようになって、ていうのが流れですね。

ーー世界一周の中でたくさん写真撮られたと思うんですけど、思い出深い写真とかありますか?

いっぱいあるけど、今思い浮かぶのはさっき言ったイースター島。
そこで撮ったラノ・カウっていう火口湖、火山の噴火口の跡に水が溜まった湖があるんですけど、そこがすごく綺麗で、その写真が大好きですね。

あとはね、もう1個思い浮かんだのは、同じイースター島で見たスーパームーンの皆既月食。
その月の写真を思い出しますね。

ーーすごいですね、たまたまその時期に当たったんですか?

そうそう。

~第3回へ続く~

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