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森田泰暢さんへのインタビュー/第2回「やりたいことを見つけるには」

森田泰暢 やすのぶさん(福岡大学 商学部 経営学科 准教授)にインタビューしました。
第2回では、現在の好奇心を取り巻く状況や、やりたいことを見つけたい人は何から始めたらいいのか、などについて伺っています。
時に好奇心は潰されることもある。
でも一方、自分で育てることもできるんです。

<森田泰暢さんプロフィール>
1980年生まれ
農学修士、経済学博士
関心領域はサービスデザイン(UXD,HCD含む)とそれに係る人材育成、産学連携教育、実践共同体、ゲーム開発マネジメント
企業と連携した商品開発プロジェクトやリサーチ活動も行っている
2017年から社会人と学生が混ざって研究的活動を楽しむヒマラボという場を作った
・京都大学高等教育研究開発推進センター第5期MOSTフェロー(2017年3月修了)
・人間中心設計専門家資格取得(2017年3月)

ヒマラボのサイトより

第1回はこちら

好奇心を取り巻く状況

好奇心ってけっこう育てるのが大変だし、維持するのも難しいんですけど、壊すのは簡単です。
壊しやすい環境がどうしても強くなってきてしまっているというのは感じます。
あと、少子高齢化ということを考えると、子供が少なくて大人が多い状態です。
しかも暇な人が増えてくると、もしかしたら構造上好奇心はより潰されやすい環境にあるかもなと今感じているところですね。

ーー何でそんなに好奇心って潰されるというか、集中攻撃されるんでしょうか?
やりたいことがあるってだけで、もしくは何か目指すものがあるってだけでちょっと羨ましいのかなとは思っています。
べつに自分のやりたいことをやっちゃいけないとは誰も言ってない。
でも、なんだか前に進められないような気がしていたり、やりたいことなんてそもそもないよ、みたいなケースが多かったりします。
まわりを見てみても、こういうことを目指したい、こういうことをやりたい、こういうことが夢なんだ、みたいなことをうまく語れる人の方がやっぱり少ないんじゃないかな。
なので叩きやすいというか、そういう環境が少しはあるかもなと思ってますね。

ーーやりたいことがない人って何から始めたらいいんですか?
やりたいことというものがかなりおっきく捉えられすぎてるかなと思っています。
例えばお菓子が好きだという時、お菓子の本を読んでみようとはなかなかならない。
好奇心って、対象に対しての知識が全くないか、自分ではすごくあると思っている時は湧かないんですよね。
中途半端な、そこそこわかってきたかなっていう時に一番おっきくなる。
これが自分はちょっと好きなんだよな、ってことに関して、関連してる本とかはいっぱいあるので、そういうものをちょっと読んでみる。
それに関する、例えば小説でもいいですし、映画でもいいですし、それについてちょびっとだけ詳しくなる。
そんなことをやっていると、もっと知りたい、みたいなことは増えやすくなるかなと思いますね。
例えばウイスキーが好きで、実はウイスキーには〇〇系と△△系と▢▢系がある、そういう知識を少し得て、お店とかで飲んでみた時に、ほんとにそういう味がするなあ、これは〇〇系って書いてるのにそういう味がしないな、みたいなズレがあったり仮説の検証があったりすると、じゃこっちはどうなのかなっていう気持ちが湧いてきたりする。
だからやっぱり、そういう風に何か知識に触れて、経験値が増えて、わかることも増えてってなっていくと、少しずつおもしろくなってくるかなとは思いますね。

体験を重ねると人はどんどん成長する

ーー森田さんが今、シチズンサイエンスとは別に好奇心を持ってされていることは何かありますか?
好奇心を持ってやっていることという意味では、子育てぐらいですかね。
子供の成長を見るのは非常におもしろいなあとは思っているので、そこかな。
原点みたいなところがあります。

ーーどういうところがおもしろいなあって思いますか?
そうですね、まだ今7歳なんですけど、ほんとに言葉も喋れない0歳とか1歳ぐらいの頃に、ちょっとおっきめのレゴを触らせてみたり、耳元で何かを話してみたりしました。
どういう特徴があるのかな、この子はと。
触るとか聞くとか話すとか、いくつかの原始的な行動パターンがあると思うんです。
どれが上手なのかなとか、どれが好きなのかなって試した時に、すごく聞く力が高くて、聞いたことをそのまま口にできるみたいな、ここがすごく上手だなと思う瞬間があったりして。
じゃもしかしたら英語のスクールとか行ってみたらすぐ喋れるようになるんじゃないかなと思って、そういうところにちょっと体験で連れて行ったりしました。
すると、この子はすぐ覚えるからこのままやってくれませんか、みたいなことを言われたりして。
実験は子供なんでできませんけど、よく観察をして、どんな特徴があるのかっていう仮説を自分の中に立てて、無理ない範囲でちょっと何かに触れさせたり提供したりして、そうすると得意なことが増えてくる。
7歳になった今でも、英語には触れ続けたいって言ってて、ディズニープラスでマーベルシリーズみたいなのを英語も流しながら見て楽しんでいます。
やっぱそういう風に特徴をしっかり見つけて、それがほんとに得意かをちょっと試して、楽しいかもよく見て、またそこを強化するような体験とかを重ねると、ほんとにどんどん人は成長するんだなと感じられて、すごく興味深いというかおもしろい。

親としては「こういうこともしたら?ああいうこともしたら?」って言っても、それは自分の意思があるから「こっちはやだ」とか「でもこっちならやってみたい」とか言うので、じゃまた何か体験みたいなのを加えてみようとかですね。
子供の様子を見て一緒にコミニュケーション取っていくっていうのはすごく好奇心が湧くことだなと思いますね。

ーー今のお話って大人にも通ずるんじゃないかと思いました。
やってみないと自分にとってほんとにおもしろいかおもしろくないかわからない。
大人の方がやれる範囲は広いので、自分の反応を見ながら好奇心を向けられるものを探すのはすごくいいんじゃないかなって思いました。
まさに、ちょっと触れてみるってすごく大事です。
自分の好奇心を認めてくれるとか、共感してくれるとか、同じような好奇心を持っているとか、そういう人に触れると、やっぱりけっこう元気になるんですよね。
もうちょっと調べてこようとかなったりするので。
なんかそういうのはやっぱり大人ほど大事かなとは思います。

ー第3回へ続くー

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