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地中海のカタストロフ

2月26日日曜、イタリアに暮らすわれわれは、凝視できない酷いニュースで目覚めることになりました。事故が起こったのは、午前4時すぎだったそうです。カラブリア州、クロトーネ市のステッカート・ディ・クートロの砂浜から、わずか100mの海上で180人の密航者を乗せた木造船が座礁して大破。幼い子供たち、未成年35人を含む88人の犠牲者(3月19日現在)を出す海難事故が起こりました。この事故は、2013年10月、368人の犠牲者を出したランペドゥーサ島沖で起こった、移民・難民の人々を乗せた船の沈没事故以来の重大海難事故です。彼らは確かに違法密航者と位置づけられますが、アフガニスタン、イラン、パキスタン、パレスティーナ、トルコ、シリアなど、戦禍、紛争、あるいは天災に見舞われ、生き抜くことが困難となった故郷を離れ、生きる希望を胸に船に乗り込んだ人々でした。
このサイトの過去の記事を振り返ると、移民・難民の人々に関する記事がかなり多い、と自分でも思うのですが、なぜわたしがこれほど難民の人々に心を寄せるのか、といえば、自分もまた、長きに渡ってイタリアという国にお世話になっている外国人であるからに他なりません。
また、それだけではなく、何が起こってもおかしくない世界で、自分自身が彼らと同じような身の上にならない、という保障はまったくなく、たとえば、ある日突然戦禍や天災に見舞われ、逃げなければ生命の危険に晒される、という状況に直面したなら、もちろん違法行為も含め、あらゆる手段を講じ、なんとしてでもその場から逃げ出すつもりでいます。そして窮地に陥った人間の、それが本能だとも思ってます。
戦争、紛争、飢饉、過剰な貧困から逃れるため、中東、そしてアフリカ大陸から、夥しい数の移民・難民の人々が欧州を目指して地中海を渡る、ここ十数年の現象は、もはや聖書的、とも言える歴史的な現象であり、気候変動、戦争、紛争、専制政治がもたらす貧富の著しい格差、生命維持の困難など、根本的な原因をただちに解決しなければ、決して終わることはないと思います。つまりイタリア政府、さらに欧州連合各国が確固とした人道的対策を打ち出すことができないなら、地中海の移民・難民問題は、今後も永遠に続く、ということです。

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