見出し画像

【法学部生向け】卒論・レポートのテーマ設定について

今回は法学部3年生の卒論やレポートのネタの選び方について、書きたいと思います。

卒論や課題は予め指導教官側からテーマが与えられることもあると思います。

一方で指導教官から「指導教官が見れる範囲のジャンルならテーマはなんでも良いよ」と言われたり「自分の興味のあるテーマでレポートを書きなさい」といったレポート課題が出ることがあります。

最も重要な点は「書きたいテーマ」が既に自分の中にある場合には、そのテーマに取り組むことです。論文執筆のモチベーション維持は最終的に、自分の興味に懸かってきます。

しかし、そこまでの熱意あるテーマを現時点で持っておらず、何書こうかなーとなっている時にはいくつか注意した方が良いポイントがあります。


1つ目【最新を追い過ぎない】

テーマを自分で設定する時に、その時に盛んに報道されている時事問題や最新技術に関するテーマを取り上げたくなりますが、注意が必要です。

確かに学術論文には新規性が求められますが、その分野の開拓者になる為には膨大な知識と時間が必要です。限られた期間の中で執筆する卒業論文や課題レポートのテーマとして完遂出来るか否かも含め検討しましょう。

報道ベースで盛り上がっている事象は、多くの人が議論し情報の流通量も多く執筆時に使えるネタが豊富に見えますが、実は学術的には殆ど先行研究がない事があります。

また係争中の案件については、事実関係の詳細(特に裁判所が認めた事実)を知る事も難しい上に上級審判決が出ていないことも多々あり、十分な下調べが出来ずに「仮に報道されている通りだとすれば」という形で論文を書くことになり、執筆の難易度が格段に上がります。

2つ目【古典的に意見が二分されたテーマは超高難易度】

1つ目と真逆ですが、学術的にも多くの検討がなされ参考文献が多くあり、いくつかの最高裁判所判決が出ているようなテーマで未だに社会的、学術的に意見が分かれているテーマがあります。

具体的には死刑制度の是非や憲法9条に関する議論等です。

これらのテーマは多くの研究者が様々な角度から検討を加えており、何を書いても先行研究の焼き直しにしかならないといったジレンマに陥る事があります。その中で無理に新規性を出そうとすると、従前の議論から見た自説の矛盾が説明出来なくなったり、最悪の場合には論理性の全くない成果物が出来てしまいます。

社会的にも学術的にも意見が長年分かれているテーマは、自身のスタンスを取りやすく、資料集めに関しても一見容易に思えますが、先駆者たちが議論を尽くしても未だに一定の解決をみていないという点に注意し、取り扱う場合には相応の覚悟を持って取り扱う方がよいと思います。


【じゃあ何書けばいいの?】

先に挙げた2点は対極的であり、「じゃあ何書けば良いんだ?」と思われるでしょう。

冒頭、書きましたが「ご自身の興味あるテーマ」がある場合には、そのテーマに取り組むのが良いでしょう。論文執筆では、本人のモチベーションが最も重要です。

書きたくもないテーマで何かを書くことは今後、嫌でもあるでしょうが「自分の興味があるテーマ」を自由に書くことが出来る機会はなかなか無い物だと思います。

その上で、私がテーマ設定時に考慮する点を挙げます。

1.最高裁判例が1本はあるか?(最高裁判所判例解説があれば尚良し)

テーマに関しての最高裁判所判決がある場合には、裁判所がその事柄に関してどの様な立場を取っているかの理解が深まり、論文の主軸として展開することも出来るので、1本はあるテーマを選びます。

2.学術的議論の進展具合はどうか?

先行研究を行っている研究者が少なすぎるテーマは、自説の組み立ての根拠付けを0から行わなければならず膨大な時間と知識を求められます。

一方で主要な先行研究者が居る場合には、先行研究者の説の組み立てや根拠を客観的に学ぶことが出来、その上で自説はどうか?という整理が出来るので先行研究者の存在は大きいです。

また先行研究者の研究を学ぶことで、自分と先行研究者の考え方の違いや、先行研究がなされた時代背景と今との差が新規性に繋がることもあります。

この2点が私が研究テーマを自分で決める事が出来る場合に、気を付けているポイントです。


【最後に】

多くの人にとって卒業論文は一生に一度のものです。

自ら学び思考し、それを形にすることには莫大な時間と労力を要します。今後、社会に出たらその様な機会を設けるのは難しくなると思います。

是非、自らが興味のあるテーマについて学び思考し続け完成させてください。苦しいとは思いますが、応援しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?