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「きのこの山」のイヤホン

「きのこの山」をモチーフにしたワイヤレスイヤホンが3,500台限定販売されます。このイヤホンは144言語対応のAI同時翻訳機能を備えています。

以下の写真をご覧ください。

「きのこの山」の形状はちょうど耳の穴に合っており、きのこを耳に刺しているようにも見えることから話題を呼んでいます。そして何といっても「きのこの山」の知名度です。

販売前からイヤホンの類似品も出回っているようで、(株)明治は、発売は3月末であるとの注意を呼びかけました。

https://www.sankei.com/article/20240304-HB75JES4FFEAXP6WC4XLD3IYHQ/

さて、「きのこの山」の形状はどのように法律で保護されているでしょうか?
「立体商標」の登録がされています(第6031305号)。
これは「チョコレート菓子」についてのみ登録されています。しかしこの形状の著名性により、他の商品にこの形状を適用すると、不正競争防止法による「不正競争」行為となります。

「きのこの山」立体商標第6031305号の登録公報一部
J-PlatPatよりダウンロード

「きのこの山」「たけのこの里」の類似品で思い出されるのは、コープ(生協)による「森のチョコの木」です。
https://biz-journal.jp/company/post_359719.html

この事件では「パクリ疑惑」が起こり、コープはこの商品を終売しました。

有名商品とのコラボはよく行われますが、通常は同種の商品間のコラボです。しかし「きのこの山」とイヤホンでは全く商品が異なります。「きのこの山」はその味というより形状が特徴だからです。

今後も様々な商品とのコラボが行われていることでしょう。この立体商標は「チョコレート菓子」にのみ登録されていますが、これでは足りなくなるでしょう。不正競争防止法が及ぶといっても、これは登録されるような確定的な権利ではないため、多くの商品に立体商標を登録する必要があります。

弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
翻訳家、執筆家、弁理士(奥田国際特許事務所)
株式会社インターブックス顧問、バベル翻訳学校講師
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)英検1級、専門は特許翻訳。アメーバブログ「英語の極意」連載、ChatGPTやDeepLを使った英語の学習法の指導なども行っている。『はじめての特許出願ガイド』(共著、中央経済社)、『特許翻訳のテクニック』(中央経済社)等、著書多数。