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相次ぐ無断転載

無断転載の事件が相次いでいます。

デーリー東北新聞社の外部執筆者である短大准教授が、東京都内の会社がセミナーで配布した資料の一部を盗用した事件


近江八幡市が子ども・子育て会議で配布した資料の表紙に、インターネットからダウンロードした写真やイラストを無断掲載

http://shigahochi.co.jp/inf.php?type=article&id=A0040741


つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道が、東京新聞の記事を無断で社内ネットワークに共有


教育者や公的機関など、人々を導く立場にある者や機関が無断掲載をする事件が相次いでいます。これでは教えを受ける側である国民に対する著作権教育も浸透しないことが頷けます。

インターネット上の画像は無断転載してもよいと思っている人すらいるようです。無料画像サイトが存在するため、それと同様に考えてしまうもの致し方ないかもしれません。また無料画像サイトのなかにも、無料で無断転載を認めていない場合もあります。利用規約をよく読む必要があるので、このようなサイトは便利である反面、恐いサイトでもあります。

「もふもふ動画」や「動物・癒しbot」は、かわいいペットの写真を集めたサイトですが、この画像の大半が飼い主の許可を得ていないし、無関係な画像を組み合わせたものもあるとのこと。

このようなサイトの横行により、インターネット上の画像は皆の共有財産との誤解を与えているのでしょう。


土佐料理「司」の商品画像を無断転載した事件では、被告は「商品画像は著作物ではない」と考えていたとのことです。この事件では検察は1年6か月の懲役を求刑しているとのことで、このような大きな事件に発展してしまうことを皆、認識すべきです。


今日は、素人でもスマホで手軽にプロ並みの写真を撮り、アップロードして世界中に公開することが容易です。他方でそれを誰でもコピペすることも容易です。
つまり、著作物の作成、公開が簡単である反面、それを侵害することも簡単です。しかし侵害した著作物をSNS上に投稿すると、すぐに侵害に気づかれてしまいます。その点では、著作権を侵害しやすいが、気づかれやすいという状況です。
上述の事件からもわかるように、社内ネットワークであっても、他人の著作物を掲載すると著作権侵害になることなど、著作権の知識の浸透が急務です。

弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
翻訳家、執筆家、弁理士(奥田国際特許事務所)
株式会社インターブックス顧問、バベル翻訳学校講師
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)英検1級、専門は特許翻訳。アメーバブログ「英語の極意」連載、ChatGPTやDeepLを使った英語の学習法の指導なども行っている。『はじめての特許出願ガイド』(共著、中央経済社)、『特許翻訳のテクニック』(中央経済社)等、著書多数。