【中国語講座】和製四字熟語
僕はフィットネスクラブで筋トレするのが趣味のひとつです。
で、筋トレが終わると少し有酸素運動をします。まぁバイクを30~40分程度こぐくらいのことですけどね~。で、このバイクをこいでいる時間ってテレビを観たりしている人が多いと思うのですが、僕はよく小説を読んでいます。最近は、家で読むよりもバイクをこぎながら読むほうが集中して読めるような気すらしています。
最近のお気に入りは、浅田次郎の『天子蒙塵』です。これは『蒼穹の昴』から『中原の虹』を経て続くシリーズです。『蒼穹の昴』は西太后が現役の時代から始まり、今僕が読んでいる『天子蒙塵』は日中戦争あたりなので、すごい長編小説ということになりますね。皆さんももし読まれるのであれば、『蒼穹の昴』から始めるのをお勧めします。
さて、この小説の中で、こんな四字熟語が出てきました。中国語ではなく日本語です。
対支一撃
イヤな言葉ですけどね、まぁご存知ない人も一緒に意味を考えてみましょう。
「支」は「支那」、つまり中国のことを指しますね。書いてある通り意味を取ると、「中国に対する一撃」???
いかにも和製漢語という感じですね。名詞で止めて動詞部分は相手の想像にゆだねるという(苦笑)。
では、動詞を補うと、こんな感じでしょうか。
中国に対して一撃を(加える)
でも、実はこれ、そういう意味ではないそうです。調べてみると、、、
中国は日本軍が一撃を加えるだけですぐに屈服するであろう
う~む。想像にゆだねる部分が多すぎる(苦笑)。
もちろん、これは普通の四字熟語ではなく、日中戦争初期の頃の「対支一撃論」という考え方のことなので、かなり特殊な言葉ではあるのですが、それにしても、無理矢理4文字にするために省略しすぎた感がありますね~。
でも我々日本語ネイティブは、あまりこういうのを気にしませんね。字に表れていない意味を「忖度」するのは、我々にとっては当たり前のようになっています。まぁさすがに「中国に一撃を加える」のほかに「そうすればすぐに屈服するだろう」という部分まで「忖度」するのは不可能だと思いますが、解釈されれば納得しちゃいますよね?
今でもそういう事象はいくらでもあります。ちょっと古くなりましたが「KY」という言葉がありましたね。「K(空気)Y(読めない)」の略だというのですが、「KY」とだけ聞いて意味を想像するのは無理でも「空気読めないという意味だよ」と解釈されれば「なるほど」と納得する人が多いです。僕のようにひねくれたヤツは「読めない」の「ない」という否定の言葉も表して「KYN」にしないと、「空気読める」も「KY」になってしまうじゃん!とツッコミを入れたくなりますが(笑)。
中国語ではこういう忖度は恐らくなかなか通じません。きちんと結論まで言わなければ通じません。我々日本語ネイティブが中国語を勉強する時は、気をつけなければなりませんね。
ところで、和製四字熟語といえば、ニュースでよく聞いていた言葉がありますね。
不要不急
“不A不B”のような構造は中国語でもよくあるのですが(“不见不散”“不打不成交”“不软不硬”など)、この「不要不急」は中国語でそのまま言っても通じません。和製四字熟語ですね。
NHKニュースではこんなふうに言っていたことが多かったかな? 他の訳をしているアナウンサーもいたかと思いますが、 僕が覚えているのはこんな感じです。
非紧急不必要
Fēi jĭnjí bú bìyào
こう言えば中国人にも分かってもらえるようです。
僕たちのように中国語を勉強している日本語ネイティブは、日常的に漢字を使用していますが、これってそのまま通じるのかな?と常に考えないといけませんね。単語が中国語でもよく使うものなのかどうか、忖度していないかどうか、常に自省しながら勉強していきたいものです。なかなか自分の母語の支配を抜け出すのは難しいですがね。