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「週刊少年ジャンプ」の早バレ

「週刊少年ジャンプ」を発売前に入手し、スマホで撮影して海賊版サイトにアップロードした者らが、著作権法違反で逮捕されました。
いわゆる「早バレ」という行為です。

https://www.shueisha.co.jp/wp-content/uploads/2024/02/20240205.pdf

早バレは発売日を楽しみにしているファンの気持ちを踏みにじるものである、とよく言われます。しかし読者はむしろ早くストーリーが知りたいと思います。読者よりも、著者と発行者である集英社の著作権が侵害された方が、問題であると考えます。
さらに注意すべきなのは、「早バレ」だから著作権侵害ではなく、複製やアップロードした行為が著作権侵害であり、たとえ発売後であってもこれらの行為は著作権侵害です。

「発売前の複製とアップロード」「発売後の複製とアップロード」

どちらも複製権と公衆送信権の侵害ですが、早バレの方が発売後の複製+アップロードよりも販売部数が減少することが予想されます。既に発行して購入されている雑誌の複製よりも発売前の方が損害額が大きいでしょう。

それに加え、今回の事件では、発行日までは読者を心待ちにさせたい、という著者と集英社の希望を打ち砕いてしまったことが問題となります。

事例は異なりますが、芦原妃名子さんの事件からもわかるように、著者は作品を子供のように考えています。改変であろうが、早バレであろうが、作品を他人に踏みにじられた著者の心痛は、一般人が予想している以上のものです。
海賊版サイトはネットが発達したからこそ出現したものです。他方でネットの発達により作品を発表できる機会も増えています。人々の叡智を、ネットを正しく使うことで皆の共有財産にしていきたいものです。

弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
「もう知らないではすまされない著作権」等、著書多数