自立学習型の個別指導の塾から学んだ親のマインドのあり方

その3では、自立型の学習をすることで、これまでよりも、自発的かつ安定的に勉強に取り組むようになった息子の変化から、勉強の場合だけではなく、それ以外の生活習慣でも応用できるのではないかと考えたことを報告した。今回は、まず実際にどう変わったかを報告し、そのための親のマインドのあり方を考えた背景をより詳しく説明したい。

これまでは、息子に対して、あるべき生活態度や習慣が出来ていない度に、なぜ、できないんだ、という意識から、おそらく上から教え込むようにしていたと考えた。しかし、課題も、彼がちょうど出来るか出来ないかぐらいに設定し、出来たら褒めるようにしたら、今後は、主体的に取り組み、より早く出来るようになるのではないか、と。つまり、勉強は塾にまかせて、それ以外は、私が、同じ方式でやってみようと考え、その日から実施してきた。

結果は、いかにして、理論的に予想したことが的中した! 
彼は、自分で目覚ましを設定をして起きようするようになり(本来ならもっと早く出来ているべきことだ)、家事の手伝い(といっても、彼のものが大量にある洗濯物を干すとか、彼のための食事づくりとか)も、従来なら、いかに親にやらせるか、自分で始めても何とか理屈をつけて早くやめようとしてきたのに、家の片付けなどでは、目安の時間が来ても、「パパはもう止めてもいいよ。僕は、キレイになるまでやる。」といって、着手したことが全て片付くまで、しっかりとやり抜くようになった。

また、ちょっとしたことを指摘したら、ゴメンといい、またすこし親切にしてやった程度のことに、すぐに、一々、ありがとう!というようになった。これまでの彼のことは、名誉のためにここでは詳述をしないが、全く別人になったようである。もし、演技を続けているとしたら、かなり辛いだろう、と思えるレベル。

また、勉強の方も、これまでだと、一度、ベッドに入ったらそのまま朝まで・・・なんてことが日常だったが、最近は、自分で決めたところをやれば、堂々と休憩をしている。「どうかなあ?」と見ていたら、しばらくしたら自分から机に向かっている。春休みから通い始めた自立型の個別指導塾から出された宿題の出された方に関係があるのか、以前なら「すこしは勉強せえ!」と親としても呆れて言っていたが、今は自律的に取り組んでいる。

自律ということで、自律神経まで持ち出すのも大げさだろうが、これまでは生理的(生理学的)な理由として、眠い、腹が空いている、疲れているなど、こちらの目には見えない要因があって、ダラダラしていたのだろう。これぐらいの年齢の子は、とにかく眠いらしい。そこで、親としては、これまで目に見えない生理的な背景も、「システム」として機能しているはずだと努めて考えてみるようにした。

しっかり眠れば頭も冴えて元気も出るし、お腹が空いているとか疲れているの頑張れといっても、だめなのだろう。大人は、納期が間に合うとか上司や取引際の評価が高まるから頑張るだろうが、子どもにはそういうものがない。大人だって、それらは社会的な責任のように見えて、給料や評価を下げたくない、といった間接的には(ヒモジさや痛み)といった一種の生理状態を回避したいという動機が根っこにあるはずだ。

以上が、今回のコラムのサブタイトルにした「自立学習型の個別指導の塾から学んだ親のマインド」である。これによって、うちの中学生の生活習慣と勉学の姿勢を激変させたと思える実践の事例である。 

もっとも、ぬか喜びでここで報告して、実は、もう戻りました、となっては恥ずかしいので、それもあって、ここで報告する前に「今度は本当か?」と観察していたら、シリーズとしては間が空いてしまったが、連休中、ますますその傾向は高まった。兄弟に対しても、兄らしい配慮がある言動になり、妹娘などは、兄の変化に驚いているぐらいである。

今日で私の態度を変えてから、一ヶ月以上が経つが、彼の変化は、「今度は本当だ」と確信できる程度まで、彼の生活習慣の変化が確認できたので、今日、報告しました。

先のシリーズでは、「生活習慣の改善→勉強の態度の変化」であったが、今度は、「自立型の勉強→生活習慣も自立型」となったわけだ。なお、自立という言葉の意味を改めて考えると、今回の狙いは、「自立」というより、「自律」の方が適しているのではないか。自立などは、子どもだから出来ないし、やはり温かい眼差しがなければ、自分だけでは出来ない。でも、暖かな眼差しと励ましがあり、生活習慣においては、自分でレベルを選んで取り組ませると、自己調整ができるようなのだ。

今回は、彼が頑張って変わろうと努力をした、エライ!とまとめることができそうだが、今回のアプローチの効果やメカニズムが本物だとしたら、私のこれまでのやり方が、彼をそうさせていたことになる。原因は私のやり方(の不適切さ、まずさ)ということになり、だとしたら、猛反省しなくてはいけない!

それもあって、彼がその塾に通うようになって以来、勉強でも生活習慣でも、自立型(自律型)ということについて、もっと考えるようになったが、他でも同じような視点で取り組みをされ、著しい成果を出されている実践に出会った。次回は、それについて紹介することにしよう。

P.S.
  コラムをほぼ書いた後、下記の本があることをたまたま知りました。

清水 章弘 「習慣を変えると頭が良くなる」
https://www.amazon.co.jp/dp/4771109788/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_hob0CbAEJB7C8

タイトルが、本コラムの主張とほぼ同じです。年齢は離れていますが、私も著者が学んだところと同じ建物で、おそらく同じ教員から学んだので、基本的な考え方は似ている可能性があります。特に、勉強の「仕方」を教えるというメタ認知的なところは、もしかしたら私の師匠から彼も影響を受けたのかも?

今、なか見検索や書評で、見ていて、思わずクリックしようと思いましたが、今、長男が、図書館の自習から帰ってきて「めっちゃ腹減った」と横で叫んでいるので、食後に、彼が読みたいかどうか要望を聞いて、読みたがったら、クリックします。

自立(自律)型なら、当然のことなのに思わず、つい親が先走りしてしまうところでした。腹を空かせて帰ってきたおかげです。これから、一緒に夕食に、ということで、本コラムはこれで投了、ということで。