【ツケとザオリク】セリエA 23-24 第24節ローマvsインテル プチレビュー
こんにちは!TORAです🐯
今回はセリエA第24節ローマvsインテルのレビューです。
プレビュー(的なナニカ)ありきのプチボリュームでお届けします!文字通り、ご覧頂いていることを前提とするサボり記事ですので、未読の方はぜひ!
●スターティング
●デ・ロッシの選択はプランA +バフ
プレビューで新生デ・ロッシローマの特徴を考察した上で「左WGはエル・シャーラウィではなくボーヴェ説」を取り上げましたが、まんまと踊らされたぜ。
結果、今選択できるプランAのスターティングをチョイス。着任後、すぐにキャンバスに描いた自分の色を貫きました。
唯一、手を入れてきたと表現できるのは左CBジョレンテ→ハイセン。
18歳の若武者と優先した理由は(出場できない問題がなければ)、よりボールの扱いに長けているから。対人性能や経験など、総合的な守備力はジョレンテが上回ると思いますが、大雨のビッグマッチとなったことで守備ではなく、足元の技術を優先したと妄想しています。
試合結果は本記事をご覧頂いてる方ならご存じの通り、2-4でアウェイインテルが勝利。4失点しているとはいえ、この起用は正解だった、という評価でいいと思います。
繰り返しですが、本節は大雨。ピッチコンディションが最悪な中、フレキシブルでアグレッシブなデ・ロッシ流を貫くための担保。そして、このリスクの負い方こそ、今彼らが上昇気流に乗っている証左であり、降りないための手段でもある。
『vsインテル』だけを切り取れば、シーズン前半とは真逆の姿勢で実に興味深いですね。
前半は全体的にローマペース。
保持、非保持ともにプレビュー通りの設計だったのではないかなと思います。ストロング、グッドポイントも当然あったんですが、それだけでなく課題も含めてプレビューままかなと思っていて。
保持も非保持も配置や連動性など歪みというか隙というか、練度不足を感じさせる部分はありました。もちろん、天候という甚大な外的要因の影響もありますが。
しかし、それでもペースを握れていたのは運動量でそれを誤魔化していたから。
配置や連動性がズレるなら、運動強度を上げて埋めればいい!が前半のローマであり、ペースを掴めた最大理由と捉えています。
対するインテルの前半は天候に大苦戦。
インテリスタなら断言できるレベルだったでしょう。いつもの即興的でカオティックなコンビネーションプレーは鳴りを潜めました。いや、トライはしようとしているんですが、雨によって緻密なボールコントロールや状況判断が阻害されたと表現するが正しいか。無論、天候は言い訳にできませんが。
互いにセットプレーでスコアを動かした前半終了間際の失点は最悪の形。
逆転、時間帯といった状況はもちろん、”一連の流れ”が被クリティカル。
大雨に嫌がりつつ、それでもいつもの機能性優位を発揮しようとするインテル。混沌を発生させる為の設計、その一つである『IH(特にバレッラ)のお引っ越し』を発動。
手段の火力を高めたものの、よりにもよってその局地で裏返り。
左に寄ったことで薄くなった逆サイドで刺されたカウンターは、スコアだけでなく精神的なダメージもとんでもなく重いやつ。
実況の北川さんがまたエモーショナルに吠えるんです!イイ!!悔しい!!!
●ツケを払う
後半、インテルはわずか4分で同点。前半終了間際に会心の一撃を喰らいましたが、よく集中していました。
ファウルによるリスタート
↓
被ファウルのムヒタリアンがすぐにチャルハノールに渡す
↓
リスタート後のブロックのわずかな隙を狙ってドンズバ縦パス
↓
ライン間で受けたバレッラが貯めて大外へ展開
↓
ダルミアンの折り返しに僕たちの9番がフィニッシュ
チャルハノールの縦パスが大好き。ブロックの配置の隙というよりも心の隙を狙ったパスはリスタートを一気にチャンスメイクへ昇華してくれました。
HTにリモートで我らがシモーネさんがデモーネ👿になったとバストーニが語っていましたが、喝が効きましたかね笑。よく気落ちしないで集中を高めてくれました。
さて、スコアがイーブンになり、勝ち点3の為、互いに気を入れ直して頑張らねば!の状況ですが、ここで気付き。
ローマに無理が効かなくなる。
もちろんサッカーをしている以上は走るし、スプリントもするんですが、前半の躍動感は目に見えてトーンダウン。
保持におけるズレを誤魔化せない。サポートが弱くなる。
非保持のプレスの強度と連動性に欠け、単発となり間延びしてしまう。
特に後者は顕著でデータの論拠もありました。
下図はローマの前半、後半の「配置の重点とその長さ」のデータです。via:セリエA公式
Average lengthが配置全体の距離を指します。一目瞭然ですね。
後半はオープンになり易い、また、配置の間延びが必ずしも悪であるとは限らない、という要素を忘れてはいけませんが、今日に関しては悪い意味の間延びが多く、このデータはそれを後押しすると捉えていいと考えます。
後半割と早い時間帯からこうなっていたので「今はまだ我慢して終盤に勝負するのかな?」、「それともプランAを捨てて、誘引してカウンター狙うのかな?」と色々予想しながら見ていましたが、結局終盤のファイヤーはあれど、前半の猛る狼たちは戻らず。
ローマは前半のツケを払う格好となってしまった、が事象の答えとして最も正解に近いのかなと思います。
●楔とキャリーがザオリクに
とはいえ、ローマが自滅した訳では決してありません。
出力が弱まったとはいえ、脅威の度合いが減っただけ戦えてはいましたし、終盤のファイヤーはインテルのGKがゾマーでなければ被弾していても何ら不思議はありませんでした。
インテルが蘇ったこともまた、逆転勝利の大きなファクトで、それは楔とキャリーと見ています。
プレッシャーが弱まったことで、本来の幅でボールを持てるようになったインテル。そこで効いたのがラウタロの楔。
ローマのプレスが弱まったことで、インテルはあえてそのプレスを引き出しました。
中盤が外に開き、中央はハーフレーンを空け、そこに降りるラウティへ縦パス。左右どっちが多い?とか、中盤の誰がプレスを外に開く?などのミクロは相変わらず柔軟ですが、マクロ自体は確信犯だったと見ます。
からのキャリーはザオリクとなりました。あ、僕はアレイズ派だけど。
ラウタロという楔からのパスを受けることで、中盤が前を向いてキャリーできるシーンが増加し、状況優位が生まれました。
ローマ目線では陣形が乱された上でのキャリーを背走。
インテル目線ではキャリーしている間に体勢や配置を整える。
この一石二鳥により差が生まれ、流れはインテルの手中に。
逆転弾かつ決勝弾となった3点目はキャリーこそないものの、やはりラウタロのポストプレーが絡みました。再現性。
もちろん土台の部分だけでなく仕上げも◎。解説の松原さんも仰っていましたが、テュラムは良く我慢して、ここぞのタイミングで飛び込みましたね。ちょうどCalcio2020で細江さんも似たようなことを仰っていたのでタイムリーでした笑
こうなると不思議でボールコントロールも快方に向かうんですよね、雨全く弱まってなかったけど。
機能性を取り戻したインテルは即興的なコンビネーションだけでなく、カウンターの鋭さも取り戻しました。ローマの前がかりに耐えつつ、ATに切って落としたのはなんとトランジションを起こしたCBバストーニ。
アウグスト、サンチェス、アルナウトヴィッチと全て途中交代の選手で持って行ったカウンターのお祝いをバストーニは真っ先にゴール裏のファンに届けました。
先日のトークで話したことが嘘じゃないよと証明するように。
これでリーグ5連勝、スーペルコッパから続くビッグマッチラッシュに5連勝。
せーの、これはデカい!!!!!!!!
次は監督がすげ変わっているであろうサレルニターナ。インザーギ対決ならず、残念。
彼らを軽視する訳ではありませんが、貯金がある今、大幅ターンオーバーでその次のCLアトレティコ戦を見据えるでしょう。
彼らとの2nd.legはボローニャとナポリに挟まれていますが、仮に落としたとしても「まぁまぁまぁ」で済むのが本当に本当に大きい。
超結果論ですが、グループステージ2位通過をOKとしてリーグ戦を落とさなかった道は正解だった。だからこそ、アトレティコ戦は絶対に勝ちたいですね。
最後までご覧頂きましてありがとうございました🐯
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