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なぜインターの学費は値上がりし続けるのか

こんにちは、インター受験カウンセラーの中島です。

以前2024-25年度の最新学費についての記事を書きました。

まだの方はこちら。

今回の記事では、「なぜインターの学費な高いのか」そして「なぜ毎年上がり続けるのか」について書いていきたいと思います。


なぜインターの学費は高いのか

ほとんどの収入を学費に頼るインター

インターナショナルスクールは学校ではありますが、会社と同じで赤字になってはいけません。
黒字になるように、収支のバランスの計画をしっかりと立て、それを実行に移していく必要があります。

では、日本の公立学校はなぜ無料で、日本の私立の学校もインターよりは学費が安いのでしょうか。
それは、文部科学省から補助金が出ているためです。

インターには、文科省からの補助金がありません。そこが決定的な違いです。

以下は、ASIJ(アメリカンスクールインジャパン)の2021年・2022年のRevenueですが、収入の94%を学費が占めていることが分かります。

※すべて単位は千円

他のインターも然りで、学校の収入源のほとんどが学費による収入なのです。

インターの一番大きな支出は人件費

次に、支出の内容も見てみましょう。
収入と同じようにASIJの2021年・2022年の支出の内訳が以下になります。
実に支出の80%以上が人件費になります。

※すべて単位は千円

人件費は主に、先生たちの給料です。
インターは、Teacher-student ratio(先生1人に対する生徒の人数)が日本の学校に比べても格段に低いことで知られています。
老舗インターは、先生1人に対し生徒6~7人、などが普通です。
これは日本の学校ではありえない数字です。
日本の公立は通常1クラスに生徒30~40人いて、それを担任の先生が1人で見ます。副担任の先生や、教科別の先生、保健室・図書室の先生を入れても、割合は先生1人につき生徒15~20人くらいが普通です。

つまり、インターが高い理由は、

  1. 文部科学省からの補助金がないため収入のほとんどを学費に頼らざるを得ないから

  2. 人件費が日本の学校よりも多くかかるから

となります。

なぜ毎年学費が上がり続けるのか

インターの学費が高い理由が分かりました。

もう1点学費について重要なこととして、毎年上がり続けているということです。

もしお子さんをインターに入れたいと考えている親御さんは、今の学費を見て「これなら18歳まで払い続けられる」と安心して通わせるのは危険ですのでご注意ください。

以下は、ASIJの学費の推移です。
※ちなみにASIJは、これ以外にビルメンテナンスフィーが150万円(最新の年度)ほどかかりますが、それも毎年上がっています。

コロナ禍の時期を除いて毎年値上がりしています。
各インターも値上げ幅は様々ですが、コロナ禍が明けてからの直近2~3年は毎年約10%ほど値上がりしている印象です。

ではなぜ毎年値上がりし続けるのでしょうか。

世界の給与水準に影響を受ける

インターの支出の80%以上が人件費とお伝えしました。
そして学校側は、良い先生を世界中から呼ぶために競争力のあるオファーを提示しないといけません。

良い先生は、世界中のインターからオファーを受けるため、その中でも日本に引っ越してまで来てくれる先生を探さなくてはいけません。
また、今いる先生たちも、いつ他のインターに転職すると言い出すか分からないため、毎年Competitiveな給料を提示しないと辞められてしまいます。

そしてその基準は世界の給与水準になります。

以下は、アメリカの労働賃金の推移グラフです。

https://en.wikipedia.org/wiki/Personal_income_in_the_United_States

黒線が、実際の金額で右肩上がりのグラフになっているのが分かります。
青の塗りつぶしは、インフレを考慮した場合の賃金なので、インフレを考慮すると実質の賃金はそこまで上がっていません。

つまり、インフレが進んでいることで、実際の給与金額の値が上がっていることが分かります。

以下は、インフレの最重要指数である消費者物価指数ですが、日本とアメリカを比較するとアメリカがものすごくインフレが進んでいることが分かります。

まとめると、インターの学費が上がり続ける理由は、

  1. 世界中から良い先生を呼ぶためには、高い給料を提示する必要がある

  2. 世界の給与水準はアメリカのインフレの影響を受け上がり続けているため、インターの人件費も上がり続ける

と言えます。

さらに追い打ちをかける急速な円安

インフレによる人件費の高騰に、さらに追い打ちをかけているのが、急速な円安です。

以下は過去5年のドル円為替相場の推移グラフです。

コロナ明けから円安が急速に進んでいるのが分かりますね。

前述したとおり世界の給与水準が上がっていることに加え、さらに円での給料は為替分さらに上げる必要があります。

学費は円で請求されますから、円安の影響もうけ学費ももちろん上げないといけません。

というわけで、上記の理由から、インターの学費は毎年上がり続けています。

インフレや円安は、少しは落ち着くかもしれませんが、それでも元に戻ることは難しいのではと言われています。
ですので、インターの学費は上がることはあっても下がることはないと思います。


今回はここまでになります。
「こういった記事が読みたい」などありましたらコメントなどでお知らせください。

お読みいただきありがとうございました。

(ASIJの情報出典元:)


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