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中国で過去最多の”労働者ストライキ”~数百万規模の工場労働者レイオフや賃金未払いで10~11月に400カ所の工場で騒ぎ


【画像① 深圳市でユニクロ店舗前でのデモンストレーションを行うユニクロ製品縫製工場の労働者たち。】



◆中国、経済不振で倒産や事業停止が相次ぎ、しわ(寄せを受けた労働者の”反乱”が頻発


この間、大手不動産の事実上の倒産が相次いでいる中国では、その煽りで経済不振が蔓延し、生産業分野でも連鎖倒産や事業停止が相次いでいる。その影響で数百万規模での工場労働者(多くは地方から出てきた農民身分の農民工)のレイオフや賃金未払いが生じていて、騒乱が相次いでいる。


10月、11月期を通した中国当局の発表による企業でのストライキ発生件数は、400件以上。筆者の知り合いの中国官僚の自嘲的な言によると、「ストや騒乱の実数は当局数字に10倍をかけるとほぼ一致する」とのことなので、相当過少な数字なのだと思われるが、それでも発表数字として2カ月間のストライキ件数では史上最高なのだという。


世界を席捲したショート動画投稿アプリ「TikTok」を運営するITテクノロジー企業、バイトダンス(Byte Dance、北京市)は、2021年のユニコーン企業価値世界トップ(約1400億ドル)であるにもかかわらず、約10万人の社員の1割、1万人の人員整理を余儀なくされるほどの経営悪化に直面している。ハイテク企業の工場が集中する広東省深圳市でも、100以上の企業が廃業に追い込まれ、11月から職を失って帰省する労働者が切符を買うため駅で長い行列を作っている。




【画像② 北京市郊外で短期職を求めて公園で差配人の声がけを待つ雇止めされた農民工たち。ことし9月。】


鉄鋼など中国における基幹産業でも事態は深刻で、それは地方に行くほどひどい状況だ。河南省に本拠地を置く年間生産量1000万トン以上の民営、亜新製鉄所はすでに数年にわたる不振で生産量が半減し、休業を余儀なくされた労働者がストライキ、デモの騒乱を頻発させ、それは下請けの中小企業にも広がった。そうした折、とうとう11月に同製鉄所は活動を前面停止し、約7000人の従業員レイオフを発表して騒乱の火に油を注いでいる。


これら企業の周辺には、公安部(警察)も常時出動し、まるで”内乱一歩手前”のような状況だ。筆者も訪中時にこうした騒乱を目撃したことがあるが、日本の企業のような紳士的なストなどではなく、警官隊とやけくそになった労働者の衝突や街路で巻き込まれてひっくり返されたり、炎上する自動車などで”阿鼻叫喚の巷”である。小さな街だと、地方政府事務所の建物の窓が全部叩き壊されるなんて、ザラだ。




【画像③ 深圳市在の外資系靴メーカー本社に押し寄せた工場労働者たち。雇止め反対と社会保険の充実を要求している。】



◆不動産と共に自動車産業の不振が経済悪化を深刻化させる


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