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北朝鮮、旧ソ連諸国への在外公館再建に意欲? ロシアの後押しか?


【画像① 9月の首脳会談でプーチン大統領は「金正恩」総書記と「宇宙開発」「資源開発」などについての協力を進めることで合意した。ロシアの”手のうち”ではあるが、これまで殻の中に閉じこもっていたかのような北朝鮮を引っ張り出した感がある。旧ソ連諸国への北朝鮮在外公館新設への動きは、朝ロ関係の深化を背景にしたものといえそうだ。】


◆北朝鮮の在外公館閉鎖は制裁措置の強化が原因~韓国政府分析


11月9日「インテリジェンス・ウェポン」掲載記事では、北朝鮮の在外公館が最近10カ所閉鎖され、背景に国連安保理制裁決議による厳格な制裁実施の効果であるとお伝えした(タイトル「北朝鮮、外貨稼ぎ目減りで、しわ寄せが海外派遣労働者に~つけまつげ、かつら生産のサービス労働強要」)。今日は、続報というべきニュースが入ったので取り上げたい。


なんと、在外公館の減少を巻き返して、旧ソ連諸国を中心に北朝鮮が在外公館再建を図ろうとしているというのである。これは、昨年らいのロシアによるウクライナ侵攻(特別軍事作戦)で大きく変動した「国際政治地図」がもたらしたものといえそうだ。


ロシアのリア・ノーボスチ通信が韓国の聯合ニュースを引く形で伝えている。以下、記事の概要を掲載する。



<韓国諜報機関、北朝鮮の在外公館新設準備に注目>


「【モスクワ、11月6日、リアノーボスチ通信】 聯合ニュースが伝えたところでは、北朝鮮はアフリカ及びヨーロッパにおける在外公館を相次いで閉鎖したことを受けて、他の国々における在外公館新設に向けて準備しており、その中には旧ソ連諸国も含まれる可能性があるという。…韓国諜報機関の情報筋として聯合ニュースが報じたところでは、『在外公館新設に関する北朝鮮の動きが活発化しており、注視している』としている」




【画像② 北朝鮮の「羅生(ラソン)経済特区」はロシアの沿海州、ウラジオストク地域に隣接しており、朝ロ関係の深化で経済交流の窓口としての役割が大きくなると思われる。ちなみに数年前、ここには20人以上の拉致被害者と思われる日本人が暮らしているとの情報がもたらされている。】



<北朝鮮、ロシア接近で旧ソ連諸国での在外公館新設の可能性>


「同情報筋は、具体的な国や活動の内容については明らかにしていないが、聯合ニュースは、『最近の北朝鮮とロシアの接近を考慮すれば、候補として挙がるのは「第一に旧ソ連もしくはその衛星国であった国々だ』と指摘。…これより先、北朝鮮がウガンダ、アンゴラ、スペインにおける大使館、香港における総領事館を閉鎖する決定を行ったことが明らかになっており、韓国政府は、北朝鮮が在外公館維持のために必要な外貨獲得の手段を制限する制裁措置の強化によるものと分析している。一方、北朝鮮外務省の報道官は、『変化した国際情勢及び政府の外交政策に従って、他の国々における在外公館新設に向けた作業を行っている』ことを明らかにしていた」


<旧ソ連諸国での北朝鮮在外公館の状況~多くの場合、在ロシア大使館が当該国業務を兼務>


「ソ連邦の崩壊以来、北朝鮮はエストニアを除くすべての旧ソ連構成共和国との外交関係を樹立していたが、現在は、ロシアとベラルーシのみになっている。ロシアでは在モスクワ大使館のほか、在ウラジオストク総領事館(2016年4月以前はナホトカ)、在ハバロフスク総領事館分室があり、ベラルーシには在ミンスク大使館がある。韓国外務省のデータによれば、他の多くの国々に対しては、在ロシア北朝鮮大使館が兼務しており、ラトヴィア及びリトアニアに対しては在スウェーデン北朝鮮大使館が機能を兼務しているという」



【画像③ 北朝鮮羅生経済特区とロシア側の国境駅ハサンをつなぐ貨物列車の定期便が再開された。このルートで、ウクライナ「特別軍事作戦」に使う弾薬その他の軍需物資が北朝鮮から運び込まれているのではないか、と西側諸国では疑われている。】


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