”北朝鮮とロシアのかつてない関係強化へ”~プーチン大統領の北朝鮮、ベトナム歴訪へ~プーチン氏「労働新聞」に論文発表
◆20年ぶり訪朝のプーチン大統領、北朝鮮との立場の共有を強調~「アメリカとその衛星国がロシアに対して数十年にわたって行っている帝国主義的政策、覇権主義的政策に対する我々の戦い」
ロシアのプーチン大統領が20年ぶりに訪朝し、6月19日には平壌で最高指導者「金正恩」総書記と首脳会談を行った。今回の訪朝では、外相、国防相の他、資源開発や交通インフラ、保健衛生関係の閣僚、宇宙開発関連グループの責任者や鉄道会社社長、隣接した沿海州知事など大型の随行団をともなっている。
日本での報道では、ウクライナ戦争や北東アジアでの安全保障上情勢にからめて、両国の軍事的な協力面の強化にほとんとの関心を向けている。下記のNHK報道の言及が典型的なものだ。
「キム総書記が『ロシアのすべての政策を無条件で支持する』と述べたのに対してプーチン大統領は『新たな基本文書を準備している』と述べ、経済や安全保障分野を盛り込んだ条約の署名など、軍事面を含めた一層の関係強化について話し合ったとみられます」
(参考)「【詳細】プーチン大統領 金総書記 首脳会談」2024/6/19 NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240619/k10014485041000.html
しかし、前述の通り今回の訪朝、首脳会談に際しては安全保障関連やそれにも深いつながりのある宇宙開発分野の責任者だけでなく、資源開発や保健衛生など民生・経済に関わる閣僚も加わっており、広い分野における国家間協力を本格的に推し進める内容が両国間で合意される前提であると見るのが正しいだろう。その面を見るため、ロシアの基調的報道をおさえておくことが大事だ。
また、プーチン氏の北朝鮮公民向けの論文が朝鮮労働党機関紙「労働新聞」に掲載され、同時に6月18日からロシア大統領府(クレムリン)の公式サイトにも掲載された。以下、訳出したリア・ノーボスチ配信の記事と、大統領府公式サイトでリリースされたプーチン論文を紹介する。
◆ロシアと朝鮮民主主義人民共和国の敵に対してプーチン大統領が出した答え~モスクワ、6月19日、リアノーボスチ通信、ルナト・アブドゥッリン
https://ria.ru/20240619/putin-1953912723.html
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は四半世紀で2度目となる朝鮮民主主義人民共和国の公式訪問を行い、金正恩氏と幅広い交渉を実施、重要な安全保障に関する合意を締結した。
ウラジーミル・プーチン大統領と金正恩氏は定期的な接触を行っており、電話会談だけでなく、実際の会談も持っている。昨年の9月には、ヴォストーチヌイ宇宙基地で会談を行った。
宇宙分野での協力のほか、西側による不当な制裁への対応策などを協議。金正恩氏は、朝鮮民主主義人民共和国にとってロシアは「最も重要な優先国」と述べ、プーチン氏を平壌に招待していた。
<訪朝に同行した閣僚、宇宙開発、鉄道企業、北朝鮮隣接地方のリーダーたち>
プーチン氏の朝鮮民主主義人民共和国公式訪問には、セルゲイ・ラヴロフ外相、アンドレイ・ベロウソフ国防相、アレクセイ・クリヴォルチコ国防次官、デニス・マントゥーロフ副首相とアレクサンドル・ノヴァク副首相、アレクサンドル・コズロフ天然資源環境相、ミハイル・ムラシコ保健相、ロマン・スタロヴォイト運輸相、ロスコスモスのユーリー・ボリソフ社長とロシア鉄道のオレグ・ベロゼロフ社長、沿海地方のオレグ・コジェミャコ知事というそうそうたる代表団が同行している。
ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官は出発前、「経済、エネルギー、運輸、農業、地方間協力、安全保障、国際協力といった様々な分野」が議題に上るとしていた。
昨日夜遅く、金正恩氏はプーチン氏を飛行機のタラップで出迎え、赤絨毯を通り、儀仗兵による歓迎を受けた。
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