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「祖国解放戦争(朝鮮戦争)勝利70周年記念」イベント後の7月末、平壌で爆弾テロ発生

◆朝鮮労働党本部前広場近くで仕掛け爆弾が爆発、警備員ら数人負傷

7月27日、北朝鮮では「祖国解放戦争(朝鮮戦争)勝利70周年記念日」でその前後にロシア、中国から代表団を招いての祝賀イベントが様々に行われた。しかし、その”栄えある日”から4日たった31日の深夜、朝鮮労働党本部前広場近くで爆発が起き、警備兵員数名が負傷したという。

朝鮮労働党中央は、この爆発事件は「金正恩総書記をはじめとする最高指導部に危害を加えることを狙ったもの」とみなし、国家保衛部に特別捜査班を発足させた。中国外交筋などが伝える情報によると、国家保衛部幹部は、「祝賀行事に参加した市民に紛れて歩道の垣根に時限爆弾を仕掛けたとみられる」と述べているという。

厳重な人民監視・統制下にある北朝鮮でも、過去に反体制運動の動きが見られたと伝えられており、当局はこの度の事件が拡大して市民の不満に火をつけ、爆発的な暴動や反政府運動につながらないよう警戒を強めているという。韓国の国家情報院関係者によると、この度の事件は反体制運動が組織的に行ったものというより、「新型コロナウイルス感染拡大に対応した”鎖国”強化で密輸に頼った”裏経済”が完全にマヒし、本格的な食料不足や生活必需物資の供給が滞ったことによるかつてない不満の高まりを背景にした暴力事犯の頻発」が背景にあるのではないかと分析しているとのことだ。


【画像① 「軍人たちも田植え参加で積極的に食料増産に取り組み」~こういうテーマのプロパガンダ写真が北朝鮮ではよく配信される。しかし、ひたすら山間部も切り拓き山林伐採を進めて田畑を増やす機械的な「農業増産策」が土地の保水力を奪い、台風や大雨でしばしば大規模水害が引き起こされ、田畑が流されて食料不足に陥るという悪循環が数十年続いている】




実際、「金正恩」氏の動きも、こうした不満をなだめるかのように8月中旬には台風被災地の東部・江原道の農業干拓地を視察しながら、同道した金徳訓首相に対して「干拓地の冠水を招いたのは行政院(政府)の対応の無責任さの表れだ」と厳しく叱責してみせ、その模様を報道させた。また、数日後に西部の南浦市にある金星トラクター工場を現地指導し、食料増産を重視するとの演説をするなどのパフォーマンスも行っている。

(参考映像)「【金正恩氏】 台風被害を受けた農場視察 農薬散布に軍輸送機の動員指示」2023/8/18 日テレNEWS ※江原道被災地の「現地指導」
https://youtu.be/fVrg7jHOrTY?si=CgUoYFbX2OpgQsZR

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