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【読書】激震

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実際のフリーのライターが講談社をモデルにしたような出版社の月刊雑誌に関わり,色々記事を書いていく。
巻頭に「阪神大震災」が発生し,その現場に飛んで行くのだが,そこで震災の被害者とは違った目をした若い女性を見かける。
この目はどこかで見た事がある…。そうだ前に取材した戦場でよく見た目だ。どうしてこんな所でこんな目をしているのか…

しかし1995年というのはとんでもない年だったのだな。1月に阪神大震災があり,オウムが地下鉄にサリンまいて多数の死傷者が出る。それに続いて警察庁長官が狙撃され,都庁に届いた小包が爆発し職員重症,貴乃花が結婚し,オウム信者と名乗る者のハイジャックも。八王子のスーパーでは3名の女性が虐殺され,沖縄では米兵に少女が強姦され,野茂がメジャーで新人王を取る…。どれも一年のトップを飾る?事件のようなのがこれだけ一気に起こったというのは呪われた年としか思えない。(たまたま自民は下野して社会党の村山さんが首相やったりしているが(笑))

この本が,このような事件を忠実に再現しつつ進むので,もしかしてこれはノンフィクションなのか…と勘違いしてしまいそうなくらい。またその事件で起こったことが次々につながっていくという面白さ。よくまあこんな事を思いつくなぁと作者に脱帽。結局最初に被災地で見かけた女性を最後まで追い続ける…という話なのだが,最後はまさかこんな終わり方が…と思ってしまうやり方。相当文章書きなれてないとこんな作品は書けないだろう(まあプロの記者であり作家なのだから当たり前かもしれないが(笑))。この作者絶対に今後も読み続けたい。(たまたまここにきて,小原周子と言い赤松利市と面白い作者に出会う)

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