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【読書】山狩



日本人はやくざが好きなんだろうか? しかし最近の封じ込めでヤクザも元気がないとのことで、やくざの小説を書いてもいまいち人気も現実味もない。そうなると今度は警察の裏話的な小説に流れ着くのだろうか…。


ある山で女性の遺体が見つかり,警察が捜査したが事件を感じられるような不審な点がなく,単なる転落事故として処理されてしまう。ただその女性は地元の有力企業のバカ息子からストーカーされていて,その娘の家族は絶対にあいつがやったに違いないと思いその捜査を陳情するが,暖簾に腕押しで全く受け付けてくれない。ただ一部の警官は,何か少しおかしいなぁ…と感じ,業務としてではなく個人的に調べを始めたのだが…。

その息子の親父は,地元の経済界を牛耳る大物で,警察官の退職後の就職のあっせんなどにも力を発揮するという事で,誰も頭が上がらず,まともに調べるなんてことは誰もしない。

そこで亡くなった女性のおじいちゃんが立ち上がる。犯人と警察の癒着を暴き出すためにある大きな罠を考えて自ら実行をする する。この爺さん元警官で今でも猟銃を持っているため,ライフル持ってそのバカ息子を自ら撃ち殺す!!という 暴挙。当然警察は止めにかかり,町の実力者はヤクザも総動員して爺さんを殺しにかかり…と大変なことになるのだが,これは爺さんの作戦だった。私はこの本読みながら,クリント・イーストウッドの「グラントリノ」を思い出していた。自分のみを犠牲にすることで,世論や警察を動かし,巧みに法の裏をかこうとする悪人に天罰を与えようとする。実際にこの爺さんの無謀な賭けで巨悪が告発されたわけなので,成功と言えば精巧なのだが…。

この話は映画にすれば面白いと思った。爺さん薬は渡哲也がお似合いだが,もう亡くなってしまったので,誰がいいんだろう。高倉健とかでも良かったが彼も…。この二人の後に続くのは誰なのだ…

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