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屋久島縄文杉登山の記録

※行ったのは4-5年前ですが、やっとまとめました(笑)
これから縄文杉見に行こうという人に参考になれば幸いです。

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今回2泊3日で屋久島に訪れ、2日目に縄文杉を見に行きました。
縄文杉の行程を詳しく説明して、その前後は後でまとめて説明します。

■縄文杉の行程

4時起床。ホテルが用意してあるお弁当をたべて、5時にホテルをバスで出発、6時に登山口到着。
(このバスも曲者で、曲がりくねった道を登るために、車酔い者続出)
登山口でガイドさんと合流、注意事項を聞き、簡単な柔軟体操。
全員で記念写真を撮って6時半頃に出発。

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※ここで当然トイレに行っておいたほうが良い

最初から8キロまでは、延々とトロッコ列車の線路の中に敷かれた板の上を歩く。
(この板は2-3年前に敷かれたようで、それ以前は板がなく、枕木の上を歩き、踏み外したら砂利の上に落ちて足をくじくようなことも多々あったと思われる。それを思うと相当楽になっている)

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ただ、このトロッコの線路も曲者で、途中で手すりのない鉄橋がいくつも出てくる。万が一よろめいたり足を踏み外して鉄橋から落ちるようなことがあった場合、間違いなく死ぬだろうという橋が少なくとも2つはある。死ななくても相当ダメージを負うだろうという鉄橋ばかり。油断したり、ふざけたり、例えば足元しか見てなくて突然前が止まったりして足を踏み外したら、本当に死ぬと思う。
(これは現地に行って初めてわかったが)もし本当に事故が頻発していたら何か手を打つと思われる。そう思うとやはりみんな集中して気合い入れて渡っているのだろう。

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※これについて、屋久島観光センターにメールで質問したやりとりもあるので、後でお見せします。

線路の道の8キロの途中でも、昔の小学校の跡とか、三代杉(最初の杉が死んだ上に新しい杉が生えて、それが死んだ後にまた新しい杉が生えた珍しい形をした杉)があったり、杉よりも巨岩と水の綺麗さに驚きながら3.5時間近くを進む。

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トイレ。
この問題が多分一番大きいと思う。スタート地点にトイレがあるが、後8キロは、トイレは2つ。そのうち一つはバイオトイレで処理能力が悪いとのことであまり使うことを推奨していない。しかもトイレ以外のところで用をたすことは原則禁止。もしどうしても…という場合は、携帯用の持ち帰りトイレを使用しなければならない。そのあたりで隠れてやるというわけにはいかないのだ…。
これを考えると、前日に宴会などして酒を飲むのも控えなければならないということもよくわかるだろう。利尿作用のあるコーヒーなども飲まない方がいいとの事。軽く考えていたが、多分縄文杉見るのに一番の課題はトイレ問題なのだ。これは富士山なども一緒なんだと思う。結局いい加減な気持ちでは行ってはいけない気がする。

トロッコ列車の線路が終わったところに休憩所があり、一休み。ここに来るまで約3時間強かかっている。もちろんずっと歩きっぱなしというわけではなく、ガイドさんの楽しい説明を聞いたり、途中で休憩したりするわけで、8キロだから普通は2時間もあれば余裕で歩ける距離なのだから、推して知るべし。途中で線路をショートカットするところがあり、そこだけはいきなり山道を這って登るような感じになるが、あとは線路だから淡々と進むのみ。

ここでガイドさんの当たり外れが大きいということに気づく。たまたま今回はうちの会社は6人で1チームの3チーム18名で参加。ガイドさんが3名いらっしゃる訳だが、うちのガイドさんが一番若く楽しく、しかも後で触れるがiPhoneの達人であった。

またトイレの話になるが、ここのトイレに行かないと、これから片道3キロ、往復6キロの超急斜面の山登りのコースにはトイレはない。往復2時間強。

ここまでは、まあ楽しく歩いてこられるのだ。で、休憩が終わってガイドさんが「さあ行きましょう」と言って進み出す、その道を見たときに「まじですか…」となってしまう。いきなり急階段を二階に登るような崖になるのだ(笑)。

これからは、今まで歩いてきたような板ではなく、石や土や葉っぱの上を歩く。滑って転んだら大変なことになるような坂である。軍手をして地面に手をついたり、木を持って自分を引っ張りあげたりしながら進むことになる。

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ここで、ポールを使う人と持ってない人が出てくる。私はポールは2本レンタルしていた。しかし最初の8キロのトロッコ道はストックなど使う必要はないので、リックに結び付けていた。この山道に登る前にガイドさんに「ポール使った方がいいですか?」と聞いたら、「いや、それよりも自分の手で木を掴んだ方がいい」と言われ、結局使わずに素手で登ったが、正解だったと思う。

その大株歩道を上がっていくと、1キロ位で縄文杉と同じレベルで人気・価値のあるウィルソン株というのが出てくる。大きな空洞の切り株で、中には50人位人が入れるらしい。そしてある指定されたところに座って上を眺めると…。皆が「わっ」と喜びの声を上げる。ハートが見えるのだ。各自が記念写真撮ってどの写真がハートが綺麗か…と言う事を見せ合う。それくらい撮る人によって形が違う。そしてここでガイドさんがやってくれた。絶対に撮れるはずのない写真を撮ってくれたのだ。最初はどうしてこんな写真が撮れるのか全くわからなかったが、話を聞いて理解。iPhoneのパノラマ機能を使って撮影すると、あっと驚く写真が取れるのだ。

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そのウィルソン株を超えるとあと2キロ程度。山道の岩場や木の階段、水の中の石の上などを歩いて縄文杉を目指す。途中に大王杉というこれまた大きい杉が出てくる。こっちは近くまで寄って触れたりするので写真撮影のポイントだ。しかしこの大きい大王杉よりもさらに大きいという縄文杉に一段と期待がかかる…。

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その次に夫婦杉というスポットもある。これは枝がくっついて一つの気になっている感じで、まさに夫婦杉なのだ。その隣には、喧嘩している木もあった。杉の木の幹に、別の木が捲き込まれたように成長しているのだが、これが裏から見るとキスしているように見えるから不思議。さらに小物であるが、ペンギンそっくりの木とか、コアラにそっくりの木の傷跡とかキリンとかジョーズとかいろいろ出てくる。ああ、途中にOKの木もあった。ガイドさんが「並んでこっち向いて、全員でokのマーク作って~」というのでそのポーズで写真を捕ったら、一番後ろにOKの木も一緒に写っているのだ。

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このようにいろいろ面白おかしく進むのであまりきついという感じではないのだが、登山道に入ってからは全身汗びっしょり。やはりそうとう運動しているものと思われる


書き忘れたが、この大株歩道を歩きだすと、途中途中に黄色いカードにナンバーが入っている事をガイドさんが教えてくれる。下の方から50から始まって25mごとに1減っていく仕組み。これが25になったら、あと半分だ~と盛り上がり、10位から9-8と減っていくごとに早足になる(笑)。今回はちょうど30の所で休んで昼ごはん食べました。(事前に予約していたおにぎり弁当)

ウィルソン株を過ぎ急な山道を上り下りしながら進む。向こうからはもっと早くに出発した人が戻ってくるのとすれ違うようになる。「頑張ってください」「もう少しです」と応援してくれるので、元気が湧いてくる。国際ルール(笑)で、登山はのぼり優先という事らしく、登る側がどんどん進んで行くのだ。ただあの鉄橋の場合どうなるのだろう。落ちたら死ぬから、向こうから人が来ていたら、渡り終えるまで待つのだろうなぁ。

途中で私が一番気に入った杉が「翁(おきな)の杉」。これは相当大きかったのだが、老衰で木が倒れてしまい、銅像というか記念碑のような形で残っているのだが、その棒のような部分が「おれはここにいたのだ」という事を主張していて、見ていたら涙が出る感じだった。安らかにお眠りください…的な形で。木にも魂が宿っていたのだろうなぁ…と思ってしまった。

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そして、やっとたどり着きました。縄文杉。
見学する物見櫓みたいなのが3箇所作ってあり、近くまで寄る事は出来ない。遠くに見えるのだが、逆にそれが幽玄な感じを醸し出す。ガイドさんが言うには、昔は近くまで行って木をけったりしていたとの事(笑)。ただもうそろそろこの縄文杉も寿命で倒れてしまう危険性があり、倒れた時に人が捲き込まれないように近くに寄れないようにしたらしい。

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ここは最終地点なので、後から後からどんどん人が上がってくる。しばらく見たら交代してあげましょう。その櫓は正面と左右にもある。向かって右に登った方が一番大きく見える気がしたので参考までに。

さあメインの観光が終わったら、後は降りるだけ。来た道と全く同じ道をひたすら降りるだけなのだが、この大株歩道の3キロの下りは試練です。急斜面を降りるので、もしすべったりしたら危険だし前を歩いている人にも迷惑がかかったりするので、足を突っ張って慎重に降りなければならない。ここで足の筋肉に負担がかかるわけだ。私はここでずっと背負っていたポールを取り出し、両手でポールをつきながら山を下りるようにしたが、これで相当楽になったのは間違いない。もしこれがなかったらもっと足がこわっていたに違いないし、危険な目にも会っていた気がする。


ポールをつきながら、足がプルプル言いながら、何とか3キロを降りてくる。またここで休憩するわけだが、行きは色々写真など撮るが帰りはその余裕すらなく、ひたすら歩くのみ。休憩所で少し余裕が出来て川の写真を撮ってみた。これが今回のお気に入りの一枚だ(笑)。シャッタースピードを落として水をきれいに撮ってみた。

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さて、あと8キロを下らなければならない。この時はもうポールはいらないので、またバッグに結び付けておく。一緒の道なので見る場所も終わったのか…と思っていたが、やはりガイドさんはプロ。行きに紹介しなかった穴場が色々あるわけで、それなりに楽しかった。帰りのメインは「バスクリンの川」本当に緑色、しかも綺麗な緑色。見た瞬間、絶句しました。なんてきれいなんだ…。

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ただ今思うとこの日はラッキーな事に晴れていた。屋久島は一か月のうち35日雨が降る…と言われるくらい雨が多く、年間降水量は10,000mmを超えるそうで何と日本一らしい。こんな雨が多い所に行って、三日とも雨が降らなかったというのは奇跡に近い気がしてきた。実際に二日目の山登りの時に雨が降っていたら、鉄橋で足を踏み外して転げ落ちて死ぬとか、山の石場で足を滑らせて頭を打って死ぬとかは日常茶飯事ではなかろうか…(で、調べてみたらやはり平成25年から27年は毎年2名が亡くなっている。私からするとよく2名で済んでいるという感覚だ。橋の上でちょっと風が強いとか、虫が飛んできて手で払ったら足を踏み外したなどの事例はもっとありそうな気がする)

で、天気が悪ければそのバスクリンの池もこんなに綺麗には見えなかったろう。
あともう一つ写真のポイントがあって、もう最後の方なのだが、昔の小学校跡の場所。ここはちょうど線路がカーブになっていて、ガイドさんのマル秘テクニックでとても面白い写真が撮れる。

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この後は、また落ちたら死ぬ手すりのない鉄橋をこわごわ渡る。年配の人でここまで歩いて足が弱っていたらふらついて落ちる人もいるだろう。
その難所を乗り切ったら、朝の6時半に出発した登山口に到着。この日は17時に帰りつきました。10時間30分かかっているわけです。
しかし足のきつさよりも、落ちたら死ぬ怖さが屋久島縄文杉見学ツアーの本質だと思う。

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